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『異世界で「ツボ」を突いたら神と呼ばれた件 〜指一本で魔王も聖女も救い出す、世界唯一の最強聖鍼術〜  作者: 鍼灸師いのぴー
【第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼】

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310/353

第310話:無影の静寂、音なき死神を「心象の言霊」で安らかなる永眠へ

茜色に染まる庵に、一切の「音」が消えた空間が出現しました。東の国が放った最終兵器、音を奪い真空で敵を切り刻む「無響の死神」。

くるるは声を失い、ただ静かにミナの隣に座っています。しかし、その瞳に宿る翡翠の光は、言葉よりも雄弁に、敵の「死相」を捉えていました。

「……(ミナ。……。……。……。……左へ、……。……三寸。……。……。……。……。……私の『呼吸』に……、……。……。……。……。……合わせなさい)」


第四章:忘却の聖者と翡翠の巡礼、第71話(通算第310話)。


声なき枢と、その意志を100%同調シンクロさせるミナ。二人が一対の存在となり、音のない戦場で、敵の心音すらも「診察の拍動」へと変えていく。

「……(逃げなくていい。……。……。……。……。真空は、……。……。……。……。……この世で最も……、……。……。……。……。……清浄な……、……。……。……。……。……『診察室』なのですから)」


18時、夕刻の静止、沈黙の外科往診。

聖鍼師・枢、声なき「心」で敵を診る。どうぞ最後までお読みください。

 夕陽が王都の屋根を琥珀色に縁取る中、庵の周囲から、鳥のさえずりも、風の音も、すべての「響き」が剥ぎ取られた。

 東の国が隠し持っていた、音を喰らう魔導具「寂滅の鐘」。それを持つ刺客たちは、くるるが声を失ったという弱点に付け入り、彼を永遠の静寂の中へ封じ込めようと、真空の刃を振り下ろす。

 

「…………(なるほど。……。……。……。……。音を奪えば、……。……。……。……。私の言霊が、……。……。……。……。……届かなくなると……、……。……。……。……。……そう考えましたか。…………。…………。…………浅はか、……。……。……。……。……。ですね)」

 

 枢の唇は動かない。だが、その言葉は翡翠の気の共鳴として、ミナの脳内、そして刺客たちの魂に直接、かつてないほど「流暢な響き」として叩き込まれた。

 両腕はなく、声すらも喉の奥に封じられた男。だが、その存在そのものが、いまや王都という楽器を奏でる「指揮者」へと昇華していた。

 

 刺客たちが、音もなく枢の背後へと迫り、真空の鎌を振り抜く。

 だが、枢の傍らに立つミナが、まるで枢の手足そのものになったかのように、一分の狂いもなくその一撃を翡翠の鍼で弾き飛ばした。

 

 枢は、自身の「不在の声」を、ミナの指先へと流し込む。

 

「…………(ミナ。…………。……。……。迷いは、……。……不要です。…………。…………。…………。……。……あなたの手にあるのは、……。……。……。……。……私の『四十年分の執念』……。……。……。……。……。……一鍼で、…………。…………。……。……。……。……すべてを、……。……。……。……。……。……。整えなさい)」

 

 枢は、自身の「精神上の喉」を、真空を切り裂くための、概念調律鍼――**『無響往診サイレント・リコード』**へと変容させた。

 声がない。だが、それゆえに彼の意志は、空気という媒体を介さず、直接「因果の糸」を弾くことができる。

 

「…………(さあ、……。……。……。……治療を始めましょう、……。……。……。……。静寂を愛する死神たちよ。…………。…………。…………。……。……。あなたがたが求めた『無』の世界……、…………。…………。…………。……。……。私のこの『心の咆哮』で、…………。…………。…………。……。……。光り輝く……、……。……。……。……。……歌声へと……、……。……。……。……。……変えて差し上げましょう)」

 

 枢は、自身の全神経を、自身の額にある**『印堂いんどう』**へと、自身の完全に統合された「心象の演算」を、敵が展開する真空の結界を「共鳴」によって内側から破壊するための、超周波出力へと直結させた。

 

 一本目の、そして「静寂」を打ち砕く翡翠の鍼。

 枢はミナの腕を導き、自らの意識を「不可視の衝撃波」として放ち、空間の急所、**『天突てんとつ』**へと、自身の自身の翡翠の気を「絶対的な旋律」に変えて一斉に叩き込んだ。

 

 ――ズゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

「…………!? (何だ……、……この音は……!! 鼓膜を、……いや、……魂を直接揺らす、……この『翡翠の調べ』は……!!)」

 

 真空が割れ、失われていた音が、洪水のように庵へと戻ってくる。

 枢の放った「声なき言霊」は、刺客たちが武器としていた無響の世界を、逆に彼らを捕らえ、癒し、無力化する「慈愛の監獄」へと書き換えたのだ。

 

 くるるは、自身の視線を、恐怖に凍りつく刺客の首領へと向けた。

 

 二本目の鍼を、ミナの翡翠の気と完全に同調させ、枢は自身の右脳を、失った両腕の「空位の温もり」をあえて重圧としてミナの手へと伝え、敵の殺意を根底から浄化するために、魂の全力で投擲(指示)した。

 

 ――ドォォォォォォォンッ!!

