表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第五章 : 神代再編・枢復活編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

485/487

第485話「霊峰の頂に輝く命!不老の禁忌と生気を呼び覚ます太谿」

絶対零度の氷結魔獣を撃破し、ついに雲海の頂――「不老の霊峰」の山頂へと到達した往診チーム。

そこに鎮座していたのは、人間の「寿命そのもの」を強制的に搾取・操作し、不老不死の妙薬を精製しようとする旧ギルドの最高機密「不老の霊床れいしょう」でした。

暴走する巨大な遺産から放たれるのは、肉体の全エネルギーを根底から枯渇させる、最悪の「老化の呪い(強烈な気陰両虚)」。

全身のエネルギーを奪われ、指一本動かすことすらままならない極限の絶望の中、チーム全員の魂の絆と、聖鍼師・枢先生の白銀の長鍼が、命の理を歪める最後の禁忌へと肉薄します。


「人間の命に定められた『とき』は、利権やエゴのために弄ばれて良いものではありません。首領の遺志を継ぐ残党よ、あなたがどれほど不老の力に固執しようとも、人の肉体に宿る『本能の生命力』は、決して尽き果てることはないのです! 皆さん、これが霊峰の最終治療です。私たちのすべての命の輝きを、あの病巣の核心へと叩き込みましょう!」


21時、日曜夜の更新。世界往診紀行編・不老の霊峰編、堂々の完結回、第485話!

一日の終わり、そして新しい一週間を控えた日曜夜のひとときに、これまでの旅路のすべてが結実する、魂の限界突破クライマックスをお届けします!

 雲海を遥か眼下に見下ろす、不老の霊峰の山頂。

 天を突くようにそびえ立つ旧ギルドの最高機密――「不老の霊床」は、無数の触手のような魔導管を大地に伸ばし、大自然の生命力を吸い上げてドス黒い黄金色の光を放っていた。その中心で、遺産を無理やり起動させたギルド最後の幹部が、干からびた老人のような狂気の笑みを浮かべる。


「クカカカ! 愚かな往診チームめ、よくぞここまで辿り着いた! だが、この『不老の霊床』が放つ『時間搾取の結界』の中では、いかなる英雄も一瞬にして老いさらば行くだけだ! お前たちの瑞々しい生命力、すべて我が不老の糧としてくれるわ!」


 霊床の核心から、目に見えない「命の凋落(老化の呪い)」を孕んだ灰色の波動が、凄まじい圧力で往診チーム全体へと押し寄せてきた。

 それは肉体の水分とエネルギー(気血陰陽)を細胞の底から強制的に蒸発させる、最悪の呪詛。触れた瞬間、チーム全員の肉体に急激な「極限の疲労感」と、喉の渇き、そして足腰が消えてなくなるような脱力感が襲いかかった。


「な、なにこれ……。身体が、カサカサに乾いていくみたい……。すり鉢が……重くて、持ち上がらないよ……っ」

 ネネが自分の肌が急速に弾力を失っていくのを見て、恐怖に瞳を大きく震わせながらその場に崩れ落ちる。


「……クソッ、膝の力が、完全に抜けやがった……! 骨の髄から、俺の筋肉のエネルギーが吸い出されていくようだ……っ」

 ガストンが鉄壁の大盾を支えきれず、ガクガクと震える両膝を石畳へと突き、苦悶の声を上げた。


「魔力のマナ・プールが……一瞬で干からびてしまいました……。呪文の構成を維持するだけの、精神の気力が……残っていません……」

シオンが魔導書を床に落とし、真っ白な顔で胸を押さえて激しく息を乱す。リナもまた、引き金にかけた指先が微震し、視界がかすんでターゲットを捉えられずにいた。


「皆さん、恐れることはありません。敵が奪おうとしているのは、人間の肉体の根源にある『原動力(腎気)』と、潤いの根本である『腎陰じんいん』です。……ですが、私たちの命の源泉は、これしきの呪いで枯れ果てるほど、脆いものではありません」


