表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/187

番外編 筋肉はいいぞ

番外編風神の子、お酒の行方の話成分があるのでご注意ください。

「でねでね、しょのときにね、騎士団のお兄しゃま達に抱っこちてもらったんだけどね、服の上かやでもわかるくやいしゅごかったんだー!」

「ふーん」

「腕とかお腹とかカッチカチだったよ!」

「へー」


 朝の日課をしているとき、馴染みのある蝶が飛んできて私にある連絡を伝えてきた。

 それはトラロトル様からで『ギルバルトが昼から遊びに行きたいと言ってるがメイの方は大丈夫か』というもの。もちろん否やはないのですぐにオッケーのお返事を返しておきました。


 初めて会ったあの日からギルバルト君はこうしてよく遊びに来てくれるようになった。

 ただフェルトス様がダメって言うから私からギルバルト君の家に遊びに行ったことはない。なんででしょうか。

 とにかく初対面ではなんやかんやありましたが、今ではすっかり仲のいいお友達です!


 そしてお昼寝後。

 トラロトル様に連れられて畑にギルバルト君が遊びにきたので――何故かギルバルト君は私の家に来るのを嫌がる――ケロちゃんズとお出迎えをして一緒に遊んだ。


 今は疲れちゃったからベンチの上で飲み物片手にちょっと休憩中。

 そして私は前に行った冥界祭の出来事をギルバルト君に話している最中です。

 ちなみにトラロトル様はギルバルト君を送り届けたあと帰っていきました。夕方にお迎えに来るそうです。


「騎士のお兄しゃま達ムキムキでかっこよかっちゃにゃぁ」


 といっても何故か今は騎士団のお兄様達の筋肉が凄かったという話にシフトしちゃったけど。

 私ももうちょっと体力と筋力をつけないとね。筋肉。憧れます。

 自分のぷにぷにの腕がいつかムキムキになる想像をしながら、もしも、に思いを馳せる。

 片手でリンゴを潰せたらカッコいいよね!


 私も将来はムキムキを目指してみようか?


「……メイはさ」

「う?」

「そういう男が好みなのか?」

「へ?」

「筋肉ムキムキな方がかっこいいと思うか?」


 私が脳内で林檎をブシャっと潰してる想像をしている間に、ギルバルト君が私をじっと見つめながらそう聞いてきた。


 突然なんでしょうか?


 好みと言えば好みですし、カッコいいかと聞かれればカッコいいと思う。筋肉はいいもんだ。

 自分にないから余計に憧れるよね。


 フェルトス様も細いけどなんだかんだ筋肉あるし、ガルラさんも普段は隠れてるけど実は脱いだらすごいぞ。細マッチョというやつか?

 トラロトル様はなんというかゴツい。体に厚みがある。もしかしたら見せびらかすために上半身裸なんだろうか?


 そんなことを考えながら、何やら真剣な顔をしたギルバルト君に私は笑顔で答える。


「うん! 筋肉かっこいいし、しゅてきだよね!」

「ふーん……そっか」

「どちたの急に」

「べつにー!」


 勢いよくトマトジュースをグビグビ飲んだギルバルト君は、飲み終わったコップをベンチに置いて立ち上がった。


「休憩終わり! 今度は的当てしようぜ!」

「魔法の?」

「おぅ!」

「ならやるー!」


 私もコップに残っていたトマトジュースを飲み干してからベンチを後にする。


「ケロちゃんズも行こう!」

「わふん!」

「どっちが多く撃ち落とせるか勝負な!」

「負けにゃいぞ!」


 魔法で出した的を魔力の球を当てて撃ち落とすゲームです。

 何気にすごく楽しいし、体力がない私でも魔力は無駄にあるので長く遊べるゲームだったりする。


 そんなこんなでトラロトル様が迎えに来るまで白熱したゲームが続いた。

 そしてまた遊ぼうねとお別れする。今日も一日楽しかったです!






「父上。どうすれば父上のようにムキムキになれますか?」

「どうした急に」


 家に帰るなり俺に体の鍛え方を聞いてきた息子。

 今までそのようなことを聞いてきたこともなかったので、少しだけだが面を食らってしまった。


「ちょっと体を鍛えようと思いまして」

「何故?」

「…………気分です」

「そうか」

「そうです」


 細かいことは気にしない俺でもこの息子の変化に少しばかり興味は出てくる。

 しかし深く聞きたくともこいつのことだ。きっと話さないだろうことは予想がつく。


 なので息子にも出来そうな鍛え方を教えてやり俺はエールを送るに留まった。


「まぁ頑張れ!」

「はい」


 ま、大体はわかるがな。

 きっとメイに何か言われたのだろう。

 メイは息子にとっての初めての対等な友人であり、意識している異性でもある。

 すっかり胃袋も掴まれているしな……いや、それは俺もか?


 だがまぁ本人は恋心だとは気付いていないようだがな。

 だから何故自分がフェルに睨まれているのか分からずにビビっているのだろう。

 いやはやなんとも可愛いもんだ。


 とにかく俺は静かに息子の初めての恋を応援するだけだな。


 それにもし二人がくっついたらメイは俺の娘にもなるわけだから、そう悪い話ではない。






「メイ!」

「どうちたのギル君!?」


 いつものように蝶々の連絡後に遊びに来たギルバルト君。

 だけど何故か今日は上半身裸なのです。お父さんの真似ですか!?


「どうだ?」

「どうって何が? そんなことより服着ないと風邪ひくよ! ほや、わたしのケープかちてあげゆから着て!」

「…………うん。ありがとう」

「どういたちまちて。ダメだよ、しゃいきんちゃむくなってきたんだから。ここは平気だかやって油断大敵だよ」

「……うん」

「――ふっ!」

「父上、笑わないでください!」

「すまん」

「う?」


 トラロトル様が何やらギルバルト君に慰めの言葉をかけてるけど、いったいなんだったんでしょうか?

 ギルバルト君に聞いても何でもないって言うし。


 子供心はよくわかんないですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