第十一話 ダスラン島の真実
第十一話 ダスラン島の真実
輝とベルトは草原を歩いて行た。
「実はこのダスラン島は一昔前まで、魔道士の監獄だったんだ。」
「それがどうしたんだ?」
「そしてここにいる全ての動物は元々は魔道士、魔法によって魔法を封じられ、また動物に変えられたんだよ、そしてその動物に変えたのが、A級魔道士ダスランだ」
「あの豚も狼も熊もか!?」
「あぁ、だから人間の言葉も理解できる。だが舌の構造は違うから話せないんだけどな」
「つまり、バーナスも!」
「バーナス? あぁ、あのイークスのことか。もちろんだ、だが彼女はちょっと特別でな。」
「濡れ衣ってことか?」
「いや、彼女は二十人もの人を殺した」
「そういう意味での特別かよ」
「話を聞け。彼女が幼かった頃、世界では病が流行ったんだ。彼女の一族ももちろんかかってしまったものが多かった。だが人に移ることはなかったため、すぐに消えたと思われたんだ。しかし、何らかの理由であの彼女の一族内ではその病は伝染病と化して、人から人へとどんどんヒロがて行ったんだ。そこで、直すのに必要な薬草は貴重で、一人を直すことも、あっても誰を直すのかもわからず、混乱に陥ったんだ」
「待て、いや、待ってください。てことは彼女がその患者を殺したってことか?」
「そうだ。その病気の症状は極めて卑劣だった。体がやせ細り、骨が皮膚を突き抜け、息をすることも辛くなっていく、彼女の一族は苦痛の悲鳴で埋め尽くされた。そこで、彼女は病人のためにも、残った一族のためにも、ということで殺したそうだ。だが、彼女は犯罪者となり、一族からも追い出された。」
「だから何が言いたい」
「考えてみろ、普通飛ぶことができる鳥なんかにするか?」
「なるほど……それじゃあ、戻すこともできるのか!?」
「戻すことができる魔道士がいればな」
日が暮れてきたため、輝たちは野宿することになった。そしてベルトが狩った焼き豚を食べている時のこと。
「そういえば、ベルトってここきたことあるの?詳しいみたいだけど」
「おれも師匠に渓谷に落とされたんだ、あの時はお前よりも若かったな、十三歳だったっけな」
「八日で遅いとか行ってたけど、ベルトは何日かかったんだよ」
「三日、まずは魔法を使ってみたけど、うまく浮かべなくて、次の日に動物の皮を剥いでマントに、三日目には空を飛んで上がったってとこだ」
「おれも実際はもっと早く帰れたんだけど」
「勝手に言っとけ、寝るぞ」
「はいはい、おやすみ」
「あぁ」
次の日、輝は日の光で目が覚めた。隣を見ると、ベルトが起きていた。
「ベルト、寝たのか?」
「寝る必要なんてない、言っただろ犯罪者の溜まり場なんだぞ」
二人は起き上がると、草原を数時間歩いた。
「おぉー、ついたぞ」
「どこにだよ」
「第二の特訓場、ダスラン地下洞窟だ」
「どこに……」
ベルトは草野生い茂っているところを手で探り、丘に洞窟の入り口のような場所が現れた。
「ここは、一週間もかかった。ミッションはマジミニアム鉱石を一トン集めることだ。お前にはこの魔法のリュックと計量器をやる」
リュックも計量器も、見た目は普通、重さも特別重いわけではない。
「何でやらなきゃならないんだ」
「本当に強うなりたいのか?」
「強くなりたいなって言ってないし…(だけど何がしたいとかも特には……)」
「テル、お前はここになんで来た?」
「異世界生活にあこがて…」
「目標はないのか?最強の魔道士になるとか」
「ない…」
「わかった、第一目標を決めてやるよ。おれを倒せるまでは強くなれ!今のお前は弱すぎる。どちらにしてもこの世界では生きていけないぞ」
輝は仕方なく、リュックを背に、計量器を手に洞窟に入って行った。
入っていくと、まず目に入るのは分かれ道だ、どちらも見た目は同じで、迷路のような構造になっているのだろうと見当はつく。また、灯が壁にぶら下がっており、多少見にくいにせよ、渓谷に比べると、ものはよく見える。
輝はまず右手に進んだ。すると次の部屋にも分かれ道、左へと進んだ。そして、右、左、右、左と進んんでいった。
「(ほんとに分かれ道多いな、一回戻ってみるか)」
輝は後ろを振り向くと、三本道がある。そう、実は部屋には計五本の道があったのだ。輝は後ろには気をつけていなかったために、どの道かわからず、6回す済んだのにもかかわらず入り口には戻らなかった。
「(わかんないな、もしかしたら、トク!)」
[なんでしょうか?]
「(記憶に基づいてなんか解析みたいなことできるか)」
[任せてください、えっと、はい、五本とも全て一致します]
どの道も見た目は同じ、いくら記憶に基づいても、同じものだとしか、認識ができなかったのだ。
輝は鉱石採掘のことを完全に忘れ、ひたすら歩き回った。しかし、入り口には戻れなかった。そして、気付いた時には、前方に道がない、つまり、最奥地までたどり着いてしまった。
この訓練はもちろん、鉱石採掘及び脱出が目的だが、それには体力、思考力、そして精神力を全て使ってこそ達成できるものであった。
そんなことを知る由も無い輝は、部屋の中心に座り込んだ。何もすることもないそう思いながら、時間を過ごしていた。
するとふと輝は立ち上がり、鉱石を見つけなければならなかったことを思い出した。ベルトは輝にマジミニアム功績についての手がかりを与えていた。
「(鉱石ってどうやって見つけるって言ってたっけ?)」
[...…
1.空気に触れると紫色に三秒以上光る
2.三秒以内の場合はマジリスキ鉱石
3.どれも手のひらサイズ
4.奥に行くほど量が増える
5.使い道はない
以上です]
「(なるほどね、紫色に三秒以上ってことか)」
輝は現在いる部屋を見渡した。特に光っているものはない。だからと言って、掘る道具も渡されていないため、輝は座ったまま、手で掘った。堀って掘って掘った。
…… …… ……
気が長くなるほどの時間が経った末に紫色の光が見えた。
「(おいおい、これって!)」
それも手のひらサイズ。
「(一、二、さ)」
しかし、光は三秒も経たないうちに、光が消えてしまった。
「(なんだ、マジリスキかよ)」
そして、輝はマジリスキ鉱石を壁に投げつけた。その瞬間、
「ボーン」
洞窟の壁に小さな穴が空いた。
「(おいおい、あぶねーじゃねーか、もしかして、マジでリスキー・危険ってことか?)」
輝は一人で笑い出した。そんな時、空いた穴から、何かが光った。
「(一、二、三、四、五……)」