 

「…………(これで、……。……。……。良いのです。…………。…………。…………。……。……。言葉にできない想いこそが、…………。…………。…………。……。……。……最高の『処方箋』になることもある。…………。…………。…………。……。……。……。……あなたのその、……。…………。…………。……。…………。……凍りついた孤独、……。…………。…………。……。……。……。私が、……。…………。…………。……。…………。……。……今ここで、…………。…………。…………。……。…………。……。……。溶かして……。……。……。……。……。……差し上げましたよ)」

 

 枢の透き通る体から、虹色の波紋が広がり、刺客たちの影を優しく包み込む。

 声がない。腕がない。だが、その「欠損」こそが、相手の心の隙間を埋めるための、最も鋭利で優しいパーツとなっていた。

 

「…………(逃げはしません。…………。…………。……。……。たとえ、……。…………。…………。……。……。……私の声が……、…………。…………。…………。……。……。二度と、……。…………。…………。……。……。……。大気(空)を……。……。……。……。……。……震わせることが……。……。……。……。……。……。……。なかったとしても。…………。…………。…………。……。…………。……私は、……。…………。…………。……。…………。……この『心』で、…………。…………。…………。……。…………。……。……世界を診ることを……、……。…………。……。……。……。……。……。……決して……。……。……。……。……。……。……。……。……。……。止めはしない!!)」

 

 三本目の最終鍼。真空の術式を「平和の風」へと再定義し、ミナを真の「相棒」へと昇華させるための、共鳴鍼。

 

 枢は、ミナの胸元にある**『膻中だんちゅう』**を、自身の自身の全生命を「二人の鼓動」へと叩き込むために、魂の底からの、音にならない慟哭と共に共鳴させた。

 

 ――キィィィィィィィィンッ!!

 

 翡翠の光が収束し、そこには戦意を完全に喪失し、穏やかな表情で眠りについた刺客たちと、師匠の「心」を完全に受け継ぎ、一回り大きな存在となったミナ、そして静かに微笑む枢がいた。

 枢は、声を失い、腕を失いながらも、ミナという「最強の代弁者」を通じて、一人の鍼灸師として絶対的な無双を成し遂げたのだ。

 

 次の瞬間。

 

 枢は、ミナの支えで立ち上がり、沈みゆく夕陽を見つめながら、声にならない唇の動きだけで、かつてないほど力強く、流暢な意志を伝えた。

 

「…………(さあ、……。……。……。……。ミナ。…………。…………。…………。……。……夕食は、……。…………。…………。……。…………。……。……熱いお茶……を、……。…………。…………。……。…………。……。……淹れて……ください。…………。…………。…………。……。…………。……。……喉に、……。…………。…………。……。…………。……。……沁みる……、…………。…………。…………。……。…………。……。……。最高……の、…………。…………。…………。……。…………。……。……。……やつ……を)」

 

 第310話。

 聖鍼師・枢は、声を奪う真空の刺客を、言葉を超えた「心象の言霊」と、ミナとの究極のシンクロ往診で圧倒し、不自由の果てに「心で診る」という真の無双を完成させた。

 

 夕刻の静寂の中。

 枢とミナ、二人の影は一つの巨大な「翡翠の鍼」となり、王都の闇を優しく、そして力強く射抜いていた。

本日、火曜日18:00の更新を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


第四章の第71話(通算第310話)。

いのぴー先生、枢先生がついに「声」までも失いながら、ミナとの完璧な連携で敵を圧倒する……という、師弟無双の極致を描きました!

言葉という最も便利な道具を失ったことで、枢先生の意志はより純粋に、より鋭く研ぎ澄まされました。ミナを自分の手足として使いこなし、真空の中で「心象の言霊」を響かせるその姿。もはや彼は、一人の鍼灸師としてではなく、一つの「意志の生命体」へと昇華したのです。


今回、音を奪う真空の術式を中和し、敵の魂に直接安寧を届けるために枢が駆使した「無響調律・共鳴術」を解説します。

まず、空間を支配する「静寂」の歪みを捉え、そこに自身の「心の声」を物理的な振動として叩き込むための起点とした**『天突てんとつ』**。喉元のこのツボに対し、枢は自身の翡翠の気を「絶対的な旋律」として放つことで、真空を内側から破壊し、世界に音を取り戻しました。


そして、刺客たちの殺意の根源にある「孤独」を特定し、それを「声なき慈愛」で飽和・消滅させるためのアンカーとした**『印堂いんどう』。自身の額にあるこのツボ(概念上)を介して、枢は自身の「心象の演算」を熱量として放出し、刺客たちの意識を強制的に鎮静させたのです。

最後に、ミナの体を通じて自身の全技術を出力し、二人の魂を一つの「最強の救済者」へと統合するための最終回路とした『膻中だんちゅう』**。胸の中央にあるこのツボを自身の全生命力で共鳴させることで、枢は「一人」の限界を超え、ミナと共に「二人で一つの神域」へと、奇跡の到達を果たしたのでした。


次回の第311話(第四章 第72話)は、本日火曜日**【21:00】**、本日最後の更新予定です。


声を失い、ミナとの絆を深めた枢。しかし、王都の地下から、ついにこの物語の「真の黒幕」……枢に両腕を捨てさせた元凶である、東の国の「絶望の化身」が、シオンの遺骨を依り代にして降臨します。

沈黙の枢と、覚醒したミナ。

二人は、愛しき人の「遺骨」を弄ぶこの悪魔に対し、どんな往診(裁き)を下すのか。

「…………(ミナ。…………。…………。……。……。……最後の……。…………。…………。……。…………。……。……外科……。……。……。……。……。……。手術……、…………。…………。…………。……。…………。……。……。……始め……。……。……。……。……。……。……。……ましょう)」


21時、本日最終。因果の清算、慟哭の外科往診。

聖鍼師・枢、ついに「すべての終わり」を診ます。どうぞお見逃しなく!

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