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第48話 ダンジョン攻略 少々の不安と後悔を乗せて

第48話を公開です。

与人たちはダンジョン攻略を開始する。

「ここがこの遺跡のダンジョンの入り口だ」


 遺跡の地下に通ずる階段をエクサは指差しながら与人たちに説明する。


「……思っていたより普通ではあるな」

「見た目はそうですが、中はどうなっているか分かりません。お気をつけて」


 リントがボヤキにも似た言葉を発するも、イプシロンはそう言うのみで注意などはしなかった。

 それを横目にユニは心配そうに親衛隊隊長であるベータに声を掛ける。


「それにしても、大丈夫なんですか?」

「何がですか?」

「いえ、ベータさんの実力を疑う訳では無いんですが。王であるエクサさんとその側近であるイプシロンさんの護衛が一人というのは……」

「ああ、なるほど。心配をお掛けしてしまったようで申し訳ない」


 ベータは気にした様子もなく逆にユニに頭を下げる。


「ですが心配はご無用。王には黙っていますが、既に一帯は我ら『マキナス』の精兵により固めております」

「ああ、それなら心配ないですね」

「ええ。どうやらリント殿とアイナ殿は気づいておられてようですが」

「そうなんですかアイナさん?」


 呼ばれたアイナは聞かれるとうなずき返す。


「途中で、ですが。それにベータさんがここにいるなら問題は無いと思いますよユニ」

「どういう意味です?」

「単純な話、ここの兵士の基準を4とするならベータさんは8。下手な兵士が数いるよりも頼りに出来ます」

「ハハ、買い被りですよ。それで言うならせいぜい7ですよ。まだまだ修行の身です」


 そう笑うベータであったがアイナは気づいていた。

 その鎧の下には、努力によって鍛え上げられた体があるであろう事を。


「では時間も無い事ですしそろそろ突入準備に入りましょう」


 イプシロンの言葉によってそれぞれ会話していた面子がダンジョン入り口に集まる。


「さて、最終確認だが命は大事しろよ? 何かあったらコイツで助けにいってやるからよ」


 そう言ってエクサは肩に背負っていた物を取り出す。

 それは地球で言うマスケット銃であった。

 これらは『マキナス』の兵士にも似た武装は配られているが、エクサのはそれを独自にカスタマイズしたオリジナルで威力が段違いである。

 子どものように見せびらかすエクサに頭を抱えつつ、イプシロンが会話を続ける。


「と、まあ王もやる気ですしこちらの事は気にせずそちらの身を第一に探索をお願いします。助けに行けるかは状況によりますが」

「イプシロン。事実だったとしても言い方と言うものが……」


 イプシロンの言葉にベータが気を使うが与人は笑みを浮かべている。


「いえ。そちらにも事情があるでしょうし下手に約束されるよりかは全然。……それに」


 与人は隣に立っているリントたちを見ると自信満々に。


「このメンバーで、万が一はあり得ませんから」

「主様!」

「与人さん」

「まあ、その万が一が起きるかどうか分からないからの探索なんだがな」


 リントの言葉に笑いつつ与人たちは未知のダンジョンへの階段を降りていった。



「意外と明るいんだな」


 長い階段を下りつつ与人はそんな感想を漏らした。

 地下へと降りていっているはずではあるが、青白い光が進む先を照らしていた。


「恐らく魔力によるものですね。わずかですが一帯に魔力を感じます」


 ユニが壁を触りつつ判断した事を与人たちに報告する。

 それに対しアイナも聖剣のコピーで軽く壁を叩いてみる。


「古く見えますけどかなり頑丈な壁ですね。崩落ほうらくの心配はなさそうですけど、壁を切り裂いて道を作るという事は無理そうですね」

「どうやらそのようだな。……さて、この階段も終わりのようだぞ?」


 戦闘を歩いていたリントの言葉に与人たちが先を見てみると、そこには少し開けた場所があった。

 そこには二つの扉があり、その中央には《この先に進みたくば、真に信頼し合っている男と女三人を連れてくるべし》と確かに書かれている。


「聞いてはいましたが変わった条件ですね」

「主、一応聞くがこの面子で開かなかった場合でも『マキナス』側から、何かしらの制裁が加えられたりは無いんだな」


 リントがそう確認するのに対し、与人は渋い顔になりつつ答える。


「まあそうだけど。不安になるからその質問止めてくれよリント」

「基準が分からない以上、確認は必要だろう」

「大丈夫です主様! 私の主様に対する信用は三人分以上です!!」

「主の聖剣に対する信用が地の底なら意味ないがな」

「ガハァ!?」


 リントのその一撃必殺の言葉に膝を付くアイナ。

 ユニが慌ててアイナを支え立たせると、アイナはリントを睨みつけるが睨まれた方であるリントは気にしない。


(大丈夫なのかな、これ?)


 一連の流れに不安になる与人であるが、とりあえずは皆で開けた場所に移動する。

 全員がその場所に移動すると、場所全体が赤く光だす。

 警戒するリントたちであったが、数秒で収まると中央の文字が消え《〇》と書き換えられる。


「これは。条件を満たしたと言う事でしょうか?」

「ま、まあ私と主様の絆なら当然ですが!」


 そう言うアイナの背中に冷や汗が流れていた事は見て見ぬ振りし、リントは疑問に思った事を言う。


「にしても、扉が開かないが……。どう進めばいいんだ?」


 そう口にした途端に、《〇》と書かれていた中央の壁がまた書き換えられて新たな文字が書き出される。


「ええと。《信頼し合う男女よ、男は左の道へ進み、女たちは右の道へ進め。それぞれの道で指示を順守して進め。》……だってさ」

「つまり与人さんとはここで別れなければいけないという事、ですよね」

「無視してでも誰か一人でも付いていくべきでは? 主に私を」

「……無理そうだな。既に防壁が張られている。私たちはこちらには進めん」


 リントが既に開かれている左の扉の先に手を突っ込もうとするが弾かれるのを確認する。


「どうしましょう。この条件で通れるのは分かりましたし、一旦引くのも選択の一つですけど」

「いや。……このまま進もう」

「主?」


 当の本人である与人から提案にアイナとユニは少し心配そうにしている。


「この程度でビビッていたらこれから先も進めない。多少の危険も乗り越えないと」

「……本人がそう言ってるんだ。少しは信用してやろう」


 与人の言葉にどこか嬉しそうにしながら言ったリントの言葉にまずユニが頷くと、アイナも渋々ながら頷いた。


「よし! じゃあ進もう!」


 そう言って与人は左の道へと一人で進んで行くのであった。



 後に与人はこの選択を、後悔するのであった。

今回はここまでとなります。

次回、与人に試練が。

ご期待ください。

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