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02


茫然自失となったこの世に転生したと気付いた日から数年経ち、スムーズに会話を出来るようになりこの世界の事を両親や近所の人々に教わって5歳になった今日、両親の大きな街での買い物に同行することになったのである。

街に向かう馬車の中で、この数年で分かった事を整理しようと思う。


――――

―――

―…


あの日俺にぼにゅ…いや、羞恥心が勝つのでご飯と言わせて欲しい。

ご飯を与えてくれた女性はもちろん母親、名をアルネという。

そして母親の胸を独り占めする旨(ダジャレではない)をのたまっていた男は当たり前だが父親、トルーシという。

妻を愛し、子供共々デロデロに甘やかしては幸せそうに暮らしている実に幸せそうな男である。


この2人、なんと俺の好きな魔剣の野望というゲームのキャラクターデザイン担当者がモデルにしたのか?という外見をしている。

かく言う俺もこの2人の子供なので街の住人一家の赤ちゃんとして登場とかしてた?って聞きたくなる外見だ。

信じられないような偶然ってあるもんだなとこの時点の俺は呑気にきゃいきゃいとジョブ:赤ちゃんを必死になって遂行していたのである。


だかもっと信じられないような事が我が身に降りかかってしまったのだ。

親を認識し、ハイハイする力を手に入れ、順調に成長するにつれて目がはっきりと見えるようになった瞬間目に飛び込んできた数々の情報。

右上にはミニマップ

その下に日時と天気

右下には装備、所持品

真ん中の下にはHPバーとMPバー

赤ちゃんの脳にはとてもではないが処理できない情報量である。

当然の如く俺は目を開けるたびに熱を出し倒れた。

その度に心配し看病してくれた両親には頭が上がらない。

すまない…情報がおおい…ガクッ


その後数回熱を出しては回復を繰り返す日々を送っているとファンファーレが脳内に響いた。

あまりにもびっくりしておぎゃーんと泣きわめいてしまったではないか。

何するんですか。赤子は音に敏感なんですよ?

熱に浮かされながらも目を開けると左上に出てきた

『メインミッション"脳の許容量を増やす"をクリア』

『レベルアップ』

『メインミッション"体力を増やし丈夫な身体をつくる"を解放』

の文を見つける。なるほど左上は何も無いと思っていたがクエストガイドやログの表示場所だったのか。

というか日本語かよ。俺がこの世界の文字知らないからか?


何はともあれ、脳の許容量が増えたので全てのHUD(常時表示情報)が視界に入っても熱が出ない。

俺は感動しながらバブバブとベビーベッドの上で小躍りをしていたわけだが、ここでひとつ気づいてしまった。

この視界、ものすごく見た事がある。モニターの中で。

俺が初代から何度もリメイクされる度にクリアしてきた魔剣の野望のゲームプレイ中の画面だ。

いやいや、そんなバカなことあるかよと思いキョロキョロと首を回し周りを見る。

母の頭上にアルネという表記、その下にHPバーとMPバーが浮いている。

ピコンという音が鳴り響くと左下にパーティメンバーとして母の名前が表記される。

そうそう!魔剣の野望は男女ペアで魔法使いが剣士と共に敵を倒すアクションRPGで、剣士のストーリーと魔法使いのストーリーの両方をクリアしないと出てこないラスボスが強くて…ははっ。


はーいはいはい。もう言い逃れできない。

転生した主人公が特別なスキルや能力を手に入れてなんやかんやするというアニメやゲームを触れてきたからわかる。

これだ。このゲーム画面が俺の、俺だけの転生特典だと。

そしてこの世界は魔剣の野望の世界であると。




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