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死神が下りた戦場で  作者: りん
本編
29/57

総司令官の拝命と三軍集結

戦地に冷たい風が吹く。

西の最前線、第三軍の本営。

広大な野営地に、数千の兵が整列していた。向かいの丘に立つ二つの軍旗は、それぞれ南方第二軍と中央第五軍の印。

それを率いる重厚な騎馬隊の先頭には、整えられた白髭と威容を持つリシュモン伯爵と、黒衣の姿が映えるイェルネス将軍の姿があった。


彼らが率いる援軍の到着と共に、セレンの元に王命が届けられた。


やや開けた丘の上、即席の壇上に立つセレンの前で、リシュモンが王印の押された命令書を広げる。

「王命を奉じ、援軍参上せり」


第二軍の号令とともに、堂々と騎を進めたリシュモンが、セレンの前で静かに膝を折った。


「セレン・カリス・レオント殿――」


その声に、第三軍――セレンの兵たちは姿勢を正す。

同様に、到着した第二軍、第五軍の兵たちも静まり返った。


リュシモンが一歩前に出て、巻かれた命令書を広げる。


「王国軍、最終決戦に臨むにあたり、王命をもって汝を全軍の総司令官に任ず。

 全軍は貴殿の指揮下に入り、最後の勝利をもって戦を終結させることを命ず」


宣言が終わると同時に、場の空気が変わる。

地に立つすべての兵が、目の前の細身の将を見つめた。


銀の髪に風が絡み、白い外套がはためく。


セレンはゆっくりと片膝をつき、右手を胸にあてる。


「……謹んで、拝命する。

 この命、戦の終結と王国の勝利のために」


その声に、重々しくも清冽な響きがあった。


そして、儀式の形式に則り、リシュモンとイェルネスがそれぞれ一歩前に進み、跪いた。


「我が第二軍、汝の指揮下に入る。

 長きにわたり国を守ってきた兵たちを、貴殿に託す」


「第五軍も同じく。命令を、そして勝利を期待しております。――“氷の死神”殿」

とイェルネスが軽く目を細め、優雅に頭を下げた。


セレンは静かに彼らの手を取って立ち上がった。


三つの軍が、今ここにひとつに結集した。

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