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クロノワールド -再創-(Re:Creation)  作者: ゼロザム=ルーゴ
第肆章 暗黒の創造主篇
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第肆拾弐話「無限の闇」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

メビウス「大丈夫、『ヒーローは必ず勝つ』って相場が決まってるからさ」

そんな言葉を耳にしたマスターダークが笑い出す。明らかに軽蔑と意図を含んでいた。

マスターダーク「愚かですねぇ…そんな偶像を信じるなんて」

幼稚だと見下すようにくだらないとメビウスの言葉を一蹴する。

メビウス「理想を現実にして、抗って生きた方がかっこいいだろうよ」

否定し、踏み躙ってやろうというマスターダークとは対照的に意志を貫き通していた。そんなメビウスを分身が包囲する。全員が殺意を向けていた。

マスターダーク「面白いですねぇ」

含みのある言葉にメビウスは顔を訝しむ。すると、何の前触れもなく地面が微振動を起こす。

メビウス「なんだ?」

嫌な予感がして、警戒心を抱いた。直後、至る所から黒いモヤが本体である心臓に集い始める。これは現在進行形で行われていた他の暗黒世界のものであった。

マスターダーク「では、本気を見せてあげましょう…是非、ご堪能ください」

告げられた言葉にメビウスは目を見開く。これから起こるであろう先の出来事に絶望を抱いた。そして、それを思い知らされる事になる。


大広間にて、戦況が大きく変化した。リディアの身体から黒い塵が浮き上がって、玉座の間へと流れ始める。

リディア「そ、そんな…!!」

察しの良い彼女はマスターダークの目論見に気付く。

剣「なっ!?」

ライト「あれって…!?」

牙禅「倒した際に出るものか…」(しかし、何故?)

衝撃の光景を目の当たりにした戦士は愕然とする。誰もが見覚えがあるものであり、それを牙禅が口にした。

リディア「だ、ダーク…!私が何を…!?」

消えたくないと生に縋り、認めたくないと無情な現実を拒む。彼女の脳内にマスターダークの声が流れる。

マスターダーク「面白いのがいましてねぇ…本気を出す為、貴方達を消させてもらいます」

なんとも身勝手な動機、自己中心的な言葉には嬉々とした笑いが混じっていた。

リディア「ダーク…!!アナタはァァァァァァ…!!!」

ふざけるなと嘆き、自身が仕える創造主に恨みを吐き捨てながら消滅していった。


消えるのはアークも同様であった。

アーク?「暗黒の創造主め…まぁ、良いだろう」

脳内に直接語りかけられたマスターダークの声に臆しておらず、明らかに落ち着いていた。命の危機があるのにも関わらずに

フレア「何言ってんだ!?テメェ!?」

戸惑いながらも戦闘態勢は解かなかった。それはブラックも同じだ。アークが顔を向けて、赤く光る黒い瞳に映す。

アーク?「フレア、ブラック…」

淡々と言い放った言葉は何処か無機質で、異様に冷たかった

アーク?「また会おう…いずれ知るその時まで」

含みのある言葉を残した直後、全身が炭のように崩れる。塵と化した肉体はマスターダークの元へと向かっていった。

ブラック「…得体が知れなかった……」

謎は多いものの、アークを乗っ取った人物が只者では無い事はわかった。一言で表すなら未知なる恐怖、底無しで得体が知れないおぞましさを含んでいた。

たったそれだけ…しかし、心に残すには充分だった。


空に漂い、流れていくリディアとアークの身体を構築していた闇…それら全てが本体である心臓の中へと入っていく。

マスターダーク「んん〜…馴染む、実に馴染みますねぇ…」

心地良さそうに声を漏らし、これ以上無い程に満たされていく。

メビウス「…世界そのものを相手している気分だ……」

本来の実力に戻っていくマスターダークを前にして臆する。圧倒的な威圧感、オーラに触れて押し潰されそうになる。

マスターダーク「我、創造主ぞ?言わずもがな、我は世界そのもの…」

心臓の表面と包囲する分身が持つ黒白目…その赤い瞳が中心にいるメビウスへと向く。分身達が浮かべる笑みとは裏腹に殺意が込められていた。

メビウス「そうかよ…!」

拳を強く握り締める。危機感を覚えるも、ここで退く訳にはいかない。それは他の戦士も同じであった。


城前の門にて

フォース「よし!片付いたから助けに行こうぜ」

駆け寄るゲイツに気付き、城内へと入る事を告げる。

ゲイツ「そーだな」

隣に並んで、進もうと動き出した。

ゲイツ (なんだ、心が凄いザワつくな)

