第十二話 鉱石採掘家の仕事
第十二話 鉱石採掘家の仕事
「五秒! (これはマジミニアムじゃねえか)」
輝は立ち上がり、穴に手を入れた。穴は手のひら程度の大きさ、つまり、なんとか腕は入る。だが、指の先がかすれるものの、動かすこともできなければ、つかむこともできない。
「(あと少しで……)」
結局、届かずじまいで輝は諦めて部屋の中心にまた座り込んだ。そして輝はまた、床を掘り掘りほり、そして出て来たのは、三秒も経たずに光を失うマジリスキであった。輝はマジリスキを前回とは違う壁に投げた。
「ドーン」
穴は開いたものの、何も光っていなかった。そうだ、前回は偶然であったのだ。
輝はまたまた座り込み、またまた掘りに掘った。しかし出て来るのは、マジリスキ。
「いつになったら出て来るんだよ」
輝は大声で叫んだところを、洞窟の壁はその声を反響した。
「だよ~だ〜よ〜だ〜〜」
輝は洞窟にバカにされているように感じてしまい、怒りによって体温が上昇し始めた。
[輝、体お]
「うるせー」
輝の声はまた響き始める。そんな時、輝はマジリスキが、柔らかくなっていることに気づいた。それも溶岩のように、垂れ始めたのだ。
「(って、おい、これって)」
輝は何かにひらめたのかのように先ほど光った壁の穴に向かった。すると輝は穴に味リスきを垂れ流し、少しすると…
「ドーン」
と壁の奥から爆音が響いた。
「(これなら届くぞ)」
穴は先ほどよりもひと回り大きくなり、マジミニアムにも手が届くところにある。輝は手を伸ばし、その鉱石をつかんだ。そして、穴から手を出すと、輝は鉱石を落としてしまった。
「(なんだこれ!)」
輝は早速計量器を取り、両手で鉱石を持ち上げてのせた。すると、メモリには五十キロと記された。もし、重さを測る単位が同一であるとすれば、かなりの重さであることは言うまでもない。そして同時に一トンまでまだあと二十ものマジミニアムが必要であるということも意味していた。
輝はなんとかリュックに入れた、その瞬間マジミニアムが消えた。慌てた輝は手をリュックの中に入れると取り出すことができた。つまりこれは魔法のリュック、物が消えることで、リュック自体の容量以上のものを抱えることができる。
輝はマジミニアムを中に戻し、リュックを持ち上げようとした、しかし、リュックの重さはマジミニアム分加算されていたのだ。輝は重くなったリュックを背負い、部屋の中心に戻った。リュックもすぐに下ろしたが、輝の方と腰に激痛が走った。
「(いくら引っ越し業者で働いてたって言ってもよ、一トンも運べるかよ)」
輝はまた掘り始めた。だが何も出てこない、マジリスキさえも。諦めた輝は部屋を移動することにした。輝はリュックを持ち上げ、計量器を持ち、隣の部屋へと移動すると、腰を下ろして、地面を掘り始めた。
掘ること一日以上、もちろん本人には全くの時間感覚がない、輝の成果はマジリスキ十個にマジミニアム一つとめぼしい成果ではない。また、マジリスキは零点二キロ程度、とかなり優しい。だが、リュックには計百二キロもの物が入っているのだ。しかし、一日に一つ見つかったということは、あと二十日もすれば、集められるのではと、輝に希望を与えた。
そして輝はなんとか、部屋を移動しながら、三日間もの間、掘って寝る生活を繰り返した。無論、喉も乾くし、腹もすく、しかし、この洞窟には何一つなかった。そして三日間の成果は、 マジリスキ二十三個、マジミニアム二つであった。
つまり、洞窟に入ってから、約五日、輝の成果は、マジミニアム四つ、残っているマジリスキは三十三個、リュックの重さは計二百六キロ程度である。
輝はそのまま繰り返して入れば良いのかわからず、最奥の部屋にリュックを引きずりながら行き、そこで考えることにした。なぜなら、最奥に行ってしまえば、それ以下はないからだろう。
最奥部についた輝は十三個のマジリスキを残し、他の二十ものマジリスキを適当に投げた。
「ドーン、ドドオーン」
壁には穴が空いてゆき、紫色に光る穴もあったが、同時であったため、三秒以上光る穴は三つしか確認できなかった。そして、輝はリュックを引きずりながら、穴に向かった。
「(トク、頼めるか)」
[...…マジウケルー…… はっはっは]
あの記憶の断片が輝の頭に浮かび上がった。
[体温上昇中]
輝はリュックからマジリスキを取り出すと、それが溶け始めることを確認した。輝は走りながら、それぞれの穴にマジリスキを注ぎ込んだ。
「ドーン、ドーン、ドーン」
それぞれの穴から爆音がなり、穴が拡大した。
[体温が低下しております…]
「(いいんだよ、それで)」
輝はそれぞれの穴に腕を入れ、それぞれ一つずつ、計三つのマジミニアムを手に入れた。輝は両手で抱えながら、リュックに入れた。しかし、リュックはもうすでに引きずることさえもできなくなってしまった。計量器を使おうとしても、ERRORと表示され、使い物にもならなくなった。
そして、輝はそのまま、計量器を地面に投げつけた。
「バクーーーーン」
輝は衝撃波で服飛ばされてしまい、気を失った。
数時間もすると、輝はついに目を覚ました。周りは凸凹の地面、部屋も妙に広い。
「(ここはどこだ?)」
[私は誰?]
「(それぐらいわかってるわ! てか、トクいつからそんなこと言うようになった?)」
[さて……]
「(確か俺は計量器を投げて……)」
[はい、それで爆発が起きました]
「(もしかして、これが本当の使い道だったのか?)」
リュックは無事見つかり、動かすことはできないため、そのまま置いておき、輝は落ちている、鉱石を拾い集めた。もちろんどれも光を失っている、だが、五十キロもある鉱石は他にはないと確信していた輝は、手のひらサイズかつ思い鉱石を集めた。
しかし、計量器がなくなった今、重さが実際にわからず、輝は多少の苦労を強いられた。
「(どうすればもっと楽に……)」
[比べたらどうですか?リュックの中のマジミニアムを一つ取り出して]
「(トク、思いつから考えられるようになった)」
[元々できますけど]
「(読み取り専用とか言ってたじゃん)」
[私のベースはAI、Artificial Intelligenceですよ。あなたの記憶というデータから学ばせてもらっています]
「(人工知能が脳内にいるってことかよ)」
[そうですね]
「(まさか乗っ取ることなんかも!)」
[どうしてそれを!?]
「(マジで!?)」
[冗談ですよ]
輝は早速リュックからマジミニアムを取り出し、比べながら、部屋中を探し回った。結局、輝は十二ものマジミニアム鉱石を見つけ出し、アタ目標まで、一つと言うところまで近づいた。しかし、輝はここにきて重大なことに気がついた。
「(ここって最奥だよな……九百五十キロをどうやって持っていくんだよ)」
輝は頭が真っ白になり、喜ぶはずが、恐怖に襲われた。
「ど、どうすれば……」
ここで入り口まで少しずつ運ぶという手もある中、輝は筋トレすることを選んだ。
「(毎日筋トレすれば、いつかは……)」




