第十三話 脱出への道
第十三話 脱出への道
輝の筋トレ生活は始まった。
「(これから始まる筋トレ生活、的なアニメありそうだな)」
腕立て伏せ、腹筋、体幹トレーニング、ストレッチ、そしてランニングと簡単なものから始めた。ランニングは大きくなった部屋を何回も回るだけのつまらないものだ。部屋は実際、洞窟奥部の計六つ及び最奥部の壁が削れた分もあり、なかなか広い。
地面は不安定でボコボコのため、輝の着ているジャージは汚れボロボロになり、靴には穴も空いている。ローブは爆発の際に消えてしまった。
輝は特にメニューとかは作らず気が向いたら筋トレをした。だが、勿論普通ではない。腕立て伏せと体幹トレーニングでは背中にマジミニアムを、腹筋とランニング、そして徐々に数を増やしていった。
そして輝の筋トレ生活は計十三日も続いた。しかし、輝は大幅に成長した。腕立ても何も乗せなければ、何百回もでき、マジミニアムを数個乗せた状態でも、五十回以上できるようになった。腹筋はバキバキ、というよりはガリガリになってしまい、腹筋が浮き出ているようになっている。そして、ストレッチのおかげで開脚前屈など諸々できてしまい、ランニングもウルトラマラソン並は余裕だろう。
しかし、輝がこれだけ頑張ることができたのは、運が良かったからだ。輝が鉱石を探している時のこと。
「ぽった…… …… …… ぽった …… …… ……」
と地下水が垂れて来るポイントを見つけたのだ。
そして、輝は水を飲みながら運動したため、喉の渇きはほとんどなかった。しかし残念ながら、飢餓には耐えるしかなかった。 また、その水は普通のものとは違ったもののようだ。だが、たった二週間程度で違いが出たのは、マジミニアムのおかげだ。重さのためにと輝は持っていたが、実はマジミニアムは大変貴重かつ成長を促進する媒介成分が多く分泌される。そのため、人間界ではサプリメントなどにごくわずかなマジミニアムが入っていることもあるそうだ。
そして、長い筋トレを経た輝は前まで引きずることもできなかったリュックを引きずりながら大広間を出た。
「(ここからどう出ればいいのかな)」
輝は歩き回った。右へ行き、左へ行き、ある時はまっすぐ進み、だが、いい口にはたどり着くことができなかった。一部屋には計五つの道がそして、輝は知る由もないが、この洞窟には二百以上もの部屋が存在していた。輝が破壊したため、数は減っている。つまり運が良ければ出られないこともないが、最初の部屋にたどり着いたとしても、そこで外してしまっては、無意味だ。
「くそ、どーすればー」
「ど〜すれば〜、ど〜ば〜、ば〜」
「(あぁ!これ使えるんじゃね)」
[音の反響ですね、入り口が一つのみならば、音反響しなくなる、つまり一番時間が短かった道ということですね。]
「(なるほど、頭いいな、どこでそれを?)」
[あなたの記憶ですよ]
「(また、人の記憶を)」
輝は右手にある道から順番に叫んでいった。
「あーあーあー」
「ぁ〜ぁ〜ぁ〜ぁ〜ぁ〜ぁ〜」
反響音が帰ってきた。
「(今のは五秒ぐらい?)」
[十秒ですね]
「(トク、時間までわかるのか?)」
[あなたの記憶の時計からですよ]
「(それでもすげーな)」
[それほどでも]
そして次の道へ、
「あーあーあー」
「ぁ〜ぁ〜ぁ〜」
[六秒]
また次でも、
「あーあーあー」
「ぁ〜ぁ〜ぁ〜」
[六秒]
「あーあーあー」
「ぁ〜ぁ〜ぁ」
[四秒]
「あーあーあー」
「ぁ〜ぁ〜ぁ〜ぁ」
[七秒]
「(四秒の道だな)」
[はい]
そして、輝はその道に進んでいった。輝は各部屋でこれを繰り返して行き、ついにあと一歩まで近づいた。その時点で、約一日が過ぎていた。
「あーあーあー」
「…」
「(おいおい、これって)」
[反響音が聞こえませんね]
「(よっしゃー)」
輝がガッツポーズで飛び上がった瞬間。
[あと一つですしね]
「(えぇ!?あ…)」
輝はありったけのマジリスキをそこら中に投げた。だが紫色の光などどこにもなかった。
「(まじかよ…トク!なんでもっと早くに!)」
[教えたのですからいいでしょ]
「くそーー」
輝はトボトボ、リュックを引きずりながら奥に進んでいった。すると見覚えのある大部屋についた。
「(なんでここに来るのはこんなに簡単なんだよ)」
すでにマジリスキもない輝は、泣く泣く図書のように座り込み、堀りに掘った。しかし、今回は水を飲みながらであるため、多少は楽であった。ちなみに、用はどこで足しているかは考えて見えばわかるだろう。
少し掘っていくと、マジリスキが出てきた。
「(お前には用はない)」
輝は横に置いた。
そしてまた掘り始めて、
「(お前もな)」
また、
「(お前も)」
さらに、
「(…)」
そしてさらに、
「(…)って、ねーじゃねーかー」
[体温が上昇しています]
「(こうすりゃいいんだろ)」
輝は一つのマジリスキを残し、他全てを壁に投げつけた。その時、紫色の光が、十秒以上も光っていた。
「(なんだこのマジミニアム)」
輝はマジリスキを熱で溶かし、穴に注ぎ込んだ。
「ドーン」
手を伸ばし、マジミニアムを手にした輝はマジミニアムがとても軽く感じることに気づいた。
「(こんな軽かったっけ?)」
輝はリュックの中に入れて、リュックを引きずりながら、また反響音の方法で進んでいった。
「あーあーあー」
「ぁ〜ぁ〜ぁ〜ぁ〜ぁ〜」
[十一秒]
念願の後一歩へ、また一日かけてたどり着いた。
「あーあーあー」
「…」
「(もう忘れ物はないよな?)」
[あぁ!]
「(なんだ?)」
[何もないです]
「(なら黙っておけ)」
輝はまっすぐと進んで行くと、眩しい光が輝を迎えた。太陽は沈みかかっている。
「よっしゃー」
すると、ベルトが豚のような生き物を手にやってきた。
「遅かったな、待ちくたびれたぞ」
「何日経った?」
「三週間だ」
「マジかよ」
「マジだ、リュックはどこだ?」
輝は引きずってベルトに見せた。
「なんだ、持ち上げることもできないのか」
ベルトは手で何かを支持するように動かしたと思うと、リュックが軽々しく浮かび上がった。
「これが魔法でできるのか」
「うまく使えばな」
「それで、お前を倒せればいいとかいってたよな」
「あぁ」
輝はベルトの方へ走っていった。
「おぉ、かなり早くなったな」
しかし、ベルトは軽々しく避けて行き、末には輝と拳を受け止めた。
「確かに、前よりは筋力が数十倍にはなったな、マジミニアムを使ったのか?」
「あぁ、良い重りでな」
「なるほどな、食事にするぞ」
「焼き豚か!」
「元人間のな」




