第参拾話「人として」
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
同じく、フレアとナイトはビルの屋上にてソルダニルと交戦していた。その戦況は後者…ソルダニルの方が優勢であった。
軽傷である二人の周りを俊敏に駆け回っていた。
フレア「クッソ…!!」
高熱を帯びた拳や水の刃を振るおうが、全方位に水の弾を放とうが、全て躱されてしまっていた。
フレア「そこだ!!」
直感で熱湯の弾を数発撃つが、向こうへと飛んでいくだけだった。
ソルダニル「遅いよ」
フレアの背後に現れ、心臓に目掛けて騎槍を突き出す。だが、先に肉体を熱湯と化していた事で攻撃はすり抜けた。
フレア「あっぶねッ…!!」
落ち着いているソルダニルとは真逆に必死なのでかなり瀬戸際であった。このままではマズいと思ってか後ろに跳んで距離を取る。
だが…
ソルダニル「予測済みだ…」
瞬きする間もなくフレアの間合いに入っており、騎槍を突く構えに入っていた。
青く光る単眼が横に遣ると、そこにワームホールが現れた。
ナイト「面倒だな!既に読んでいやがる!」
こちらを視認している事に苦虫を噛み潰したような顔を浮かべるが、突っ切る事を決意してか紫月ノ牙を握り締めた。
ナイト「ぜ!!」
そのままの勢いで袈裟斬りを繰り出すが、振り下ろされる前に騎槍で受け止められてしまった。
フレア「よそ見してんな!!」
隙をついて高熱を帯びた拳を突き出す。だが、受け止めていた騎槍を動かしながらフレアに突き出した。
ナイト「うぉっ!?」
あまりの勢いに振り回されてしまった。
フレア「ぐっ!?」
流れるようにナイトはフレアとぶつかってしまい、結果として騎槍の攻撃が外れる事となった。
ナイト「悪りぃな、大丈夫か?」
フレア「あぁ、問題ねぇよ」
すぐに離れて、ソルダニルを見据える。互いに真剣な表情を浮かべていた。
そんな当の本人はフレアとナイトに歩み寄る。冷たく光る青い眼と機械的な殺気が向けられた事で二人に迫る恐怖が蝕もうとしていた。
ナイト「…俺が時間を稼ぐ」
自信満々の笑を浮かべながら瞬時に練った策を耳打ちで伝える。
ナイト「だから、しっかり見極めてくれよ」
返事をする間も無くして大地を蹴り上げて、ソルダニルに接近した。
フレア「そーさせてもらう」
ナイトとソルダニルとの激闘を見届ける事にした。敵の能力などを観察するが為に
ナイト「さーて!斬り合いに入ろーぜ!!」
ソルダニルの間合いに入った。構える紫月ノ牙を握り締めた。
ソルダニル「君が死ぬ事は予測してるよ…」
迷わず騎槍を後ろに引いて構える。青く光る眼が睨みつける。
そこから伝わる殺気を受けてかナイトから笑みが消え、睨むような真剣な表情へと移り変わった。
次の刹那、ソルダニルとナイトの斬り合いが始まった。
あまりの速さに周囲の地面は切り刻まれ、空間も歪む。鳴り響く金属音は激しい演奏のようだった。
ナイト「殺せんなら殺してみな!血祭りにあげてやるからよ!!」
ソルダニル「随分と感情的…やっぱ、人って」
だが、勝負は目に見えた結果であった。
ソルダニルは尽く、容易く躱した事により無傷であった。逆にナイトは致命傷を避けながらも確かに傷は増していった。
遠くで見届けるフレアの右腕に水を纏わせて銃砲へと形を成す。
フレア(アイツ、ただ速いって訳じゃねぇな…先読みしてるみたいに)
目前の激戦に目を凝らし、必死に読み解こうとしていた。直後、脳裏にある可能性が閃いた。
フレア(ん?先読み?)
疑念を抱いたままソルダニルへと注目する。特に目の動きを…よく見ると、物凄い速さで微動にしていた。
フレア(予知ならあんなに目で追う必要がねぇ…なら!)