だが、妙な胸騒ぎが起こった。ふと空を見上げると、異変を視認した。覆っていた雲のような闇が先程よりも速くなっていたのだ。

ゲイツ「…早く行こう」

フォース「…だな」

共に嫌な予感がしていた。フォースもゲイツの心情を読み取っており、急ごうと走り出そうとする。

直後、暗雲から赤い雨が降ってくる。液体は膨大し、マスターダークへと変化した。数多の分身が二人を包囲し、逃げ場を塞ぐ。

ゲイツ「予感的中…最悪なんだけど」

現状に嫌気がさす。気怠げに話す言葉とは裏腹に内心は危機を感じていた。

フォース「…同意」

ゲイツに同情した。フォースも同じであった。これから苦戦を強いられると確かに予感していた。


大広間へと場面は戻る。剣達も数多の分身に包囲されていた。牙禅は心眼で上の階にいるマスターダークとメビウスの現状を読み取っていた。

目を見開く。今、メビウスが危機的状況に追い込まれている事…そして、マスターダークの思惑に気付き、瞬時に振り返った。

牙禅「急げ!剣!ヤツはメビウスを殺すつもりだ!!」

赤い瞳を剣に映しながら、必死な様子で指示する。

危機迫った声を聞いた当の本人が驚く、それはライトも例外ではなかった。

剣「わかった…!!」

すぐに理解して、頷く。太刀を握り締める。

剣「牙禅!ライト!生きて帰るぞ!!」

二人に声をかける。この場を牙禅とライトに任せ、先を急ごうと走り出した。

牙禅「応!」

ライト「はい!」

二人の間を通り抜けた剣の言葉に返答する。牙禅は波動の槍を、ライトは光の拳銃を生成させて、確かに構えた。

「サセマセンヨォ?」

目前の分身が剣の行く手を阻み、照準を合わせる。他の分身もピストルの他、サーベルを構えた。明らかな殺意が込められていた。

剣「激龍…!」

臆さずに柄を握り締め、刃先を向ける。静かに且つ力強く唱えた刹那、全身から発現した激龍が身に纏う。

次の一歩を踏み込んだ時、刃に纏う激龍が焔を模した。

剣「聖天(セイテイ)・閃(ヒラメキ)!!」

太刀を振り上げた刹那、激龍は斬撃波として飛んだ。大気を裂きながら地を進むそれは目前の分身を幾つも葬った。

「オヤオヤ…サスガデスネェ」

既のところで躱した分身が笑みを浮かべる。出た言葉は賞賛が含んでいた。

剣が階段を駆け上がり、玉座の間へと向かう。

「ヤラレマシタカ!」

「コロサナケレバ!」

先を行かせてたまるかと数体の分身が後を追おうとする。だが、飛ぶ波動弾と光弾が全て直撃し、消滅させた。どれも剣には当たらなかった。

剣に意識を向けていた分身が牙禅とライトへと移り変わる。

牙禅「貴様らの相手は我々だ!」

ライト「通しません!」

こちらに注意を引きつける。牙禅は手に握る波動の槍の他に周囲に波動弾を張り巡らせた。ライトは照準を合わせていた光の拳銃を直剣に変形させて、構える。

「無意味…ワタシは全てを飲み込む、無限の闇……」

一体の分身が不敵に笑う。

「まだまだいますからねぇ…!!」

大広間にいた全ての分身が牙禅とライトを包囲した。


廊下を走り抜ける剣の前に数体の分身が立ちはだかる。

「イマシタネェ」

「イカセナイヨ!」

全てが剣を視認し、サーベルとピストルを握り締めたまま近付いていく。

剣「激龍…!!」

落ち着いたまま切っ先を目前の分身に翳す。

剣「空流!!」

突き出す刃、それに応じて神速で突進を繰り出す。身に纏う激龍が後ろへと流れていき、通り抜けていった分身を滅していった。

群れの背後に現れた剣が激龍を温存させようと動きを止めると同時に解き、先を急ごうとする。だが、既に読んでか包囲するようにまた立ち塞がり、銃口を向けた。

剣「っ…!」

咄嗟の行動に戸惑う。引き金が引かれ、銃声と共に弾丸が放たれる。

剣「激龍 蜃気楼!」

弾丸が間合いに入った時、それらは命を奪わずに、すり抜けていった。

直後、白刃が円を描くように旋回する。包囲していた分身の腕が切断し、地に落ちてすぐに消滅した。

「ナントナント…」

「ハヤイデスネェ…」

抑えめながらも驚き、賞賛していた。直後、包囲していた身体も一瞬にして散る。回転する刃は分身の全身を斬り裂いていたのだ。

「コレデオワリデスカァ!?」

だが、増援に現れた新たな分身がサーベルを片手に突っ込み、攻撃を仕掛ける。刃が振るわれるよりも前に剣は素早く太刀を振るい、分身を葬った。

