第26話 悲惨なティナ
大臣に連れられて、奏多が発した軍の陣営に到着するティナ。
警戒していた兵達に取り囲まれるも、すぐに大臣が要件を延べる。そのあと二人は、丁重に軍の司令官の元に案内された。
「あら? 奏多様が、直接迎えにこられたのでは無かったのですね……」
軍の司令官は、聖夜というガタイの良い召喚者の少年だった。
「ギリギリのタイミングだったな! あと少ししたら、総攻撃をかけようと思っていたところだったんだぞ? ちっ、本当にイライラさせる王族どもだぜ!」
「あら、聖夜様! これから奏多様の妻になる私に対し、そのような無礼な事をおっしゃられても宜しいのかしら? 奏多様に言い付けられても、構わないのですね?」
王女のおめでたい発言に対し、聖也は薄ら笑いを浮かべながら言う。
「はぁ? お前、何か勘違いしてないか? 奏多がお前を妻にするだって? 王族を使って面白い事ができそうだったから、仕方なく連れ戻しに来てやっただけだぜ? 別に国王でも構わなかったんだけどな。奏多の奴、自分に気が有る女を辱しめるのが好きみたいだな」
予想どおりの結末に、大臣はもはや長居は無用と悟る。
「では、私はこれにて」
そう言って、すぐにその場から立ち去ろうとする大臣。
「だ、大臣! 待ってください!」
大臣の背中に追いすがろうとするティナ。聖也は、そんな彼女の髪を掴み床に叩きつける。
「痛い! ぶ、無礼な! 私は王女ですのよ!」
「うっせーな、偽聖女! せっかくお前に、永遠の命をやろうってんだ! 大人しく俺についてきやがれ!」
永遠の命という興味深い文言に、再びおめでたい思考を巡らせるティナ。すぐに機嫌を直した彼女は、妄想を膨らませた感じで言う。
「まあ! やはり奏多様は私に永遠の美貌を与えて、ずっと側に置いておきたいとお考えなのですね?」
あまりにもご都合主義な王女の言葉に、流石の聖也も苦笑いする。
もう面倒だと感じた彼は「ま、そう言う事だ」とだけ言って、兵に彼女を連れていくよう命じた。
目的を達成した聖夜は、全軍に撤収命令を下す。すぐに奏多の待つ王都へ向かって移動が開始された。
王都までは五日程かかる道のりである。
夕方になり、夜営が張られる事となったのだが。その晩、ティナが押し込められていたテントには、軽装の聖夜が一人で訪れていた。
「あら、聖夜様。私に何かご用なのかしら?」
「ああ」
下卑た笑みを彼女に向けながら、簡易的な鎧を外し始める聖也。
「こんな所で鎧をお外しになるなんて、一体どういうおつもりなのですか?」
ティナの問いに答える事もなく、聖也はとうとう服まで脱ぎ始める。
その様子に、流石の彼女も自身の危機を察した。
「な、何をなさるおつもりなのですか? 聖夜様! だ、誰か! 聖夜様がご乱心です!」
叫び散らすティナの頬を、おもいっきり叩く聖也。そのまま彼女をベッドに押し倒すと、彼は下卑た笑みを浮かべながら言った。
「殺しさえしなければ、何をしても良いって奏多の奴が言ってたからな。王族の女の体を、たっぷりと味わわせてもらうぜ!」
「おやっ、おやめください聖夜様!」
「うっせー! このメス豚!」
そう絶叫しながら、更に王女の頬を数回殴り付ける聖也。左耳の鼓膜が破れたのか、彼女の耳からは血が流れ出していた。
数時間に渡り犯され続けたティナ。身も心もボロボロになった頃、ようやく地獄から解放される。
その後も王都に着くまでの間、聖也だけに留まらず一般の兵士たちにまで犯され続ける。
完全に廃人状態で、王都に到着するティナだったが。そんな彼女を更なる悲劇が襲った。
奏多の所へと連れてこられたティナは、会うなり彼から信じがたい言葉を浴びせられる。
「元々、大した美人ってわけでもなかったけどな。随分とひでぇ~面になったじゃないか? この分だともう、下の方もかなりガバガバだろ」
あまりにも酷い奏多の言い様に、とめどなく涙を流し続けるティナ。廃人同然と思われたが、まだ僅かに感情は残っていたようだ。
そんな彼女に向かって、下卑た笑みを浮かべる奏多。急に冷たい表情に変わった彼は、顎で兵に合図をして彼女を連行するよう促した。
ここは、王宮の最下層に隠された秘密の広間。
王族ですら知らないその場所に連れてこられたティナは、この後すぐに死んだ方がマシだと思えるような目に遭わされる事となる。
「何故に、このような場所に私を連れてきたのですか?」
巨大な鉄の扉を目にしたティナは、嫌な予感はしつつも声を震わせながらそう質問する。
奏多は下卑た笑みをうかべながら、あっさりとその質問に答え始めた。
「この秘密の宝物庫にかけられた結界は、厄介な超古代の禁呪みたいでな! 神の代行者である俺たちにも、解いたり破壊したりする事ができないみたいなのさ」
「それと私と、一体何の関係がございますの?」
「王族の言葉で、この扉は簡単に開く設定になっているらしいんだ……なぁ、ティナ。試しに扉に向かって、開けゴマとでも言ってみてくれないか?」
奏多に言われたとおり「開けゴマ」と言ってみるティナ。しかし、その鋼鉄の扉が反応する事はなかった。
「ちっ、馬鹿なのか? お前! そのまんま言う奴が、何処の世界に居るってんだよ! 扉よ開け、とかに言い直すだろ普通! 天然かましてんじゃねーよボケが!」
王族という立場でありながら浴びせられた酷い恫喝。初めて自身に受ける乱暴な言葉に、ティナはとうとう声を荒らげ泣き始めてしまった。
「ギャーギャーうるせー女だな! もういい! 例のモノを用意しろ!」
奏多に命じられた兵士達が、布のかけられたローラー付きの籠を運び込む。
かけられた布が外されると、その中には世にもおどろおどろしい物体が蠢いていた。
「邪神カーリィの魔人体って言う物らしいぜ。こいつを使って、お前に永遠の命を与えてやるよ」
臓腑のように蠢くその肉塊に、恐怖のあまり泣き止むティナ。
兵士達によって籠が取り外されると、奏多はその肉の塊に向かって恐ろしい事を言った。
「お前に、思考するための頭をやるよ!」
そう言い放った奏多はその刹那、聖剣を抜いてティナの頭を斬り飛ばす。
「ほれ! 血の匂いだ、嗅ぎ付けろ!」
奏多がそう言うと、肉の塊から無数の触手が伸び出す。飛ばされたティナの頭部は、その触手によって一瞬のうちに空中で捕らえられた。
「はれ? 私、一体どうなったと言うのかしら?」
捕らえられた王女の頭部は、触手の先端でユラユラ揺られている。
頭だけになったティナは、自身に何が起きたのかわからないといった感じでそう喋りだした。
そんな彼女の疑問に答える事もなく。奏多は、薄ら笑いを浮かべながら平然と残酷な事を言い放つ。
「これで、扉開閉マシーンの完成だな!」




