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検証中 削除予定  作者: その辺の双剣使い
三章 召喚者たちの目的

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第27話 反抗軍結成



 ヴァーニア侯爵家の領地に有る草原地帯に、大勢の不揃いな武装をした兵士達が集まっていた。

 そんな彼らを前に、得意気に演説する一人の男。


「俺様が、この軍団の司令官を務める、ヴァーニア侯爵家の次男スネイクだ! 弟のディールは、俺様が鍛えてやった! 俺は奴よりも強い! だから安心して俺に背中を任せてくれ! 俺たちの力で、神の代行者を騙る偽の聖人達からこの国を取り戻すんだ!」


 スネイクの演説により、兵士達から一斉に気勢が上がる。


 サマルキアの英雄、勇者ディールの実家と聞いて、国中から義勇軍がこの侯爵領に集まってきていた。

 領主のスコットは彼らを正式に組織し、召喚者たちに対する反抗軍を結成したのである。


 スネイク! スネイク! スネイク! スネイク!


 いつまでも鳴りやまない自身を讃える声を受け、満足げにその様子を眺めるスネイク。

 彼の人生に於て、こんな脚光を浴びるのは初めての経験なのだ。ある程度、天狗になってしまうのも仕方がない。

 この状況に、スネイクだけでなく長男のレイチェルも野心を抱いていた。自身が英雄となって、新たなるサマルキアの国王になるのだと。

 しかし、現当主であるスコットは、正直この状況を迷惑な事だとさえ感じていた。


「レイチェルよ! 本気で召喚者達に、戦いを挑むつもりなのか?」

「当然です父上! これだけの兵達が日々、続々と我が領内に集まってきているのです。数日後には万にも達する事でしょう! 大義を持ってその軍を発すれば、王都に至る頃には更にその数は数倍に膨れ上がっているはずです」

「う~む……数の問題では無いのだ……いくら数万の軍勢が集まろうとも、人外な力を持った召喚者たちを倒せるとは私にはとても思えんのだ」

「ご心配には及びません、父上! 今回は、例の魔道国家オスタリアで製造されたという、魔力砲なる物を1,000挺も用意したのです! さしもの召喚者も、魔法文明の利器には敵いますまい!」

「魔力砲か……ディールの奴が宝物庫から持っていった、あの銃なる物に似た魔道具であるな? 確かにディールの奴は、聖剣よりも強力な武器だと言ってはおったが……」


 不安そうな顔で何かを思い出す様子の父に対して、今度は利を説いて後押ししてもらおうと試みるレイチェル。


「これは千載一遇の好機です父上! 長きに渡る不遇の時を経て、ようやく我が一族にも王権を狙う機会が訪れたのです!」


 かつての自分もそうであったように、息子の気持ちは痛いほど理解できたスコット。

 しかし、若さ故の血気に逸る行動により一族を滅亡させるわけにはいかない。

 そう思った彼は、どうしてもこの無謀とも思える行動に賛成する事ができなかったのだ。


 黙ったままの父に対し、これ以上何を言ったところで無駄だと感じるレイチェル。彼は「まぁ、見ていてください父上! 必ず後悔はさせませんから!」と言って、無理やり父の小言を切り上げた。



 一方、ディールの領地となったグリーラッドでは、同じような現象が起きていた。

 とはいえ、実家の領地とは少し様子が違っていたのだが。

 この地が安全であるという噂が広まったことで、難民となっていた多くの民が、彼の領地に流入してきていたのだ。


 人口が一気に増えた事に伴い、古城の城郭は更に広がっていた。更には城の外に、多くの集落ができ始めていた。

 そんな状況のなか、最初に領民として買われてやってきた子供達はすっかり先輩面だ。

 彼らは現在、その年齢に関わらず各担当毎にリーダーとなっている。新しく入ってきた人々に対する指導役として活躍し始めていた。

 しかし、軍事担当についてだけは、当然の事ながらそうはなっていなかった。

 兵役を希望する民達の軍事教練は、エマが担当する。年少者で将来有望な者に関しては、ガルドが担当していた。


「この程度でへばっているようでは、ここが戦場ならとっくに命を落としているところだぞ!」


 練兵場にて。ガルドにそう厳しい事を言われ、地面に這いつくばっていたマギは立ち上がる。


「俺はあんたよりも強くなる! そして、ディール様の一番の騎士になるんだ!」


 強い思いを言葉にする事で、戦意を奮い起たせるマギ。立ち上がった彼は、再びガルドに向かっていった。

 マギは、ホブゴブリン襲撃の一件以来、すっかりディールに対する憧れを取り戻していた。そして、彼の騎士になろうと決意していたのだ。

 彼には、どうやら才能が有ったようである。

 ガルドの指導により、彼は少しずつではあるが霊気を操る事もできるようになっていた。


「そうだ! 霊気とは強い心から生み出されるもの! その気持ちを強く持ち続ける限り、お前の成長は止まらないだろう!」


 そうは言いつつも向かってくるマギを軽くいなし、剣の腹で再び地面に叩きつけるガルド。


「まだまだ遅い! 戦場で死にたくなければ、相手よりも早く必殺の一撃を入れるしかない! 私が本当の敵だとしたら、お前はもう何十回死んでいる事になるんだ? もっと本気でかかってこい!」


 ガルドがマギに対して特に厳しく接していたのは、彼の才能を認めていたからである。

 鍛え甲斐のある彼に教える事が、楽しいとさえガルドは感じていた。

 しかし、流石のマギも今の一撃は相当に堪えたらしく。今回ばかりは、しばらく起きあがる事はなかった。

 そんな兄を心配して、すぐに駆け寄るミグ。

 彼女は、ディールお手製の魔道具を使い、訓練生たちを回復する役目を担っていたのだ。


 簡易的な呪文を唱えるだけで、効力の発生するマジックワンド。それを倒れ伏す兄の背中にあてがいながら、ミグは回復魔法の呪文を詠唱する。


「セラピュア!」


 ミグがそう唱えると、マギの体はうす緑の淡い光に包まれる。すると、みるみるうちに擦過傷などの傷は消えていった。

 意識を取り戻した兄に代わって、その場に倒れ込む妹のミグ。


「ミグ! 大丈夫か!? そこまでして、全力で回復なんかしてくれなくても良かったのに!」


 妹を部屋で休ませたいと思ったマギは、視線をガルドに向けその事を訴える。

 教官が頷くのを確認すると、マギは妹を背負い新しく拡張された城郭の中にある自宅へと向かった。


 妹を背負ったマギが家の中に入る様子を、巡回中だったエマが目撃する。

 事情を知らない彼女はあまり深く考えずに、少年に対して苛立ちを感じた。


「あいつ、ちょっと才能が有るからって時間内に休むなんて、随分と生意気な奴ね!」

「本当にそうなんでしょうか? 私は、何か事情があるんだと思いますよ?」


 鋭い目つきでマギの家を睨みながら、独り言ちるエマだったが。その直後、彼女の背後からそう否定する言葉がかけられるのだった。

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