確信に近づく。より確実なものにする為、掌が地面に触れる。
一方でナイトは限界に近かった。傷は増していき、中には深手を負っていた。
ナイト(参ったな…!おっちんじまいそうだ…!!)
紫月ノ牙を振るう暇も、死神ノ交奏曲を発現させる間もソルダニルは与えてくれなかった。
それを見越してかもう一つの騎槍が生成され、別の手と一体化する。
ソルダニル「これで、終わり…」
冷徹に光る眼で睨みながらドリルの如く旋回する騎槍を突き出した。とどめを刺すつもりだった。
次の刹那、ソルだニルの足元から沸騰した水溜まりが噴き出る。
ソルダニル「なっ…!?」(これは想定外…!)
突然の事に目を見開く。突き出した騎槍も軌道が逸れ、ナイトに直撃しなかった。
ナイト「そぉれ!仕返しだ!!」
怯んだ隙を逃さないと紫月ノ牙を振り上げ、ソルダニルの胴体を切り裂こうとした。
ソルダニル「予測済みだよ」
既に知っていると言わんばかりに後退する。
ナイトも数歩下がった。すると、フレアが隣に並んだ。
フレア「やはりか…」
ソルダニルを見て、確信した。
漆黒の甲冑はフレアが発したマグマと同等の熱さを誇る湯により僅かながらも溶けていた。
ナイト「わかったのか?」
フレア「あぁ、『予測』だ」
ナイトの問いかけにフレアは答えた。
ソルダニル「読めたんだ…怠いなぁ」
ため息混じりに出た言葉が正解だとフレアの考察を肯定した。
フレア「んで、テメェの予測は想定外な事には対応できねぇのもな…」
続けてもう一つの考察も提示した。先程の攻撃はその為の確認でもあった。
ソルダニル「…参ったなぁ……これじゃ、苦戦を強いられるじゃん……」
溶けていた鎧が外れ、地に転げ落ちる。元の姿に戻ったアークはポケットに手を入れた。
ナイト「マジみたいだな」
フレアの読みが当たっていたとアークの言動から判断した。
アーク「そう、僕の予測は認識した事象を複数のパターンを構築して、最適解を選び出す…」
頭を掻きながら答えを述べた。このまま隠し通せない事を見越していたから
フレア「丁寧にどうも!」
発現した熱湯を旋回する手裏剣としてアークに投擲する。
アークの黒い瞳が青く光り出す。細める目は瞬時に幾つものの可能性を生成し、最適解を選び出した。
結果、アークは容易く躱した。湯の刃は皮膚を掠めず、通り過ぎていった。
次の刹那、フレアがアークの懐に入った。右手には熱湯が纏われており、握り締めていた。
フレア「喰らいな!!」
アークの顔面に目掛けて突き出す。また躱された。
だが、熱湯は形状を変えて現れた刃が追撃に入る。
それもアークは躱すが、微かに頬を掠めた。
アーク「…君、結構頭が切れるんだね」
予測について当ててみせた事、今の戦闘技術を見て賞賛する。素直に認めざるを得なかった。
フレア「色々と鍛え上げられたからな!!」
手に纏う熱湯の刃を振り下ろし、続けて攻撃を繰り出す。またもや後ろに下がって躱される。
フレア「それに、兄貴の分まで生きなきゃなんねぇからよ!!」
距離を取られてか纏っていた熱湯を振るい、斬撃として飛ばした。
ナイト (兄貴、か…)
そんなフレアを見て、過去の出来事…兄貴と慕っていた故人が脳裏に過ぎった。
アーク「人なんてどの道死ぬ…どうやってもその運命からは逃れられないよ?」
“兄貴の分まで生きなきゃならない”…その言葉が理解できず、否定を混じえながら問いかけた。
それに答えようとフレアは口を開いた。
フレア「人だからだよ」
声色や表情に怒りや憎しみは無く、ただ真剣な眼差しを向けていた。
