第73話 悪くなくても…
前回のあらすじ
愛香がラブソング好きだった
歌の練習は毎日何回も行われた、最近任務があまり無かったため、そのぶん練習時間を多く取ることができた
最初はちょっと合わないことがあったが、祭り前日にはちゃんと歌を歌えるようになった
「明日、頑張るぞ!」
「「おー!」」
前日の練習終わりに、三人は手を合わせて誓った
そして祭り当日、もちろん今日は誰も休みをとっていない
祭りが始まるのは9時から、今はその一時間前
祭りの最後の準備を手伝っていた
「あと、2時間か…」
祭りが開始するのは9時だが、そこから45分間観客の受付兼歌う相手の受付がある
歌で何故か観客と戦うので、その相手の受付だ
大丈夫だろうか…いや、心配している場合じゃないな
絶対勝つ
今回は絶対に勝たないといけないというわけではないが、愛香と翔は勝ちたいと思っていた
その二人に感化され、新も絶対勝とうと思っているのである
突然、異少課のドアを誰かがノックした
「はい」
一番ドアの近くにいた俺がドアを開けた
いつもの流れで石山さんだろうと思ったが、来たのは違う人だった
「食事、いかがですか?」
現れたのは白い服と帽子を被った中学生ぐらいの男だった
この格好からして食堂のコックだろうか?持っている料理が食堂のメニューの一つであることからもそのような気がする
そして、この男がどっかで会ったことがある気がする
でも気のせいだろう、この男は見たことがない
「コックさんですか?」
「はい、ついこの前入った食堂のバイトのコックです」
愛香の質問に、男は答えた
やっぱり予想通りコックだった
「で、これ食べませんか?」
「はい、ありがとうございます」
食堂の料理は美味しいし、わざわざここで断る理由はない
ありがたく料理を受け取った
「ところで、異少課って魔族を退治しているんですよね?」
食事中、コックが単刀直入に聞いた
同じ警察署で働いているので、異少課のことはここで働く人の殆どが知っている
「ああそうだ、俺らは悪いことをする魔族を倒している」
ここで隠す必要はないだろう、ここで働いている時点で、結局知ることになる
嘘をつかず、真実を話した
「なら、もし悪いことをしていない良い魔族がいたら、それは倒しますか?それとも倒しませんか?」
急に質問してきた、でもこのことは確かに考えてきたことはなかった
いつも倒しているのは任務で倒すよう言われたもの
そして任務で倒す魔族は、危害を加えてくるため倒してくるだけだ
だから俺は悪い魔族しか倒してこなかった
でももし良い魔族がいたら、それも倒すべきなのか?
「私は倒しません」
愛香が食事をやめて口を開いた、優しい愛香ならこの回答にしそうだったが、案の定だった
「それはどうして?」
コックが聞き返す、それに愛香は
「私達が魔族を倒すのは悪いことをしたから、悪いことをしていない魔族を倒す必要はありません。それに、もしそんなことをしたら、私達のほうが何もしてない魔族を倒す悪人となるじゃないですか。私はそんな人にはなりたくないんです」
確かに、愛香の言葉にも一理ある、魔族はアンダス団によって従えられて人間をたおしている
アンダス団の闇に染まってない魔族まで倒すのは違う
「俺もだ」
「俺は師匠の言うとおりに」
3人全員、愛香に賛同した
「分かりました」
そういって彼は帰っていった
でも何故あんなことを聞いたのだろうか
まあ今は食べることに集中しよう
そして話すことで中断された食事を再開した
用語紹介
電磁
新の剣の能力
近くに電気をおこすことができる
痺れさせたりなど様々な使い方がある
マッサージとしても使える模様




