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検証中 削除予定  作者: その辺の双剣使い
四章 アメリア王国との戦争

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第51話 魔王倒したる



 俺が帰還した翌日。ヴィルヘルムが静養する部屋にて、彼の本人確認と事情についての聴取を行うことになった。

 それに伴い捕虜として投獄していたジャンも、その部屋に連行する。静養中の男が、アメリアの国王である事を確認させるのが目的だ。

 部屋に入るなり、ベッドから上体だけを起こす人物を見て思わず言葉が漏れるジャン。


「へっ、陛下……」

「辺境伯か。生きておったのだな」

「このような事になり、全くもって面目ありません……」

「私も同じ憂き目に遭っているのだ。そなたの事はとても言える立場ではないな」


 そう言って、ジャンに対して苦笑いするヴィルヘルム。

 彼らのやり取りからして、その事実が確定したのは明白であった。

 続いて俺は、初対面のアメリア王に対して自己紹介する。


「俺は、このグリーラッド領の領主を務めるディール・ヴァーニアだ。元々ぶっきらぼうな話し方をする方だが。一応、敵国同士という事も有るから、それに関しては御容赦願いたい」

「それは構わぬ。私は、囚われの身だからな。ところで、私の処遇についてはどうするつもりなのか? 今後の不可侵条約締結に向けた、交渉材料にでもするつもりであろうか?」

「そんな事が全く意味を為さない事くらい、あんたが一番よくわかっているんじゃないのか?」


 全く予想もしていなかったのだろう。俺の言葉に、ヴィルヘルムはかなり驚いた表情を見せる。

 しかし、その意味をすぐに理解したようで再び話し始めた。


「なるほど……どうやらこちらの事情についても、ある程度の事は把握しているようだな?」

「あんたも、とんでもない奴に目を付けられたもんだ。それについては少し同情するぜ」


 俺がそんな言葉をかけると、自分がまだ把握していない事実をこちらが持っている、と悟ったようだ。ヴィルヘルムは腹の探りあいなどせず、恥を捨てストレートに訊ねてきた。


「とんでもない奴とは、一体誰の事を言っているのか? それを聞いて私が思う人物とは、恐らく正教会から推薦されたアスモデロという人物の事ではないかと思うのだが……」

「アスモデロか、なるほどな。どうせ偽名を名乗るなら、もっと明らかに違う名にすれば良いのに。ずいぶんと奴も適当だなぁ」

「偽名? アスモデロが偽名だというのか? では、奴の本当の名は何だと言うのだ?」


 アメリア王の質問に対し、少々意地悪な感情が湧いてくる。俺は、十分に溜めを作ってから答えた。


「魔王アスモデウス」


 その名を告げた事で、顔面蒼白となるヴィルヘルム。

 辺境伯のジャンも言葉を失っていた。

 もし、これが事実であれば、王家だけの問題ではない。アメリア王国全体が、危機にさらされる可能性もあるのだ。二人がこんな反応になるのは当然である。


 俄には信じがたい。といった顔つきながらも、ヴィルヘルムは国家の一大事とばかりに俺の話に食いついてくる。


「魔王アスモデウスだと? そんな馬鹿な……根拠はあるのか? 確か奴は、貴国の国家認定勇者によって、二年程前に倒されたと聞いていたはずだが……」

「ああ、それな……確かに倒したと思ったんだが。どうやら完全には殺しきれていなかったようだ。邪神とやらの力を借りて、肉体を復活させてしまったらしい。奴が魔王である事は、あんたがここに来た直後に、俺自身が奴から直接そう聞いたんで間違いない話だ」

「魔王を倒したのが、まるで自分の事のように話すのだな?」

「ああ、俺がそのサマルキア王国が認定していた元勇者本人だからな! 俺が確実に奴を殺しきれていなかったせいで、あんたの国にまで迷惑をかけてしまって済まないとは思っている」


 俺がサマルキアの元勇者である事を明かすと、ヴィルヘルムは完全に絶句する。

 騙されていたとはいえ、国家を揺るがす危険な男の策略に王自ら手を貸してしまった。そのうえ戦わされていた相手が魔王を倒した勇者と聞けば、とんだ道化もいいところだ。

 そんな彼の心情を慮ると、さすがに少し同情してしまう。


 苦悩する様子のヴィルヘルムに対して、俺は一つ提案をする。


「もし、あんたさえ良ければ、俺も手を貸さないでもないがな。奴を確実に殺せなかった俺にも、責任の一端はあるわけだし。実は、新国王から先ほど援軍の要請を受けたんだが。そっちはすぐに片付けるつもりなんで、その後でも良ければって話にはなるけどな」

「敵国の王である私に、協力してくれると言うのか?」

「この件に関しては、敵国だとか自分の国だとか関係の無い事だろ? 魔王が国を牛耳って一番苦しむのは、そこに住む民だ!」


 俺は、そう柄にもない事を言ってみせる。いや、民を思う気持ちに嘘はない。王族の事なんて、心底どうでも良いが。力のない人々を救いたい。そう思う気持ちだけは間違いなくあった。

 敵国の領主である俺の言葉に、ヴィルヘルムは衝撃を受けているようだ。

 しばらく考え込んでいた敵国の王は、背に腹はかえられぬとばかりに俺の申し出を素直に了承した。


「済まぬ。その申し出、有り難く思う! 本来であれば、自国の事は王である私が何とかしなければならないのだうが。正直な話、今の状況ではどうにもならん。それに、相手が魔王だと言うのであれば、余計に元勇者である貴殿の力を借りるしかない」

「ああ、じゃ決まりだな!」

「本当に良いのだな? それで具体的には、どのようにして奴に対しアプローチしていくつもりなのだ?」


 ヴィルヘルムの心配は分かるが、俺には確かな自信があった。

 一度は倒した相手。パワーアップしていたオズボーンとか言う奴の事を鑑みれば、今の魔王の実力も底が知れる。


「なーに、簡単な話だ! 何人かでパーティーを組んで、あんたの国に潜入する。そのまま魔王の所に乗り込んで今度こそ完全に奴を倒す! ただ、それたけの事だ」


 流石にノープランすぎるかとも思ったが、ヴィルヘルムは俺の答えに黙って頷く。その表情からは、全てを失った者の覚悟のようなものが見て取れた。

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