 往診チームの誰もが絶望の淵に立たされる中、聖鍼師・枢だけは、一本の不滅の神木のように凛として立ち続けていた。彼の白衣は、これまで以上に濃密で、目も眩むほどの純白の陽気で満たされ、灰色の呪詛を完全に遮断している。

 彼の十指の間で、命の理を再構成するような輝きを放つ、一振りの白銀の長鍼が静かに構えられた。


「ハクさん、ネネさん。霊床のコアを完全停止させる『還流中和薬』の最終調合を。……その前に、皆さんの肉体の奥底に眠る『不滅の泉』を、私が今すぐ解放いたします!」


 枢の白衣が風を切り、残像すら残さぬ神速の運鍼が、ガストン、シオン、リナ、そしてネネの足元へと次々に滑り込んだ。

 内くるぶしの中心と、アキレス腱の間の窪み――東洋医学において、生命力の根本である「腎」のエネルギーが最も深く湧き出る、至高の源泉穴。


 シュシュシュッ!!!


「足の少陰腎経の原穴であり兪土穴――太谿たいけいを深く穿ちます!」


 完璧な深度と角度で下された一刺しが、4人の足首の奥深くへと到達した。

 鍼が経穴の核心を貫いた瞬間――。


「――っっっ!!! おお、おおおおお……っっっ!!!」


 ガストンの肉体から、地鳴りりのような咆哮が響き渡った。

カサカサに乾きかけていた全員の肉体の奥底から、まるで大地の底から湧き出る間欠泉のように、圧倒的な「潤い」と「無限の活力」がドクドクと津波となって全身の細胞へと駆け巡ったのだ。


「太谿は、人間の先天の精(生まれ持った生命力)を蔵する『腎』の機能をダイレクトに覚醒させ、枯渇した気血と、肉体の潤いである『陰液いんえき』を根底から急速に補給する、東洋医学究極の補腎ほじん・強壮穴です! この一鍼により、老化の呪いを内側から完全に跳ね返し、あなたの肉体に『永遠の春の生命力』を呼び覚まします!」


「嘘、みたい……! 喉の渇きも、体のだるさも一瞬で消えたわ! それどころか、肌の奥まで信じられないくらいの瑞々しさが戻ってくる……!」

 ネネが自分の両手を凝視し、弾けるような笑顔で立ち上がった。


「足腰の芯に、鋼の柱が通ったみてえだぜ! ――旧ギルドの亡霊ども、このガストンの本当の力を思い知りやがれ!!」

 ガストンが完全復活を遂げ、大盾を激しく打ち鳴らして突撃する。霊床から放たれる灰色の触手たちを、圧倒的な怪力で次々と引きちぎり、踏み潰していく。


「マナの底が見えません……! これなら、霊峰の結界ごと、あの遺産を完全破棄できます!」

シオンの魔導書から、山頂の夜空を真昼のように照らす、超巨大な神聖魔法陣が展開された。


「ターゲット、霊床の制御中枢。――リナ・バレット、今度こそ完全にロック」

 リナの瞳からかすみが完全に消え去り、放たれた一撃の魔導弾が、幹部の防壁を貫いて「寿命搾取コア」を完全に剥き出しにした。


「今だ、ネネ! 命を弄ぶ歪んだ揺りかごを、大自然の調和へと還すぞ!」


「おうよ! ハクの兄ちゃんの特製『再生の大血清』と、ウチの『樹海の原初胞子』を混ぜ合わせた、世界で一番優しい往診弾だよーーっ!」

 ハクが天空へと美しく跳躍し、ネネがすり鉢から放った黄金の光を帯びた胞子を、超高濃度の中和液と空中で完璧に融合させた。


 その光の奔流が、剥き出しになった霊床のコアへと一気に着弾する。


「ば、馬鹿な……!? 我がギルドの不老不死の夢が……ただの、ただの瑞々しい大樹へと……還っていくというのか……っ!?」

 幹部が絶望の叫びを上げる中、巨大な不老の霊床はみるみると一本の巨大な、そして美しい大樹へと姿を変え、暴走していた魔力は清らかな山の気となって霊峰全体へと広がっていった。

