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ライバルを知る

初戦は事前に発表があったとおり、神奈川の蒲瀬高校。今回が初出場の高校だ。


ROLU:《栞子、あれから相手の高校についてなんかわかったことは?》

KANKO:《いやーなんもないねぇ。面目ねぇ》


エントリー締め切り後、組み合わせ抽選が行われ、その結果を受けたカンコは当たりそうな高校の情報を調べてまわった。しかし、初出場の高校ではまったく情報が見つからなかったのだ。


KANKO:《まぁ、ランク帯は全員グランドチャンピオンだけど、普通にやれば勝てると思うんだよねぇ》

ROLU:《そっか。わかった。ならやっぱりプランBでいくぞ》


今女はこの予選に向け、いくつかの作戦を用意していた。プランBは、言わば格下相手用の作戦である。各自、最も得意とするカリスマは封印し、それでいて早めから攻勢をしかける。しかも20分以内での決着を目標としていた。実践を使った練習ともいえる作戦だ。

それだけ余裕のある相手だとみなしたのだ。


《ファーストキル!》


ゲームアナウンスが流れる。今女は開始早々、奇襲をかけ、早速1キルを奪ったのだ。蒲瀬高校は想定していなかったのか、為す術もなかった。


Ikky:《うぉっしゃー!》

ROLU:《ほら、喜んでないでポジションに戻れ》

Ikky:《ウッス!》


序盤からすさまじい勢いで進攻する今女。蒲瀬高校は一方的に攻められ続け、結局15分57秒という大会史上最短時間で今女が勝利した。


ROLU:《gg!さぁ一旦ロビーに戻るぞ》


無事初戦を圧勝で終えたメンバーは次の試合まで時間ができたため、大会ロビーで流れている配信を見ることにした。ちょうどP校の1回戦の試合が放送されていたからだ。現在のライバルの姿が見られるというのは重要なことである。短時間での勝利を狙ったのはこのためでもあった。


KANKO:《うん?P校押されてるのか?》

KANKO:《ゴールドもかなり差をつけられてるねぇ》

KAKO:《キル数もかなり離されてますよ。どうしたんですかね?》


そこに繰り広げられていた光景は目を疑うものだった。

すでに逆転は厳しい状況にまで押されているP校。相手は松原情報高専と書かれている。


ROLU:《うっそだろ?P校、勝てそうもないぞ。松原情報高専ってどこだ?》

KAKO:《松原情報高専…聞いたことないですね》

UsagiPaisen《わっちも聞いたことないぴょん》

KANKO:《まって、確か…あった!これだ!》


栞子の情報によると、松原情報高等専修学校は今年できた新設校らしい。当然ながら初出場のため、完全にノーマークだった。

全国高校eスポーツ大会の参加資格があるのは高校生、定時制高校生、高等専門学校生、通信高校生であり、もちろん同校にも参加資格があった。


ROLU:《へー。よく知ってたな?》

KANKO:《この学校、結構な話題になったんだよ。eスポーツに力を入れるって言ってたから。それでアタイもなんとなく覚えてたんだ》


松原情報高専はその名にある通り情報系に強いというのが売りだった。部活動にeスポーツを取り入れたのもその一環だ。


ROLU:《どうりで強いわけだ。危ねぇ、もしかしたら食われてたのはウチらだったかも知れないんだぜ》


今女とP高校はシード権を持っていたため、決勝まであたらないように別の山に分けられていた。もしかしたら今女が松原情報高専と当たる可能性もあったわけだ。全く情報のないまま、この相手にプランBを実行していたら負けていた可能性も高い。


《シードのP高校!なんと初戦敗退です!!》


さして見せ場もなく、P校は破れた。あっけない幕切れ。だが、強者が倒されたことにより配信は盛り上がっていた。実況もかなり興奮気味だ。


Ikky:《ヤベー!P校初戦敗退ッスよ!》

UsagiPaisen《見た感じ、P校も悪くなかったぴょん》

KANKO:《松原情報高専がツエーんだよ。全員1年なんて信じらんねぇ》

Ikky:《スゲー!ヤバイッスね!》


全員1年のチームが強豪P高校を倒すというのは誰も想像していなかった。新たな強敵の出現であったが、メンバーたちはどことなく嬉しそうだたった。


KAKO:《なんか…みなさん、余裕ありますね》

Ikky:《そりゃ強敵がいたほうが面白いッショ!》

ROLU:《それはあるな。正直、余裕で勝てそうだったからな。それじゃツマランだろ》

KANKO:《それな!面白くなってきたぜぇ》


(いや、私は余裕で勝ちたいけどな…)

と、華湖は思ったが、空気を悪くしたくないので口にするのはやめておいた。


ROLU:《それに、もし負けたとしても、そのときは決勝だからな。その時点でオフライン決勝は確定だから》

KAKO:《そっか。それもそうですね!》

Ikky:《華湖は心配性だなぁー。どっちみち樹たちが負けるわけないッショ!》

KANKO:《今の試合、見といて良かったなぁ。これで油断することもなくなるし》

KAKO:《そう。慢心しなければ勝てるよ!》


(そう…かな?)

お気楽な先輩たちと比べ、華湖はなにか松原情報高専にただならぬものを感じていた。P校は悪くなかった。いや、新メンバーの動きも噛み合っていて、以前より動きは良かったようにすら見えたのだ。そのP校に圧勝するなんて、只者ではない。

そう考えていたが、もちろん空気を読んで言うことはしなかった。

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