第参拾伍話 「抵抗と奮起」
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
その頃、ライトとゲイツは牙禅の元へと向かっていた。
ゲイツ「血の匂いに、とてつもない轟音…急いだ方が良い」
全力疾走で砂の上で駆け抜ける中、後ろにいるライトに催促していた。
ライト「わかっています!」
彼自身も既に理解しており、必死に走っていた。
レオ達は無事なのか?相対している敵は牙禅よりも強いのか?心配な気持ちが心の中を覆っていた。
ゲイツ「…なぁ」
考え込んでいるライトに声をかける。
ライト「はい?」
呼ばれて返事した。何を言うのか予測できず、疑問に思っていた。心のどこかで秘密を言われるのではと僅かに警戒する。
ゲイツ「君、昔いじめられていたんだっけ?」
当たっていた。牙禅のいない今、止めれないと諦めかけている。だが、今は二人っきりだったので素直に答える事にした。
ライト「…はい」
少し抵抗があった。過ぎた事とはいえ、思い返したくないものだし、今でも忘れられない嫌な記憶でしかなかった。
しかし、返ってきたのは静寂…せっかく答えたのにそれは無いんじゃないかと思った。
ゲイツ「…嫌なら嫌だっていいなよ」
すると、ライトに素直な気持ちをアドバイスとして伝えた。
ライト「え?」
意外な言葉に目を見開く。どういう事かと戸惑いながらも静かに話を聞く事にした。
無論、ゲイツは言葉を紡いだ。
ゲイツ「これ言ったら傷付くんじゃないか?相手を泣かしてしまうんじゃないか?なんてわかりもしない事ばっか考えてたら疲れるでしょ」
淡々と語る言葉にライトは目を見張った。言われてみれば確かにと奇妙に思いながらも納得していた。
ゲイツ「やーっと言えたよ、ずっと気持ち悪かった…」
疲れ気味の表情で本心を吐露する。どうやら抱いていた嫌な気持ちを上手く言語化していた。
ライト「ちょっと!?」
感心していたのが馬鹿らしいくなるじゃないかと、訴えようと呼びかけた。
ゲイツ「それでいいよ」
思っていた通りになった事で微笑みを浮かべた。ライトからはその表情は見えなかったものの、確かに伝わっていた。
ゲイツ「友達が死んで、いじめっ子のように身勝手で無責任な言葉を使いたくないのはわかる。けど、それで言いたい事言えなくなるのは辛いでしょ…」
ライトに同情しながらも、それは違うと否定するべきところは否定した。すると、突然と言わんばかりに足を止めた。
気付いたライトも立ち止まる。振り向いたゲイツが彼の顔を見据えた。
ゲイツ「我慢じゃなくて、胸張って堂々と立ち向かいなよ。そんな理不尽全てにさ」
真剣な表情で伝えた言葉はライトの心に伝わり、気付かされた。
ライト「ゲイツさん…」
ゲイツの意志が自身の考えを大きく変化していた気がした。違う価値観だが、無意識にすんなりに受け入れる事ができた。
ゲイツ「…んで」
声のトーンが少し低くなった。ライトから視線を外して、周囲を見渡した。
ゲイツ「誰だよ?コソコソ隠れて盗み聞きしてるのは…」
身に纏っていた気軽で気怠げな雰囲気が真剣で静かな殺意を纏うものへと大きく変わる。
見えない敵を捉えたかのように振り返り、殺気と敵意を宿した瞳が静かに見据えた。
戸惑うライトだったが、潜んでいた気配に遅れて気付き、両手で生成した光の直剣を握り締めた。
「あら?第六感が鋭いのね、青獣族だから?」
二人の前にリディアが対峙しようと、黒い渦と共に姿を現した。
リディア「それとも、紅蓮獣の特性?」
顎に手を当てながらゲイツとライトを不思議そうに見つめ、先に気付いたゲイツに興味を抱いた。
ゲイツ「ダダ漏れなんだよ、これでわからないのは鈍すぎ…」