アーク「人?」
顔を訝しみながら首を傾げた。
フレア「テメェらが思うより往生際が悪くてな、鬱陶しいんだぜ?そのおかげで破壊者を倒したり、テメェの能力を見抜いたって訳だ」
嘲笑うような笑みを浮かべながら語るが、アークは眠そうな表情で欠伸をかいていた。明らかに響いていなかった。
アーク「…だったら何さ?」
退屈そうな様子でフレアを見据えていた。
言葉が響かなかったが嫌でも伝わってくるも、笑みを崩さず言葉を紡いだ。
フレア「つまりよ、テメェらを倒す事だって不可能じゃねぇって訳だよ!」
堂々と声を張り上げ、拳を同士を打ち付けた。その間から熱湯の飛沫が飛んだ。
対してアークは頭を掻いていた。どうやってもフレアの言葉は届かなかった。
アーク「そう…無駄だと思うよ」
あっさり否定するように吐き捨て、両手を叩き始めた。すると、地面に転がっていたソルダニルの残骸が形を変えながら蠢き出し、浮遊し始めた。
アークの隣に現れ、ソルダニルが実体化した。鎧騎士は片手で生成した騎槍を掴み、強く握り締めた。
ナイト「響いて無さそうだが、どうすんだ?」
フレアの隣に並び、紫月ノ牙を構えた。
フレア「元から通じる相手とは思ってねぇよ」
冗談そうに語りかけるナイトにキッパリ諦めた事を伝える。
フレア「けど、言えてスッキリしたよ」
だが、気分が晴れた。
両手に熱湯が纏い、刃を創り出した。異常なまでの湯気を出していた。
アーク「…あの死神の相手しておいて」
耳打ちで指示をすると、応じたソルダニルが前に出てナイトに接近した。突き出される騎槍、その穂先を紫月ノ牙で防御する。周囲に金属音が鳴り響いた直後、二人は遠くへと飛んで行き、別のビルへと移っていった。
フレア「ナイト!!」
振り向きながらナイトの名を叫んだ。
アーク「心配しなくていいよ」
両掌に青く閃く黒い稲妻が迸る。それは闇夜を切り裂き、雷鳴が轟いた。
一歩前に踏み出した次の刹那、アークがフレアの間合いに入った。掌に溜まった青黒の稲光がフレアの顔面にかざし、突き出す。
フレア「あっぶねっ!!」
已の所で顔を反らして躱した。安心したのも束の間、容赦なくアークが追撃する。
必死にフレアは避け続ける。幾度と突き出される手に帯びる電気が死を予感させる。
一瞬、アークの細めた目が持つ黒い瞳が青く光った。すかさず両手を後ろに引き、稲妻が激しくなる。
アーク「電圧放流弾!!」
それを前に突き出した刹那、青黒の球電を放った。大気が歪み、四方八方に広がる稲妻が空間と大地を裂く。
フレア「うぉっ!!!」(なんつー威力!!)
直感で横に跳んで躱す。通り過ぎる球電を前にした事で焦燥感に襲われた。
アーク「既に予測しているよ」
移った先にアークが現れ、再び手を後ろに引き、指を曲げた。
アーク「流れろ(アンペア)!」
力強く唱えた刹那、掌に青黒の稲妻が迸る。フレアの腹部に目掛けて張り手の如く突き出した。
アーク「電撃!」
直撃した箇所から電気が流れてくる。
フレア「ぐぁっ!!」
フレアの身体に衝撃による激痛と電撃による痺れが襲いかかり、勢いよく吹き飛ばされた。そのまま地面に叩きつけられ、伏してしまう。
フレア(クッソ…!!身体がッ…!!)
何とか起き上がろうとするも、全身が痺れているせいで思う通りに動けなかった。
アーク「多勢に無勢だったから厳しかったけど、一騎打ちなら話は別…」
フレアに歩み寄り、黒い瞳が静かに見据える。確実に殺そうと言わんばかりに両手から青黒い電流が発現する。
フレア (あの電気…色が違うだけか?)
