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魔法の木エニシダの香り  作者: 文乃木 れい
慧の目にうつる世界
35/50

七五三

じゃんけんおにをみんなでしようと思ってたのに、「七五三」の準備だって。あめを入れる袋を自分たちでつくるんだよ、ってしま先生。

「もうぼく七五三行ってきたよ。おばあちゃんちで。」と言ったら

「けいは もう早くにしてきたんだね。じゃあ、みんなに七五三で何をしたか教えてあげて」

「はちまんぐうに行って、階段のとこでじっとして写真とってもらうだけだよ。おしゃれして。」

さの先生としま先生は

「けいちゃん、今度おしゃれしてる写真見せてね!」と、すごく笑った。

へーんなの。

 七五三の袋に自動車の絵を書いた。これにあめを入れてくれるって。

午後は バスでこくぞうそんにおまいりに行く。みんな元気で大きくなりますようにってお祈りしてくるために。

 こくぞうそんに着いたら、着物を着た女の子がお母さんたちと七五三のお参りに来ていた。

せいこが「私は来年に着るんだ。」と言った。

まりこも「うちもおかあさんがそう言ってた。」

みんな順番に手を合わせて拝んだ

しま先生が「海岸のほうへ行ってみよう」と松林に入った。松がいつまでも続いてやっと抜けたと思ったら今度は砂浜から海までも遠かった。波は大きな音で打ち寄せてくる。はだしになって波とおいかけっこをした。鬼になったり追いかけられたり。

 そのうちたっくんが波うち際でわざとしりもちをついた。

「ひゃーこーい」って笑った。

続いてかっちゃんやようこが海にジャンプしそうだったけど

先生が 「だめだよ、みんな真似したらだめだよ。寒いんだからね。」っと恐い顔をした。

たっくんは手をひっぱられて すぐに上着を着替えさせられてた。

 でも もうみんなずぼんはびしょびしょだよ。


 いつまでも白い砂浜が続いていて、なかなか帰れないんだ。来たときもこんなに遠かったっけと後ろの海を振り返ると、白い波が前より大きく打ち寄せて、まだ近くに海がある。

 風が強くなってきた。さっきさんざん遊んでぬれた足が冷たくなってきた。

 あの松林をぬけたらこくぞうそんで 駐車場にはバスが待っている。

それなのに、なかなか松林に近づけない。

 おかしいなあ、まだかなあ、かっちゃんが「先生、疲れちゃったよ」と座り込んだ。

 せいこが あれ、先生たちは?ときょろきょろした。

 いつの間にか 先生たちはいなくなってた。

 こうじが「先生がいなくなっちゃったよ。」ともうべそをかいてる。

 ようちゃんが「さきに行っちゃったんだ、早く行こう」と走りかけた。

 そのとき たっくんが歌いだした。 

  ようちゃんもも いっしょに歌いだした。

 みんなも歌った。いつも、保育園では歌わないかっちゃんも大きな口をあけてうたった。

 こうじも泣きやんで、まりこもえみちゃんも、ぼくも歌った。

 8人で大声でうたった。


ハイダダダダダダすすめ

ハイダダダダダダすすめ

ハイダダダダダダすすめ

ハイダダダダダダすすめ

森から森へ

いばらをこえて

ぬかるみわたり

ぼくらのなかまは

つきすすむ

風のように

光のように

自由なぼくら

ぼくらの自由は

かけめぐる

なんて、気持ちいいんだろう。まっさおな海のまえで 広い砂浜に8人だけ。歌声が波の音にまじってしぶきのように舞い上がる。

(森から森へ 中江隆介・作詞 関忠亮・作曲)


ぼくらおおきいらいおん 唸り声は波の音よりおそろしげ

ぼくらおおきいらいおん 8人そろってあばれもの


もえろもえろあざやかに

夏はかっかと照るだろう

冬はなるたけあたたかく

春はやさしく照るがよい

  もえろもえろあかるくもえろ

  きえないように どんどんもえろ


 もえろもえろぱちぱちと

(十二月のうた マルシャーク・作詞 林光・作曲)


「あ、焚き火」まりこが歩みを止めた。

みんなわっと焚き火の周りに駆け寄った。

 

 みんなの顔が火に照らされて あかるく輝いた。


たき火のすぐ向こうに松林がある。林の中の小道から先生が

「早く くるんだよー。」って手を振っていた。



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