爪を立て、腰を低くする。その姿は正に獣のようであった。全身から赤く光る黒い稲妻が迸り、あの紅蓮獣のものへと変わる。
飄々としたリディアはその雰囲気とは裏腹に押し潰されそうな殺気と悪気を放っていた。当然ながら戦士であるライトとゲイツが臆する事は無かった。
ライト「貴方は、誰なんですか…!」
真剣な眼差しで気を引き締めながら名を訊ねた。光の直剣を握り締める手が更に力が込められる。
リディア「私は暗黒の女王、創造主に仕えし者…名はリディア、以後お見知りおきを…」
慎ましく丁寧に名乗り上げる。胸に手を当てながら二人の前でお辞儀した。その振る舞い方はさながら従者のようであった。
ゲイツ「グルルルルル…!!」
理性を消してか唸り声をあげる。次の刹那、目にも止まらぬ速さでリディアに接近した。光の直剣を構えたライトも後に続く。
リディア「そうよね…」
それを目にしてか本気と悟り、面倒と言わんばかりにため息を吐いた。正面に手を伸ばすと、全身から黒いモヤが現れる。
ライト「何か、来ます…!」
それを攻撃の合図と捉え、警告としてゲイツに伝えた。次の一歩が前に踏み出た時、黒いモヤは一つに集まって巨大な大蛇となった。
リディア「行きなさい、バクトル…」
黒い大蛇 バクトルに命じるとそれは素早く地を這い、前進し始めた。赤く光る瞳はゲイツを獲物として捉えていた。
ゲイツ「ウガァァァ!!」
迫る怪物を威圧しようと雄叫びを上げて、全身に帯びた赤い稲妻が放たれる。
次の刹那、ゲイツは既にバクトルの頭上に現れ、立てた鋭利な爪で頭部を引き裂いた。血飛沫の代わりに黒い塵が噴き出て、怯んだ。
そのままバクトルを飛び越え、リディアの間合いに入った。
彼女は差し出した掌を上に向け、静かに唱えた。
リディア「ゴーシュ」
直後、瞬きする間もなく周囲に現れた数多の鳥が飛行しながら渦を描いていた。
ライト「ゲイツさん!!」
マズいと呼びかけるも、遅かった。黒い竜巻はゲイツの身体を傷付けていく。
ゲイツ「ガァァァァ!!!」
死ぬと本能が働き、痛みを描き消そうと雄叫びを上げる。その意志に応じてか赤い稲妻が四方八方に広がる。感電した黒い鳥は耐えきれず崩壊していく。
僅かに収まった隙に黒い竜巻から離れ、砂の上で転がった。
ゲイツ「ぐっ…!はぁ…!はぁ…!!」
肩で息をしながら意識を保とうとし、必死に起き上がろうとする。
ライト「ゲイツさん!」
すぐさま駆けつけ、安否を確かめた。身体中に切り傷はあるものの、致命傷には陥らなかった。
リディア「甘く見ない事ね」
追撃しようと指揮者のように両腕を振るう。すると、ゴーシュと呼ばれる鳥の群れは軌道を一直線に迫ってきた。
ライト「させません!!」
自身も含めてゲイツも護ろうと光の直剣は巨大な盾となり、目前から来る鳥の群れに翳した。
だが、それらは盾の前で分断し、両サイドからライトとゲイツに目掛けて迫る。
ライト「っ…!!」(マズイ!防ぎきれない…!)
想定外の出来事に愕然とし、焦りながらも必死に思考を張り巡らせた。
ゲイツ「…自分の身を、守れ…!!」
声を絞り出して、ライトに指示した。
ライト「え?」
また静かに驚いた。理性を失った紅蓮獣となったゲイツが喋れたのだ。だが、無意識だったのだろう、信じていたライト自身の意志が光の盾をバリアのようにドーム状に変化した。
ゲイツ「うおおおおおお!!!」
次の刹那、雄叫びと共に全身から赤い電流が広範囲に放たれた。眩い雷光は鳥の群れを感電させ、確かに消し飛ばした。
ライト「もしかして…!」
謎の真意がたった一言だけで真実へと導き出した。
ライト (彼は暴走していない!演じていたんだ!!)