近付く死を前にアークの電気に目を向ける。異様なまでに冷静で、達観していた。
フレア(なら…)
痺れが治まってか重い身体を起き上がらせ、拳を構えた。直後、全身から熱湯が浮き出た。
フレア「やる価値があるよな!」
膜のように張り、鎧の如く纏う。身体から離れた液体はフレアを中心に周り始めた。
アーク「…やっぱ、ただの電気だと思ってそうだね」
ブラフか、事実か、どちらとも言えない発言がフレアを惑わし、不安と恐怖を与えた。
フレア「それをこれから見極めんだよ!」
突如として駆け出し、アークに接近する。身に纏っていた熱湯を全て右手に溜め、異常なまでに沸騰し始めた。
アーク「何それ…」
呆れながらもやむ無しに突っ走る。眩い青黒の雷光が右手に放つ。
間合いに入ったと同時に拳を突き出す。もう目と鼻の先…刹那、衝突して衝撃波が巻き起こった。
時は遡り、鍔迫り合いを維持しているナイトとソルダニルが高速で飛行していた。
ナイト「おいおい、中に誰もいないのに強ぇなぁ!」
弱いところを見せないよう笑みを浮かべる。だが、鎧騎士が彼の言葉に返事する事など無かった。
ナイト「話し相手くらいなってくれたって良いだろ」
直後、壮絶な斬り合いへと発展した。
突き出す騎槍を躱しながら紫の刃を振るい続ける。ソルダニルも同様の行動をとる。
だが、均衡は早くも崩れた。騎槍の速度が増していく。
ナイト「…そりゃ、強くなってるよな!」
予見してか難無く躱す。だが、長くはもたない。
動きや心情を読もうとしても無機質なソルダニルを対策するのに苦戦を強いられていた。
現状に焦ってか紫月ノ牙を振り回し、背後に次元の穴を創り出す。ソルダニルが騎槍を突き出すが、届かずにナイトは穴の中へと入っていった。
直後、ソルダニルが別のビルに着地し、周囲を警戒した。遠くから雷鳴が聞こえてくる。
次の刹那、ソルダニルを囲うようにして次元の穴が複数現れた。
ナイト「重なる嫌幻!」
そして、穴から放たれた超音波がソルダニルに迫る。だが、超高速で動き回った事で難無く躱された。
ナイト「隙あり…!」
その中で背後から声が聞こえた。
すかさず振り返るが、おかしな事に姿が見当たらなかった。直後、頭上に次元の穴が現れ、そこからナイトが降下してきた。
ナイト「惑え音よ(ハルシネーション)!」
先程のナイトは死神ノ交奏曲で創り出した幻聴であった。
急加速でナイトが間合いに入り、構えた紫月ノ牙を振るった。だが、ソルダニルが騎槍を突き上げた事で攻撃を防がれた。更にそこから青黒の電流が迸った。
ナイト「させっかよ!!」
紫月ノ牙に力を込め、押し退ける。騎槍が離れた隙をついて空間を切り裂いた。次元の穴から発せられた超音波を身に受けて、怯みながら後退る。
だが、すかさず騎槍を突き出して稲妻を放つ。
ナイト「あらよっと!」
ソルダニルに向けて紫月ノ牙を投げ飛ばす。旋回する大鎌が避雷針として電流を吸収した。
後に続いてナイトも走り出し、間合いを詰める。
ソルダニルの青く光る目が見据え、背を低くして騎槍を構える。それがドリルの如く旋回し、再び青黒の電流が走る。
ナイト (ありゃ喰らったら一溜りもないな…!)
