表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブサメン転生  作者: ユタユタ
66/69

義明

義明(義明視点)



『興醒めなんだよ!!』

悠仁君がそう言って放ったパンチを避ける気にはなれなかった。

なんとなくその拳を左頬で受けると、

俺はたたらを踏んで倒れた。

こっそり神聖魔法を唱えた手で左頬を擦る。

するとサッと痛みが引いた。

神聖魔法マジで優秀。

これが無きゃ異世界なんてやってられないや。

そんな事を思いながらポリポリと頬を掻いていると、

『よし!殺れ!!ヴェルズ!』

と、大きな声がした。

魔力の高まりを感じて、

その方向を向くと、

慌てて頭部を左手で守る様にして立つ。

今は魔法をレジストする装備が頭には無いからな。

そして、


『デス!!』


と一際大きな声が上がったその瞬間。

俺の目の前に一羽の鳥が飛び出てくる。

恐らく放たれた魔法はその鳥に当たると、


鳥が人間になった。


ん?

動物を人にする魔法だったのか?

なぜ?

なぜ?そんな魔法を俺に?

もしかしていつの間にか俺は前のブサメンに戻ってたのか?

オークを人間にしてやろう、的な?

俺はそんな事を思っていて全然気付かなかった。


一番早かったのはミディだった。

イーサンがこの中で一番、

召喚者達のスキルを把握していて、

イーサンが一番召喚者達の関係性を熟知していたからだろう。

魔法を受けて、転がったままの人間に向けて、


「マリ?」


と言った。

マリ?マリちゃん?

そう言えばさっきの鳥に見覚えがある!

前にマリちゃんが宿屋に飛び込んできた時に、マリちゃんが変身していた鳥に似ていた!


え?

マリちゃん?

もしかして、俺を殺す為に放たれた魔法から俺を守るために、

俺を前に飛び込んだ?

そして、

そして、

そして?!


俺は慌ててマリちゃんに駆け寄ると、その細腕を取って、

脈を確認しようとする!!

が!

脈が無い!

口許に手をかざして呼吸を確認するが!!

呼吸もしていない、、、。


殺された?

え?

マリちゃんが殺された?

俺を庇って?


え?


え?


殺された?

死?死?死?

強い感情が胸の奥から沸き上がる!

ナゼ!

ナゼ?!

フザケルナ!!

ナゼマリチャンガ!

魔法をオレに向かって放った奴を睨み付ける!


その時、


『新たな感情を入手しました、新たな感情に伴い新たなスキルを習得します。『メニハメヲ、ハニハハヲ』を取得、そして発動しますか?』


頭の中でアナウンスが流れる。


『『YES!』』


心の中でそう怒鳴るが、

その結果を確認する事は出来なかった。

オレに向けて魔法を放った男の首が飛んだ。


悠仁だ。


マリちゃんはクラスの人気者だったからな、

もちろん悠仁君も、

そして、ミディの首もポンと飛ぶ。


そんな事よりもマリちゃんだ、

俺は神聖魔法が使えるがいくらなんでも死人を生き返らせる事は出来ない。


「義明!!」


突然呼ばれて、呼ばれた方を振り向く、

そこにはアニエスやシャロン、マロンにイリスもいる。

俺は思わず、

「アニエス!蘇生魔法を!」

そうアニエスにすがった。

アニエスはその言葉で直ぐ様状況を察したんだろう。

察したが為に俯いてしまう。


駄目なのか?


「町の神殿に行けばおそらく蘇生魔法を使える人間はいる。けど、死後五分以上経つと蘇生魔法は効果を成さない。でも、ここからどんなに急いでも神殿へは20分はかかる」

アニエスはマリちゃんを哀れむ様な目で見つめる。

シャロンや、マロン、イリスさんもマリちゃんを見て俯いてしまった。


駄目なのか?

もう駄目なのか?

マリちゃんは死ぬしかないのか?


俺はそう思いながら、

自分の両手を見つめた。



俺のスキルに実は一つよくよく分からない物がある。

それは、


『慈悲深き心』


というスキルだ、このスキルの解説は、

『俺の物を他人にあげる事が出来る』

というスキルなんだそうだけど、

俺はこのスキルを使って、シャロンやマロンにスキルを譲渡する事が出来た。

すなわちスキルを譲渡出来るスキルなのだけど、

じゃあ、このスキルは

『俺の物を他人にあげる事が出来る』

という言い方じゃあ無く。

『俺のスキルを他人にあげる事が出来る』

と表記すればいい。

じゃあ、何でスキルじゃあなくて『物を』と表記されてるのか?

その答えは、

恐らくスキル以外も譲渡出来るからだ。

HPやMP、

腕に足、

そして、、、。


『パン!!』


左頬をぶたれた、

目の前にはいつの間にかアニエスがいる。


『自分の命と他人の命を天秤に掛けるのはお止めなさい!!』


アニエスは俺が何をしようとしているのか察したのだろう。

諭す様な目で俺を見ている。

今のアニエスには子供らしさが無く、まさしく女王と呼ぶに相応しい様子を見せていた。


でも、ごめんね。

俺はマリちゃんの手を握る。

上手くいくと良いが、


命の譲渡。


上手くいくとこを祈りながら俺は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