思えば、コピーに擬態したブロブとの戦闘でも難無く躱しており、故に現にゲイツは無傷であった。これは理性無くしてやれるものでは無い。
赤い雷撃は止まず、それはライトが張ったバリアにも当たっていたが、破られはしなかった。
リディア「眩しいわね…」(ブロブでも思ったけど、知能があるのね…)
雷光を忌々しく思いながら片手で遮り、目を瞑る。
彼女も知っていた、ゲイツは紅蓮獣を上手く使っていると…
数秒も続いた稲妻は止み、残ったのはリディアとライト、そしてゲイツであった。
ゲイツ「ハァッ…!」(クッソ…!!)
酷使し過ぎたのか息を吹き返し、膝をつきながら荒い呼吸を整えた。
紅蓮獣の放電は体力の消耗が激しく、現にこのように疲弊しているのだ。
リディア「成程、その場しのぎね…」
一目で読み取り、好機と捉えてかゲイツに歩み寄ってきた。纏う雰囲気は余裕を含んでおり、惨めと言わんばかりに見下していた。
このままでは殺されると考えが過ぎってか照準をリディアに定めた。
ライト「ゲイツさんから離れて!」
光の拳銃、その引き金を引いて光弾を発射した。
目にも止まらぬ速さで飛行し、彼女の間合いに入った。
しかし、再びバクトルを顕現させて身を呈してリディアの盾となった。光弾は黒い皮膚の上で弾き、全て打ち消された。
ライト「なっ!?」(消えない…!)
光が弱点なはずなのに、何一つ効果が無かった事に目を見開き、絶望が芽生える。
リディア「無駄よ、私は暗黒の女王…」
口を開き、彼女の支配下にある暗黒の怪物が周囲に集う。リディアはバクトルの長大な身体に腰掛け、足を組んだ。
リディア「創造主には劣っても、上位の存在よ」
握り拳の上に顎を乗せ、静かにライトを見据える。
彼女の方には一羽の鳥、足元には猿と犬の怪人など全て干支が由来であろう動物も威圧せんと正面を向いていた。
凍てつき、剥製のように無機質な感覚…その恐怖はライトの全身に伝わり、心を僅かに揺るがせた。
リディア「キュウモン…」
お淑やかな声色で名を呼ぶ。すると、群れから巨大な牛…まるで饕餮のような風貌をした黒い怪物 キュウモンがライトに突進する。
ライト「っ…!」
巨大な図体で想像もつかない速さ、構えながらも危険と脳が信号を発した事で横に跳んで回避した。
キュウモンが通り過ぎた隙に光の拳銃を向けて、光弾を連射した。
リディア「ザンコ!」
また名を呼ぶ。すると、彼女の目の前に虎の頭が現れた。盾として立ちはだかるヤツは大きく開いた口で光弾を食らった。
ライト「また…!!」(手数が多い…!!)
悔しさで歯を食いしばりながらも次の攻撃に備えようと光の拳銃は盾へと変形した。
リディア「トウコク…」
一回り大きな黒い鼠 トウコクがバクトルの上を駆け抜け、リディアに近付く。
ライト (何かする気だ!)
危機を予感してか、盾を投げ飛ばす。それは迷い無くトウコクとリディアの目前に移動する。
ライト「させるか…!」
そして、片手を突き出した直後、盾は崩壊して閃光を発した。
リディア「くっ…!」
暗雲に覆われた空間を照らし、点滅する光が目を眩ませた。暗黒の怪物も怯んだせいで身動きが取れなかった。
隙をついてライトが撃った光弾がトウコクを撃ち抜き、消滅させた。更には間合いを詰めて、生成した光の直剣を両手で握り締めた。
ライト「はぁっ!!」
勢いよく、素早く振るうが、空を切られた。
ライト (何処だ!?)