目の当たりにしてか気を引き締める。
前へと踏み出したが直後、姿が消えた。
ナイト「消えた…!!」
目を見開く。だが、瞬く間もなくソルダニルが間合いに入った。稲妻を纏う騎槍が勢いよく…まるで落雷の如く突き出された。
ナイトがすかさず横に跳んで躱す。しかし、騎槍の方が速いせいか肩と頬が削られた。電流が肌を突き刺す。
ナイト「っ…!!」
激痛に襲われるが、堪えた。掌を地面に突き刺さった紫月ノ牙にかざし、こちらへと引き寄せた。
持ち手を強く握り締め、迷い無く振り下ろした。身の危険を察してかソルダニルが後ろに跳ぶ。空間を裂いて穴を創る。
ナイト「戦略的撤退!」
隙をついてその中へと入っていった。当然、逃がさまいとソルダニルも後を追い、穴の中へと入っていった。
目の前に広がるは異様な光景、辺り一面が赤紫の光に包まれ、地平線・水平線が見えなかった。
ソルダニルはナイトを探そうと周囲を見渡すが、何処にも見当たらなかった。
ナイト「おいおい…うちのテリトリーを荒らした次はプライバシーまで侵害すんのかよ?」
嗤う声が空間に鳴り響く。聞こえたのでゆっくりと振り向くと、宙に漂う玉座に腰掛けたナイトがいた。また彼の隣には紫月ノ牙が浮いていた。
ナイト「嫌われんぜ?お前」
負った傷が癒え、塞がっていく。奇妙に思ってか青く光る目が自然とそちらに向けられる。
ソルダニルの騎槍がナイトに向けられる。持ち主は迷い無く突き出し、超高速で接近する。
間合いに入った直後、耳障りな高音がソルダニルの中に響き、重い衝撃波により吹き飛ばされた。
後退する肉体が踏みとどまり、すぐに体勢を立て直す。
ナイト「尖った不快音だ!」
肘掛けに寄りかかり、握り拳を顔に置きながらこちらを睨むソルダニルに説明する。
歯を見せるような笑みを浮かべ、余裕を見せる。
再度、衝撃波が四方八方から迫る。
重なって広がるそれらをソルダニルは高く跳んで躱した。
周囲を見渡して、衝撃波が出る原因を読み解こうとする。どれだけ予測してもわからず仕舞いであり、放電するも遠くへと消えていくだけで何も変わらなかった。
ナイト「死神ノ交奏曲…此処では俺が指揮者、そして…」
横にある紫月ノ牙を取り、玉座から立ち上がる。瞬時に超音波が収まり、静寂が包んだ。
ナイト「俺のステージだ」
大鎌を振り払い、周囲に突風が巻き起こる。直後、色とりどりの音色が鳴り響き、四方八方から衝撃波がソルダニルに襲いかかる。まさに交奏曲そのもの
超高速で飛行して避けているが、キリが無かった。
ナイト「演奏中は聴く事に堪能しときなよ」
そんなソルダニルを目にしながら紫月ノ牙を二度振るい、巨大な斬撃波を飛ばした。一度目を諸に受けた黒い甲冑に深い傷がつき、黒い塵が浮上する。
怯んでしまった。油断していた。そして、ナイトを疎かにしていた事に悔いた。
続けて二度目の斬撃を受けた。また大きな傷を追う。更に複数の衝撃波も直撃し、鎧の至る所が軋む。青く光る目が激しく点滅する。
ナイト「さぁ、既にラスサビだ。ここに来た事が仇となったな」
余裕そうな態度でソルダニルに歩み寄る。足は地に着かず、空中を陸のようにしていた。
その姿はまさに死神、命を刈り取ろうと言わんばかりにソルダニルに死が迫っていた。
逃げようにも超音波のせいで身動きが取れなかった。間合いに入ったナイトは紫月ノ牙を後ろに構え、振るう準備に入った。
刹那、紫色に光る弧状の刃が斜めに沿って、静かに薙ぎ払った。
ナイト「…終焉」
静まった空間で開いた口から死のように凍てついた声を出す。
直後、ソルダニルの胴体が二つに分離した。点滅していた青い光が消え、鎧が塵と化す。
ナイト「これがテメェらの死に方か…」
暗雲が無いせいかソルダニルだった塵は空間内に漂うだけであった。
ナイト「…虫籠ん中にいな」(こいつらの生態も気になんだよな、マジで…)
異様な光景を前に、ソルダニル含めた暗黒世界に興味を示した。
さり気なく空間を切り裂き、外へと通ずる穴が現れた。その中にナイトが入った事で穴は自然と塞がれた。
ナイトの過去
→かつてのナイトは焦ってばかりの弱気な者であった。その性格が災いしてか命の恩人であった兄貴(庇ったから)を死なせてしまった。
二度と同じ過ちを繰り返さないが為に鍛え、余裕を持つようになった。それが彼がよく笑みを浮かべる理由であった。
次回 第参拾壱話 「同志」




