第41話 ヒュドラ対メカ(武装)セラ
41話を更新しました。
セラとヒュドラ、その決着の時が迫っていた。
今回、先に動いたのはヒュドラであった。
先ほどと同じ高圧水流を今度は九つの口から発射した。
一発でも大型の船を沈める事が出来る水流、普通であれば避ける事をまず考えるだろう。
だがセラは。
「兵装転送、バスターランチャー」
その肩に再び砲塔が転送されヒュドラにその銃口が向けられる。
「設定。バスターランチャー出力60%……ファイヤ」
先ほどの砲撃より明らかに強力な魔法の弾丸がヒュドラに向かって発射される。
当然その途中で高圧水流にぶつかり合うが今度は対消滅どころか水流をかき消しつつヒュドラの首に向かう。
「!!」
ヒュドラは驚きつつも何とか避けようとするが巨体が災いして二つの首に直撃し消滅させる。
叫ぶ間も無く吹き飛んだ己の首を確認してヒュドラはその巨体で叩き潰そうとセラに近づく。
だがセラはすでに別の兵装を放っていた。
「???」
ヒュドラは突如、体が軽くなった感じがして己の体を確認すれば首が二つ海に沈んでいた。
「!?!?」
何故この状況になったか分からず戸惑うヒュドラの目に浮遊している何かが見えた。
「説明。兵装チャクラムリッパー、切れ味は如何でしたか?」
回転しながら自らの周りを囲うように浮遊する二つの物体にヒュドラはジッと見ていたが突然に海中に潜ろうとする。
《あいつ! 逃げるつもりなのか!?》
《態勢を立て直すつもりかも知れません。どちらにしても海中では打てる手は……》
与人とストラが通信越しに絶望気味に言っているがセラは黙々と準備をしていた。
「無問題。兵装解放、ボルテックス」
セラがそう言うと同時にタイラント・ウイングからミサイルラックのような物が飛び出し中から魔力弾がヒュドラの周りの海に打ち込まれる。
すると。
「!?!?!?」
着弾と同時に電撃が走りヒュドラをしびれさせる。
ヒュドラはその電撃を嫌がったのかヒュドラは海に潜るのをやめ、範囲外にとにかく逃げようとする。
だがそこにはチャクラムリッパーが待ち構えておりヒュドラの首を狩らんと向かって行った。
「!!!」
避ける間もなくもう一つの首をチャクラムリッパーに切られ苦悶の表情を見せるヒュドラ。
そこに追い打ちをするが如くセラがグランドアックスを振り上げながら肉薄していた。
「!!」
ヒュドラは迎撃のために高圧水流を放とうとするが、セラの方が速かった。
大きく振りかぶられた斧がヒュドラの首の一つを真っ二つにする。
「シャァァァ!!!!!」
大きく悲鳴を上げつつ何とかセラを振り払うヒュドラであったが弱っている事は明らかであった。
「解明。やはり首を落とせば落とすほど治癒能力は鈍くなるようですね。残りの首は三つ……。マスター」
《ん?》
「提案。今のポテンシャルならばヒュドラを生け捕りに出来ます」
《確かに仲間になれば毒において我々は強いアドバンテージを取る事が出来ます》
ストラがモノクルの位置を調整しつつメリットを説明する。
《ですがセラ殿、あなたは出来るのですか?》
「肯定。現在の出力であれば問題なく捕獲は可能です」
《そうではありません。自身を殺していたかも知れない相手を本当に捕獲出来るのですか、と聞いています》
「無意味。当然です、疑問に思うまでもありません」
セラは当然の事のように返す。
「推察。マスターと出会わなければ私は博士の真意を知る事無く壊れていたでしょう。ですからマスターが望むのであればどのような相手でも捕獲してみせます」
《セラ……》
「提唱。決めるのはマスターです。……どうなされますか?」
《……》
ストラはもう何も言う事は無いのか黙ったまま与人を見ている。
「……セラ、頼んだ。けど無理はするなよ」
「了解。それが主命であるならば」
セラは与人の言葉を聞くと、再びグランドアックスを大きく構えヒュドラの頭上まで一気に接近する。
「!!!」
ヒュドラはセラを確認すると残りの首三つを重ね防御の姿勢を取る。
セラは降下する勢いを味方に付けて斧をヒュドラの首に振り下ろす。
「キシャァァァァ!!」
一番上の首が悲鳴を上げつつ断ち切られそうになるが何とか皮一枚のところでグランドアックスを止める。
ヒュドラはそれをチャンスだと見て首を一つセラに向けて高圧水流を放つ体制に移る。
だがセラの顔にはまだ余裕があった。
「ブースト、オン」
突如グランドアックスから魔力が噴き出し凄まじい勢いにて残りの皮と首を断ち切った。
「!?!?」
まさかの展開に衝撃と痛みが止まないヒュドラであったがそのまま高圧水流を発射する。
避けれるような距離ではなく、勝利を確信するヒュドラであったが。
「シールドアームズ、展開。」
再びタイラント・ウイングから今度はサブアームが現れ魔力シールドを展開する。
水流はシールドに当たると霧散していった。
「!?!?」
ヒュドラは勝ちの目が無いと判断したのか、わき目も振らずに後退しようとする。
「兵装返還、グランドアックス。兵装転送」
セラはグランドアックスを戻し、新たな兵装を呼びつつヒュドラの前に移動する。
「!!」
セラが目の前に移動して何か行動を起こそうとするヒュドラであったが、既にセラの手には新たな武器が握られていた。
「ヘカトンアームズ」
巨大な手甲を身に着けたセラは勢いをつけてヒュドラを殴りつける。
ヒュドラはその一撃を受けて完全に気絶したのか、海に沈もうとするが。
「捕獲」
タイラント・ウイングから捕獲用の巨大なネットが飛び出しヒュドラを絡めとる。
「任務完了」
セラはそう穏やかに言いながら仲間とマスターの下に戻るのであった。
「ま、まさかありえん! あのヒュドラが!」
ヒュドラが敗北したという事実はすぐにキング・サハギンに届けられた。
思いもしなかった事実に動揺するキング・サハギンであったがそんな彼に側近が近づいて来る。
「あの~。キング」
「何をどうすればあの不死の蛇を倒せるというのだ!? 我々が捕獲するのに一体どれだけの犠牲を」
「キング。キング」
「ええい! なんだこんな時に!?」
「キング。人間の船団に囲まれてますよ」
「……は?」
キング・サハギンは周りを見れば確かに先ほどまで正面にいた艦隊が左右に展開し挟み撃ちにしようとしている。
「な、何がどうなっているのだ!?」
「どうやら人間共、ヒュドラから逃げる振りして最初から囲むつもりだったみたいですね~」
「ですね~。では無いわ!! と言うより近づくのが分かっていたなら言わんか!!」
「ヒュドラに集中させよ。と言ったのはキングじゃないですか~」
「報告をするなとは一言も言っておらんわ!! うおっ!!」
キング・サハギンが側近を一喝すると左右の艦隊から砲撃が雨の如く降り注いでくる。
「クソォ! 人間共め~!!」
「キング~。撤退した方がいいんじゃないんですか?」
「言われでも分かっとるわ!! 全軍! 魔王領まで撤退!!」
キング・サハギンを始めとした魔王軍は海中に潜って魔王領まで引き下がった。
こうして【オーシェン】、ターヘイ近海における戦いは無事、人間側の勝利に終わった。
今回はここまでとなります。
次回はある方との対面です。
ご期待ください。