瞬きする間もなくリディア含め暗黒の怪物の軍勢もいない事に愕然とし、構えながら周囲を見渡した。
振り向いた明後日の方向にリディアがおり、斜め後ろには黒いモヤを放つ赤い目の黒馬がいた。だが、普通の馬とは異なり、少し大きかった。
リディア「ありがとう、ロウド」
感謝を告げるが、返ってきたのは静寂であった。
リディア「やはり、一筋縄ではいかないわね」(トウコクで心臓を奪うつもりだったのだけれど、無理だったわね)
先の攻撃で仕留めるつもりだったが、切り替えて改めて気を引き締めた。
その頃、牙禅はマスターダークが繰り出される刃と弾丸を正確に躱し、弾き返していた。更には迫る分身を尽く屠っていた。
マスターダーク「まだまだやれますよね?」
だが、包囲する軍勢は減らず、未だ増えていき、埒が明かなかった。彼らは手を緩めず、攻撃を続けていた。
牙禅「クソ…!」
あまりの数の多さには鍛え上げてきた彼でさえも苦戦を強いられていた。
マスターダーク「更には片腕だけ…これはかなり苦しいですよねぇ?」
口角が不気味に吊り上がる。牙禅の視界の外…その左側から静かに迫る。手にはサーベル、振り上げようと静かに構えていた。
だが、繰り出される前に牙禅は右手を動かし、掌から波動弾を放った。それはマスターダークの顔面に直撃し、爆煙が昇りながら膝をついて倒れながら消滅した。
牙禅「ナメるな!」
強く握り締める右手から波動が発現する。
直後、銃声が重なり、周囲から鉛玉が飛行して間合いを詰めてきた。
だが、牙禅は迷い無く姿を消した。否、それは瞬間移動であり、グリンの隣に現れた。
牙禅「…大丈夫か?グリン」
呼びかけるも、返ってくるのは静寂であった。
気になって目を遣るとグリンは項垂れていた。レオが死んだ事実がまだ受け入れられず、立ち直れていなかったのだ。
牙禅「…無理も無いか」
今は命がかかった戦いの最中で、鼓舞させて無理でも立ち上がらせるのが最適だろうが、理性が…同情する気持ちがそうさせなかった。
牙禅「俺は、ゲイツは死んだと…そう思っていた。だが、結果的に生きていた。」
そんな気持ちを堪えようと考えてか波動を解き、全身から消えた。
牙禅「思い込みは恐れと怒りに変わって心を蝕む…その痛みは俺でなくとも、他の仲間も理解してくれるだろう」
グリンの肩に手を置いた。それが我に返らせたのか当の本人は静かに牙禅の方へと顔を向けた。
青い瞳にはマスターダークの軍勢を見据える牙禅の姿が映っていた。
牙禅「…立て、そして戦おう。レオの弔いの為に」
真っ直ぐに遣る赤い瞳は一切、逸らさなかった。
牙禅の言う通りだとグリンの心が叫んだ。のしかかる絶望のせいで重くなった身体を起き上がらせた。
マスターダーク「おや?立ち上がりますか」
マスターダーク「しかし、貴方如きに何ができるというのです?」
全ての分身が二人に近付く。重なる足音は軍隊の行進のように鳴り、威圧感が迫る。
牙禅「貴様…」
どの口がと怒りの籠った声が呟く。マスターダークを睨みつけ、抱く殺意が増す。
グリン「牙禅さん…」
だが、名前を呼んで牙禅を制止させた。暗い気持ちを払拭させようと、沸き立つ憤りを鎮めようと深呼吸した。
そして、落ち着いた。グリンの目は据わり、意を決して口を開いた。
グリン「すみません、もういけます」
懐から薬品を取り出し、力強く握り締めた。
牙禅「…そうか」
不安はある。まだグリンの精神は安定していないから…だが、彼の意志を尊重する事にした。
再び戦闘態勢に入り、全身に波動が纏われた。
マスターダーク「面白いですねぇ…力を持たない貴方に何が出来るのですか?」
立ち上がるグリンを嘲笑う。続けて分身の笑い声が虚空に鳴り響いた。彼をまた絶望させれば、使えないただの木偶人形になると考え、策を練る。
