第47話 初めてのダンジョン探索!
第47話を更新しました。
与人は王たちと共に遺跡へと向かっていた。
あのエクサ王に初めて出会ってから四日後、与人たちは王都であるデフスから少し離れた遺跡群にいた。
「へぇー。『マキナス』にもこんな遺跡があるんだ」
与人が思わずそう漏らすと、隣にいた人物から不満げな声が出る。
「あったり前だろ? 何でもかんでも壊せばいいってもんじゃねぇ」
そうその人物とはこの遺跡にあるダンジョンを依頼した大元であり、この『マキナス』の王であるエクサであった。
本来であれば気軽にこのような場所に来てはいけない立場ではあるが、どうしても与人たちの実力が見たくて仕事をホッポリだし一緒にやって来たのである。
だが当然、王が一人でこんなところに来れる訳も無く。
「はぁー。終わったら仕事漬けなのを完全に忘れていますね、アレは」
「まあエクサ王らしくていいではないか」
当然お目付け役と護衛は最低限付くのであった。
その役目を担っているのはエクサの側近ことイプシロンと親衛隊隊長であるベータであった。
ベータは与人たちをデフスまで案内した警備隊の隊長と同一人物である。
本来あの五人がそれぞれそれなりの地位の人間であったが、エクサが与人たちを驚かそうと思い警備隊の恰好をしていたのである。
まあ全ては与人の行動によってご破算になった訳であるが、ともかくこの三人と与人たちはダンジョン探索のためこの遺跡まで来ていた。
何故国の代表であるエクサたちが与人たちを頼るのか、その説明を与人は二日前に聞いていた。
「特殊な条件?」
「ええ。そのダンジョンに入るには特殊な条件を満たす必要があり、そのために探索が困難となっています」
王城の一室で与人とストラ、そして万が一のため護衛にランがイプシロンの話を聞いていた。
与人は真剣にイプシロンの話を聞いているが、その目の周りにはクッキリと隈が現れていた。
原因はもちろん、初日で色々やらかした件について全員で数時間にわたり説教を受けていたため寝不足ののである。
余談ではあるが最後の言葉に対しては全員に高評価であった事は、与人本人は知る由もない。
「だけど仮にもお国の代表なんだから、その条件も達成出来るんじゃないの?」
「ラン殿」
「おっと」
思わず口を挟むランをストラは静止する。
だがイプシロンは気にした様子もなく話を続ける。
「勿論、本気で探せば条件に当てはまる者もいるでしょう。ですがそのダンジョンは何時、何者が造ったか全くもって不明なのです」
「ああ、大規模に捜索隊を編成してもそれに似合うモノが手に入るか分からないって事でいいのかな?」
「ええ、その認識で構いませんよ。とはいえ折角見つけたモノを放置するのも勿体ないと思っていたところ」
「その条件とやらに合うかも知れない我々が都合よく来た、という訳ですか」
イプシロンは申し訳なさそうに頷く。
与人とストラは顔を見合わせる。
これから世話になる身からすれば受けたいところではあるが、それでも危険を冒す以上はそれなりのリターンを貰わなければ割に合わない。
「……以前おっしゃっていたこの件に関する報酬については?」
「『マキナス』で今後必要になるであろう拠点を提供します。とある豪商が住んでいた大屋敷ですが不正を働き屋敷ごと財産を接収したものです」
それを聞いて与人はこの話に対して前向きになる。
何時までも宿屋暮らしという訳にもいかない以上、安定した拠点を得られる事はかなりありがたい。
だがストラは更に条件を上乗せするのであった。
「屋敷に関してはそれで構いませんが……命を張るのに対して報酬が古い屋敷なのはつり合いが取れてると言えるでしょうか?」
「と、言いますと?」
「そのダンジョンに財宝の類があった場合、その一部を我々に譲る。この条件を持って我々はその依頼を受け入れましょう」
「その条件では、それこそつり合いが取れていないでしょう。その一部とはどの程度を想定しておられるので?」
「そうですね。仮に財宝の総額がこの程度とすれば……。この程度のパーセンテージでしょうか」
と言ってストラは用意していた紙にサラサラと何かしら書くとイプシロンに渡す。
「ハハハ、ご冗談を。これでは我々にメリットがありません。譲ってもこの程度でしょう」
「そちらこそご冗談を。これでは受ける意味もありません。ではコチラでいかがです?」
「イヤイヤ」
「イヤイヤ」
その後もストラとイプシロンによる応酬は繰り広げられていく。
「な、なんかすごいねストラ先輩」
「こういったやり取りは今までしたくても出来なかっただろうからな。……ストラが仲間で良かった」
そんなランと与人との会話も耳に入らないのか二人の応酬は激しさを増していき、二十分が経過してようやくまとまった。
「では、得た財宝の5%とそちらが希望する品が一つでよろしいですね」
「はい。これらを先ほどの屋敷に上乗せしてお渡ししましょう。……久しぶりに楽しい交渉でした。また機会があれば」
「こちらこそ」
「……あれが楽しいって」
ランの声に同意しかける与人であったが、その前に確認しなければならない事があった。
「それで。そのダンジョンの条件って?」
「ああ、説明していませんでしたか? それは……」
「女性三人とその全員が信頼している男性一人、って何か変な条件だよな」
「だな。まあさっさと終わらせるぞ主」
与人の言葉に反応したリントはどうやらダンジョンにはあまり興味がないようで体をほぐしつつ、やる気がなさそうに言った。
「リント、油断して主様に怪我などを負わせないでくださいよ」
条件を聞いた途端にやる気を見せたアイナはリントに釘を差しつつ同じく体をほぐす。
「万が一、怪我を負っても私がいますから安心してくださいね与人さん」
そう言って優しく与人に残るメンバーであるユニがそう付け加える。
本来であれば、ユニではなくセラがメンバー候補であったのだが。
「推察。これだけの技術が残ってる以上、博士はこの地域に訪れているはずです。であればラボへの入り口も残しているはずです。マスター。どうか探索の許可を」
と与人に嘆願してきたので、念のためにリルとカナデと一緒にデフス付近を探索に出かけたのである。
「さて、準備が出来たらダンジョン行くぞぉ!」
「王はここで見守りですがね」
イプシロンの言葉も無視しエクサはどんどん進んで行き、イプシロンとベータも後を追う。
その様子を見て与人は気合を入れ直し、三人と共に進む。
こうして与人は『ルーンベル』に来てから数カ月、初めてのダンジョン探索が始まろうとしていた。
今回はここまでとなります。
次回は遺跡に突入します。
ご期待ください。