「ナントモアマイ!」

立て続けに三体の分身が剣の背後から飛びかかる。振り向こうとする剣…だが、間に合いそうにもなかった。

反った刃を振り下ろす又は引き金を引こうとした時、通路側の壁から赤い光と共に衝撃波が巻き起こった。

「ナニッ!?」

「コレハァッ!?」

それは接近したマスターダークの分身を一瞬にして蹴散らしていく。

剣「今のは…」

圧倒的な威力を前にして、それが何なのかが既にわかっていた。突き破ってきた壁の方へと顔を向けると、ブラックとフレアの姿が見えた。

ブラック「大丈夫か…?」

剣の近くに駆けつけ、背中を合わせる。

フレアが口を開いた。

フレア「先行きなよ、俺様達が相手するからよ」

剣に告げる。無論、ブラックも同じで、フレアと共にここで分身の足止めをするつもりだ。

「ムダダト」

「イッテイルデショウ?」

戦士の前に、包囲するようにして分身が現れる。進む事も退く事もできないよう行く手を阻む。

剣「…参ったな」

現状に焦り、太刀の柄を握り締めた。早くメビウスの元へ向かわなければならないのに

ブラック「問題無い…」

思考を張り巡らせる剣の前…玉座の間へと通ずる進行の方へと立ち、弓を引いた。鋭く睨む赤い瞳が先を見据えており、弦が後ろへ引っ張られる度に大気が重くなる。

手放した刹那、目前の敵が一斉に葬られていく。分身は一言も発せないまま消滅していった。

ブラック「行け…!」

剣「感謝する!」

指示するブラックに感謝を告げ、前へと進んだ。

「イカセマセンヨ!!」

先を行かれた事に数多の分身が反応し、振り返りながらピストルを構える。だが、沸騰する程の熱湯が刃として振るわれ、赤い肉体を両断した。

「ナンダト…!?」

「コレハ、イタイネ!」

もろに受けたヤツらは間もなく消滅する。

それらを補うようにして新たな分身が敷かれたカーペットから生えるように出現した。

黒白目が持つ赤い瞳にはフレアがおり、先程の攻撃は彼によるものだと瞬時に理解する。

フレア「やらせる訳ねぇだろ、バーカ」

断固として許さないという意志を抱きながら睨みつける。しかし、そんな威圧ではマスターダークが臆す訳がなかった。

ブラック「油断するな、フレア…」

フレア「わかってるよ!」

互いに背中を合わせ、包囲する分身を警戒する。

ブラックは双剣を、フレアは拳を…それぞれが己の武器を握り締めた。


多くの戦士が分身を倒していく中、剣は疾走していた。

当然ながら分身は立ちはだかってくる。だが、剣は攻撃を躱して隙をついて先へ進んだり、激龍を纏わせた刃を振るったりと切り抜けていく。

そうこうしていると、玉座の間に通ずる両扉が見えてきた。

剣「待っていろ、メビウス…!!」

閉ざされているのを視認し、太刀を力強く握り締めた。


少し時を戻して、メビウスは幾度なく突き出されるマスターダークの赤い触手を走り抜けながら躱していた。

マスターダーク「おや?先程までの威勢は何処へ?」

地面、壁面と突き刺す度に穴が出来て、亀裂が走る。当たれば一溜りもない事が明白であった。だが、どれもビヨンドソニックになったメビウスを貫けていない。

マスターダーク「同じ芸ばかりではつまらないでしょう!」

触手の先端を機関銃に変形させて、メビウスに照準を合わせる。直後、一斉に銃声が鳴り響き、全方位に弾幕を張り巡らせた。

しかし、既に読んでおり、壁を蹴って高く跳んだ。そのまま本体である心臓に目掛けて蹴りを突き出す。

マスターダーク「ほぅ!そうきますか!しかし…!」

勢いよく落下して迫るそれに平然としたまま分身を創り出し、巨大な盾へと変形させた。

メビウス「オラァッ!!」

足裏は盾の表面に直撃し、衝撃波が広がる。

マスターダーク「私には効きませんよォ…!!」

嘲笑いながら余裕そうにメビウスを煽る。すると、盾から触手が広がり、踏みつけていた足に巻き付く。

メビウス「ぐっ…!ソニック・スター!!」

締め付けられて痛みが走るも堪えながら化身の字名を叫ぶ。青い化身が姿を現し、拳による連撃を繰り出す。

目にも止まらぬ速さで盾を破壊し、打ち込む度に押されていった。

そんなメビウスの背後に赤い雫が現れ、渦巻いて・伸びていって巨大な針へと変形する。先端が闇より黒い背中に向けられた。

殴り続けてか巻き付いていた触手が怯んで、足から手放した。

メビウス (今ッ…!!)