マスターダークの言葉にグリンは言い返せず、歯を食いしばった。だが、牙禅が前に出た。
気付くグリンだったが、何も言わなかった。こちらに目を遣る牙禅が静かに任せろと合図していたからだ。
牙禅「外道が、人を侮り過ぎだ」
鋭く睨みつけながらドスの効いた声で言い返した。
すると、分身の行進が止まった。
マスターダーク「何を言いますか…」
全くもって響く様子は無く、反省の態度は無かった。
マスターダーク「私は暗黒の創造主、人なんかより素晴らしい世界を築き上げるつもりです」
それどころか余裕を持って嘲笑う。話す言葉には明らかな驕りが宿っていた。
牙禅「創造主?小物である貴様がか?笑わせてくれる…!」
くだらないと一蹴するように声を張り上げ、波動纏う突風が吹き荒れた。それは数体の分身を葬る。
マスターダーク「小物?私めが?」
その中で生き残った者が訝しながらも静かに耳を貸した。
牙禅「人の心も読めぬ外道が神を騙るな。人は貴様よりも強く、何度でも立ち上がれる」
真剣に説くが、マスターダークは退屈そうに欠伸をした。
牙禅「…時間の無駄か」
腰を低くして、片手を翳しながら構えた。
マスターダーク「えぇ、感動も何もありませんので」
彼らも手にするサーベルとピストルを構え、戦闘態勢に入った。
直後、投擲された瓶が数体の分身に直撃、瞬時に氷漬けとなった。それは前方の個体を例外なく凍らされる事に成功する。
マスターダーク「おや?」
凍った分身から別の分身が覗き、グリンを見据える。
グリン「許しません…!貴方だけは…!!」
帽子の鍔から鬼の形相が現れる。当然ながらマスターダークを許すつもりは無く、憎悪と憤怒を向けていた。
マスターダーク「そうですか…」
片手の指を動かす。すると、マスターダークの隣に牙禅が吹き飛ばしたレオの亡骸が現れた。
口から上は無く、もはやレオとしての原型は保っていなかった。
グリン「くっ…!」
卑怯と思い、立ち止まるグリン。頭ではレオでは無いとわかっているものの、心ではまだ…
牙禅「貴様…!」
外道と怒る牙禅が動こうとするも、いつの間にか包囲していた分身にサーベルを突きつけられていた。
牙禅「くっ…!」
頬に通った刃が僅かに傷をつけ、血を流させた。
マスターダーク「させませんよ?これは彼の意志が招いたものなのですから…」
赤い口が不気味に吊り上がる。
マスターダークの意志かレオの亡骸がグリンに歩み寄る。
グリン「レオ…!」
辛そうにしながら後退る。心がレオと戦いたくないと拒絶していた。
レオ「逃げるなよ、グリン」
吊り上がる口角が不気味に移る。
グリン「やめて!君は、もう…!レオじゃない!レオじゃないんだ!!」
懐に手を突っ込み、制止させようと声をかけた。
レオ「酷いなぁ…俺は、レオだよ…」
グリンが否定するも、崩壊した顔から赤い目が浮かぶ黒い闇が溢れ出る。
助けて欲しいのか、殺そうと思っているのかはわからないが、両手を前に伸ばす。
グリン「違う!君は…!」
目の前のレオを見て、かつて生きていた頃の面影を重ねていた。やるしか無いと思ったその時だった。
上空から水色の光柱が二人の間に降ってきた。照らすそれは暗雲に覆われた空間を照らし、周囲に烈風が発生する。あまりの威力にグリンとレオの亡骸が後ろへと吹き飛ばされた。
グリン「な、何が…!?」
砂に覆われた地面に身体を打ち付け、瞬時に光を見てか目を大きく見開いた。対してレオは光に包まれながら言葉を発せずに消滅した。
牙禅「あの光は、激龍…!?」
暗雲を晴らす光の柱…その正体を見抜く。
マスターダーク「まさか…!こんなところにまで来るとは、とんだサプライズですねぇ…!」
激龍の光を忌々しく思いながら最悪な事態である事を理解した。
次回
第参拾陸話 「激龍の使徒」