 老化の呪いは完全に霧散し、山頂には見たこともないほどに美しい、満天の星空が広がったのだった。


「ふぅ……。実に見事な最終治療でしたね、皆さん。命のときを正しく巡らせてこそ、人は健やかに生きることができるのです」

 枢は白銀の長鍼を鮮やかに往診鞄へ収め、最高の笑顔を見せる仲間たちへと、いつもの穏やかな微笑みを向けた。


「やったね、大・成・功!」とネネがハクとハイタッチを交わそうとして「馴れ馴れしいぞ」と苦笑され、リナとシオンがホッと安堵の表情で肩を並べる。ガストンは夜空に向かって豪快に笑い声を上げていた。


 旧ギルドが遺した最大の脅威を完全に退け、真の意味で平和と命のリズムを取り戻した不老の霊峰。

 大自然の摂理と、人間のプロフェッショナルな絆が、また一つ、世界の命のドラマを美しく紡ぎ出した瞬間だった。彼らの往診鞄が届くべき次の待合室は、まだ見ぬ未知の大陸で、彼らの訪れを静かに待っている。

 第485話「霊峰の頂に輝く命!不老の禁忌と生気を呼び覚ます太谿」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


 不老の霊峰編の堂々たる大団円として、寿命を搾取する「老化の呪い(強烈な気陰両虚)」に苦しむ仲間たちを、ガストンさんの不屈の突撃、シオンさんの神聖魔法、リナさんの精密剥離射撃、そしてハクさんとネネちゃんの「原初胞子」の還流中和から、枢先生の「太谿たいけい」による劇的な根源エネルギー再生の一刺しという、新章最初の山場に相応しい全員集結の大決戦、お楽しみいただけましたでしょうか!


 どれほど強力な呪いや疲労が肉体の根源を脅かそうとも、人間が本来持っている「生きようとする根源の力(腎気)」を正しく引き出せば必ず打ち破ることができるという、枢先生の医療の真髄が、チーム全員のプロの技で見事に描き出されましたね。


 今回は、極限の環境やストレスから心身を守り、無限の潤いと活力を引き出すために枢先生が用いた、足元にある非常に重要な名穴、太谿たいけいの効能について解説させていただきます。


 東洋医学において「太谿」は、足の少陰腎経しょういんじんけいの原穴であり、文字通り「生命力のすべてのエネルギーが注ぎ込む、最も深く大きな渓谷」とされる、究極のアンチエイジング・生命力活性化のスイッチです。

 ここは、人間の成長や発育、ホルモンバランス、そして生殖能力や骨の強さを司る「じん」の働きをダイレクトに底上げし、肉体の乾燥を防ぐための潤い(腎陰)を爆発的に補給する効果を持っています。


 現代における慢性的な疲労感の解消、足腰の冷えや重だるさの更生、激しい耳鳴りやめまいの緩和、さらにはアンチエイジングや免疫力を高めて元気に毎日を過ごすための特効穴としても、臨床でこれ以上ないほど重宝されている素晴らしい名穴です。この一刺しで、仲間たちの肉体に若々しい命の輝きを取り戻してみせる枢先生の臨床の冴えには、今回も深く感動させられましたね。


 見事に霊峰の危機を救い、ネネちゃんという新しい風と共に、次なる新章・新たなる未知の病床が待つ新天地へと魔導船を進める往診チーム。


次なる新章・第486話は、明日【12:00】に更新予定です。

月曜お昼休みのひとときに、往診チームが届ける新たなる命の温もりの物語を、ぜひお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