リードされる
ソルジャーや中立モンスターを倒し、レベルを上げお金を稼ぎ装備を整える。そうしてお互いにカリスマを成長させていく。いくどか接敵し攻撃を当て合うこともあったが、いずれも牽制程度で終わる。
そのような時間がすこしの間、続いた。
こういった場面でも操作の正確さや立ち回り方、効率の良さでゴールドの量に差が出る。だが、両校ほぼ互角であった。
10分過ぎ。
先程のお返しとばかりにアッパーに兎咲が奇襲をかける。松原情報高専のアッパーは高速移動のスキルを使い、なんとか逃げる。そして、さらにそこへスカウトの選手も助けに入る。そのおかげもありアッパーは逃げ切ったが、助けに入ったスカウトを兎咲が仕留めた。これで今女は2-1でキル数を一つリードする。
15分あたりで今度はダウナーで動きがあった。
華湖、栞子に兎咲と相手アタッカー、サポート、スカウトの3対3の集団戦が起こったのだ。
KAKO:《敵のスキルかわしました!詰めます》
KANKO:《ガッテン承知!》
相手アタッカーのスキル攻撃をギリギリでかわした華湖は攻める体制に入った。これはプレイスタイルの変化によるもので、以前ならこの段階ではまだ攻めることはなかった。チャンスがあれば積極果敢に攻める。
だがこれは松原情報高専の仕掛けた罠だった。
逃げ惑う相手を追いかける華湖と栞子だったが、後ろから相手スカウトが突如現れたのだ。
KAKO:《後ろ!敵です!》
KANKO:《しまった!誘われたか!》
2対3という数的不利で、挟撃の形にされた。万事休すかと思いきや、そこへ兎咲が助けに入った。
UsagiPaisen:《2人とも、下がるぴょん!》
KAKO:《了解!》
3人がかりで後ろのスカウトを仕留めたが、詰めてきた敵2人に華湖がキルされてしまう。
これで3-2。
ROLU:《松原情報高専、強いな…》
KANKO:《さすがP校を破っただけのことはあらぁね》
プランBだから、という言い訳をすることもできたが、彼女たちは素直に対戦相手の強さを認めていた。キル数で1つ差を付けているとはいえ、まったく予断を許さない状況だった。
それを裏付けるかのように、アッパーのフォートレスを破壊されてしまう。アッパーで楼瑠がリードを奪われているのは明らかだった。
そして開始から18分。
松原情報高専は全員集まり、竜狩りを狙いにいく。中立モンスターの中でも重要な火竜がターゲットだ。
この動きを察知した今女も全員集結し、5対5の集団戦が勃発した。
UsagiPaisen:《火竜狙ってるよ!集まるぴょん!》
Ikky:《させねぇ!》
KANKO:《止めるよ!》
松原情報高専はアッパーが火竜に攻撃を続け、残りの4人がそれを守るように戦った。今女も総攻撃を仕掛ける。
KAKO:《ダメです!間に合いません!》
ROLU:《クッ…!逃がすな!》
粘った松原情報高専は火竜狩りに成功。だがその代償は小さくなかった。1人が竜狩りをしながらだっため、5対4の状況で戦ったからだ。すでに瀕死のプレイヤーが数人いる。彼らは目的を達成すると、すぐさま近くの通路に逃げ込んだ。
今女は逃すまいと、その通路に入りあとを追う。
そこを一本の太い光線が貫いた。松原情報高専アッパーが放ったウルトである。
ROLU:《しまっ…!》
Ikky:《ヤバッ!》
通路に入ったためメンバーが一直線にならんでいた。そこを狙われたのだ。かろうじて一番うしろにいた華湖は避けることができたが、一気に形勢が逆転する。
今度は今女が逃げる立場になるが、先頭きって追っていた楼瑠、樹、兎咲が次々と倒れてしまう。
これで3-5となり、ついに逆転を許してしまった。
徐々に差をつけられ始めた今女、特に楼瑠のアッパーでの不利は明らかだった。
だが、次に松原情報高専が狙ったのはセンター樹であった。
センター、スカウトそれに加えアッパーまでもがセンターに集まり樹に襲いかかった。
Ikky:《ヤバッ!こっち来てる!逃げ切れない!》
UsagiPaisen:《ごめん!間に合わないぴょん!》
松原情報高専は一気に樹をキルすると、そのままセンターのフォートレスを破壊する。兎咲もどうすることもできず、下がるしかなかった。
Ikky:《アイツら…!狙ってやがった!》
有利なアッパーでなくセンターが狙われたのは、樹が今女の『穴』であると思われたからに他ならない。
経験豊富な楼瑠を狙うより、入ったばかりの樹の方が与しやすい相手であるという判断だった。それは樹にとって屈辱以外の何物でもなかった。
Ikky:《舐めやがってぇぇ!!》
UsagiPaisen:《樹!待つぴょん!》
改善されていたと思われた樹の攻撃癖が復活してしまう。
屈辱、悔しさ、怒り…樹は感情を爆発させ、なりふり構わず攻めに行く。だが松原情報高専はそんな樹の気迫に押される、というほど甘い相手ではなかった。冷静に的確に、あっさりと返り討ちにあってしまう。
Ikky:《クソッ!クソッ!》
ROLU:《落ち着け樹!感情的になるな!》
これで3対7。
ここまでリードを広げた松原情報高専は、中立モンスターの中で最も重要なマーキスを狙いにいった。これを取られると差は決定的になってしまう。




