ヴェルズ
ヴェルズ
「これで大丈夫だろう」
ミディ様が言った。
「では?」
「あぁ、これで奴も魔族と戦わないなどと言い出さないだろう」
ミディ様は自分の思い通りの結果に喜んでいる。
勇者として召喚された義明の強さは異常だった。
通常、転生者、召喚者はユニークスキルを1つ人神様より授かる事が出来る。
しかし、義明はなんと5つのユニークスキルを持っていた。
そんな義明の強さはクラスメイトである、召喚者達を大きく上回っている。
精神攻撃無効。
祝福という、加護を持ち。
鑑定のスキル。
自身強化。
これだけならまだ良いが、
スキル習得を容易にするスキル。
このスキルが容易にするスキルの習得速度は異常だ。
何十年とやっと至る高みにあっという間に至る事が出来るのだ。
だから、義明とやりあって勝つには、剣術でやりあうのでは無く、魔法で瞬殺する必要がある。
一番有効なのが、即死魔法で殺すのが一番良いだろう。
その即死魔法も、もし義明に見られれば、義明に即死魔法を習得させてしまうので失敗は許されない。
しかし、それも難しそうだった。
義明のしてきた装備が問題なのだ。
黒耀鉄の装備だ。
黒耀鉄は魔力を通さない性質の為、
炎を剣に纏わせる事は出来ないが、
魔法を打ち払う事が出来るのだ。
そう、この装備をしている人間に魔法を掛けても、ほぼ、無効にされてしまう。
剣術等のスキルを使った攻撃は全て吸収され、
魔法は全て装備で弾かれる。
『我らの意思に反するなら殺す』
と、言っていたミディ様も出来たら義明を懐柔したかったようだ。
もちろん俺としても助かる。
俺の剣術のスキルレベルは6しかないし。
即死魔法だって、せめて帽子を取って貰わないとどうにもならない。
間違いなく勝ち目は無い。
だけど、義明が魔族と戦わないとか言い出したら確実に俺に、
『義明を殺せ!!』
とか言い出すだろう。
はっきり言って、勝てない戦いなんてノーサンキュー。
なんだったら余裕で逃げ出す自信がある。
勝てる気がしないと召喚者に話してたら、
悠仁という召喚者は、
『あんなの余裕だよ』
笑いながらそう言った。
悠仁は剣術のスキルも4に上がり、
かなり優秀な方だが、とても義明に勝てるとは思えない。
俺は鼻で笑った。