後ろにある攻撃を既に読んでおり、蹴ってここから離れた。直後、飛行して突っ込んできた針が盾を突き刺す。

空高く舞う身体を立て直しながら拳を後ろに引いた。

メビウス「ハンドショット…!!」

握り締めた事で青く光り出す。オーラが炎のように揺らめきながら勢いよく突き出そうとした。

その時、赤い触手が伸びてくる。前腕部に巻き付き、強く締め付けた。

メビウス「邪魔だな…!!」

同じ手を喰らった事に苛立ち、状況に焦る。再びソニック・スターを呼び出し、蹴りを入れた。だが、ビクともしなかった。

マスターダーク「それが貴方の力ですか…想像以下でしたね」

愚かと嗤い、弱いと失望する。化身が繰り出した脚にも別の触手が伸びてきて、捕らえた。

メビウス「マズイ…!!」

思わず言葉を漏らす。為す術なく、数多の赤い触手がメビウスとソニック・スターの胴体、他の四肢に巻き付き、拘束されてしまった。

メビウス「ぐっ…!!」

強い力に締め付けられる。苦痛で顔が歪むも何とか耐えてみせた。振りほどこうにも解けなかった。

マスターダーク「残念でしたねぇ…正義のヒーロー様が捕らえらるとは」

滑稽と声が嘲笑い、目がメビウスを見下す。

対して彼は睨みつけていた。まだ諦めていないのが見て取れる。

依然とする中、メビウスの周りにマスターダークの分身が現れた。手にはサーベルが握り締められてる。

再びメビウスが力を込めて、引っ張ろうとするも拘束は解けなかった。

マスターダーク「無駄無駄…!ショーは最後まで見届けるものですよ」

紳士らしい口調に合わせて、分身が律儀に頭を下げる。一体が姿勢を正した直後、刃が振り下ろされた。

メビウス「ぐっ…!」

切りつけられた痛みが走り、胴体に傷が刻まれた。

マスターダーク「次です!」

間髪入れずに別の刃が振るわれ、メビウスを切りつけた。

メビウス「ぐあっ…!!」

新たに傷が付けられる。あまりの痛みに声を出し、されども堪える為に歯を食いしばった。

だが、また刃が…それも全てが一斉に繰り出される。

メビウスの肉を切りつけ、血飛沫を上げさせた。

メビウス「うわああああああっ!!!」

激痛に耐えきれず、叫ぶ声には苦しみが込められていた。

マスターダーク「さぁ!ご覧下さい!!ヒーローと自称する少年が容赦なく切り刻まれる様を…!!苦痛込めた音色!上げる血飛沫!心身共に疲弊していくそれは虚空に響き!大地を穢す!」

そんなメビウスを他所にサーベルは幾度となく斬り続け、本体である心臓はエンターテイナーのように高らかに声を上げる。

数秒続く斬撃の雨が一度止む。血塗に、傷だらけ…瀕死のメビウスは荒い呼吸をしていた。

マスターダーク「とはいえ、これでもう最後…可哀想ですねぇ、どうして生き物とはこうも……」

愚かと言わんばかりに見下す。

包囲する全ての分身がサーベルを後ろに引き、勢いよく突き出した。

マスターダーク「儚いものなんでしょうね」

肉を刺す音が虚空に鳴り響く。刃はメビウスを貫き、致命傷を負わせた。血に染まる身体も、機能していた臓物も無に帰す。

直後、両扉が斬られた。それを蹴り壊した剣が玉座の間へと入ってきた。

剣「助けに来たぞ!メビウ…」

赤い瞳が目前の光景を映す。

剣「…ス……!?」

あまりの衝撃に紡ぐ言葉が止まってしまった。

手足を触手で巻き付かれたメビウスがおり、傷だらけで赤く染まっていた。

そんな惨劇を目の当たりにした剣が目を大きく見開く。

剣「メビウス!!!」

顔に絶望が浮かぶ。もっと速く着いていればと後悔しながらも、急いでメビウスの元へと走り出した。

次回 第肆拾参話 「再燃する意志」

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