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死神が下りた戦場で  作者: りん
本編
31/57

総軍軍議


幕舎に広げられた地図の上に、三つの軍旗が並ぶ。

その周囲に集うのは――総司令官セレン、第二軍団長リシュモン、第五軍団長イェルネス、

そして第三軍を支える二人の師団長、ゼイルとガロット。


セレンが冷静に切り出した。


「敵軍は王子が再編を主導し、北西部の陣を再構築中。

 前線の崩壊を支えきれず、兵の士気も落ちている」


地図上に光点がいくつか浮かぶ。敵の補給線、陣構築の進行度、配置図。


「現時点が、最も脆い。その隙を突く。

 我が第三軍は、正面からの主攻撃部隊を務める。


続いて、リシュモンが腕を組んだまま言葉を継ぐ。


「第二軍は、主戦線には加わらず、補給線の遮断と側面支援に回る。

 あの王子、戦の矜持に囚われて戦線を離れまい。ならば兵站を絶つ。……戦場にあって最も静かに効く手だ」


「第五軍は、すでに敵の魔導障壁を調査済み。奇襲部隊が通れる経路を一本、明朝までに開通させる。

 我が方の魔導隊は、前衛に雷封結界を張って進行支援する」


イェルネスの声は淡々としていたが、その中に熱意は確かにあった。


「では、各軍、準備に入れ。

 明朝、夜明けとともに、王国軍は進軍を開始する」


三つの軍が静かに頷き、散っていく。


セレンは最後にゼイルとガロットを呼び止めた。


「……お前たちは、私の矛と盾だ。無理はするな。

 だが、確実に勝ちに行く」


「――無理しないように、確実に死なないように、全力で戦えってやつだな」

とガロットが苦笑し、

「任務了解。死んでも生き返る勢いで行ってくる」

とゼイルが飄々と笑う。


そんな二人に、セレンの瞳がわずかに細められた。


「……帰ってこなかったら、追いかけてでも叱る」


その言葉に、二人とも一瞬だけ、肩をゆるめて笑った。


戦の火蓋は、いよいよ落ちようとしていた。

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