第22話 戦略書は厳しい先生になる?
22話を公開させてもらいました。
魔法の勉強をする与人。
果たしてその成果は?
※今回より1話の文字数が5,000文字ほどから、2,500~3,000文字となります。
ご注意ください。
「あ~! 難しい!!」
本を買いその他にも保存がきく物などを買った後、宿をとって休憩する中で与人は早速本を開いて勉強しようとしていたが初級の内容につまずいていた。
「……主。言いたくないが魔法の才能も無いのではではないか?」
リントが珍しく気を使うように声を掛ける。
その言葉が胸にグサッと刺さりながらも与人は必死に本の内容を学習しようとするが数分も経たずに突っ伏してしまう。
「ご主人、大変そう」
「主君の世界には魔法は無いらしいからね。それが感覚として一層難しいじゃないかな」
リルとティアがそのように話しているとアイナが与人の近くに動く。
「主様、急ぐ必要はありません。剣の道を極めるのに時間が掛かるように学ぶという事は時間が掛かるものですから」
「露骨。アイナ氏の明らかな点数稼ぎが見受けられます」
「セラ、少し黙ってて下さい」
セラに釘を刺しつつアイナは与人に笑顔を向ける。
その様子に笑いつつも与人は勉強しようとするのを止めようとはしない。
「アイナ、気遣いありがとう。けど少しでも皆の役に立ちたいからさ、少しは無理しないと」
「ですけど与人さん。もう夜も遅いですのでもうお休みになった方がよろしいかと」
「アイナさんの言う通り一朝一夕で学べる物では無いですから。時間は十二分にある事ですし今日はお休みになられた方が……」
「……分かったよ」
ユニとカナデに言われようやく休む気になったのかバタンと本を閉じる。
だが戦略書を持ってベットに入る。
「ん? 主それをどうする気だ?」
「……枕の下に敷いた物に関する夢が見られると聞いたことあるから」
「否定。ですがマスター、それに根拠は無いはずですが?」
「藁にもすがりたいんだよ」
そう言うと与人は戦略書を枕の下に置き疲れていたのかすぐに寝息を立てた。
「さて、主も寝たところで少し真面目な話をしておこうか」
「旦那様の強化についてですか?」
「ああ、正直に言って主があそこまで動けないとは思わなかった。だが剣に関しては聖剣がいる」
「任せてください! いずれ主様も剣聖と呼ばれる存在にして見せましょう!」
「いやそこまでは必要ないが、この件に関しては頼んだ。問題は魔法だな」
リントは机に積み重なっている初心者用の魔法書を見る。
「魔法に関しては諦めるべきでは無いかと思う」
「それはどうしてだい?」
ティアがそう聞くとリントはため息を吐く。
「残念だが魔法に関しては教えられる者がいない。如何に本で知識を詰め込もうとどうにもならん」
「申し訳ないですリントさん。私たちが教えられれば良かったのですが」
「ユニ……しょうがない」
リルがユニを慰めているとティアがリントに質問する。
「でもあの買った魔法書たちはどうするんだい? このまま無駄にするのは少し……」
「使わないなら必要としている者に売りつければいい。『ソーサラス』で売らなければならないと言う事は無いからな」
リントの言葉に全員が何も言わず黙っている。
このまま無暗に魔法の勉強をさせても何も成果を得られないであろう事は誰の目から見ても明らかであった。
「……他に代案が無いなら明日にでも主に言っておく。それでいいな」
皆が頷きこの話題が終了したと思った時であった。
突如として与人が寝ているベットから光があふれ出す。
「……『スキル』の光」
「主の奴! 寝ぼけて無意識に使ったな!」
その光は徐々に人の体になっていきやがて収まる。
「……その話。私に預けてもらってもよろしいですか」
その人物が発する凛とした声に皆は耳を傾けるのであった。
次の日。
朝起きた与人は早速無意識に『スキル』を使った事をリントから知らされ同時に怒られていた。
「とにかく、完全に主の所為とは言わんがこれからは無意識に使わないよう意識しろ」
「……はい」
「よし」
その言葉と同時にリントは正座させていた与人を立ち上がらせる。
「それでその人物は一体どこに? さっきから見当たらないけど」
与人の言う通りその人物は見当たらなかった。
同時にアイナとティアも見当たらない。
「……二人なら護衛に行った」
「護衛?」
「肯定。新たな人物が図書館に行きたいと言うので二人が護衛を」
リルとセラの言葉に疑問を覚えているとユニが説明を捕捉する。
「与人さん戦略書を枕の下に置いていたのを覚えていますか?」
「……ああ!! そう言えば。もしかして『スキル』を使ったのってその?」
「はい。自ら戦闘力があまり無いと言っていましたので二人が護衛に行きました」
カナデも説明に加わり大体の状況は理解できたがそれでも分からない事が与人にはあった。
「でもどうして図書館に?」
「さあな。だがこの『ソーサラス』の本の貯蔵率はかなりの物らしい。本として確かめたかったんじゃないか?」
「推察。現状理由を語らなかったので推察するしかありませんでしたが夕方には帰るとの事でした」
リントとセラの言葉に首をひねりながらも与人はともかく素振りだけでもしようと剣を手に取るのであった。
「主君、今戻ったよ」
「主様ただいま戻りました」
夕方、護衛に行っていたアイナとティアの二人が戻って来た。
「二人ともお帰り。……例の人物は?」
与人は二人を出迎えながらも新しい仲間が気になる模様であった。
「……ここにいますよ。あなたが自分の所有者ですね」
そう言って二人の後ろから現れた人物は髪を三つ編みにしておりその顔にはモノクルを掛けていた。
今までにいなかった知的な雰囲気の持ち主に与人は少し驚きつつも握手をしようと手を差し出す。
「ああ、与人でいいよ。これからよろしく」
「はい。自分の事は何とでもお呼びください与人様」
二人は固く握手をして笑顔を浮かべる。
「では早速、今後の自分の使い方についてですが」
「ああ、うん」
本だった為か妙な言い方となっている戦略書の言い方に引っかかりを覚えるがとりあえず話を聞く事にする与人。
「まず自分の戦闘力ですが身体能力はほぼゼロ。魔法に関しては戦略レベルの魔法が幾つかと味方の能力を上げる魔法が使えます」
「おお~」
「ですが、自分の使い方として一番正しいと思われるのは教える事です」
そう言うと彼女は積んであった魔法書の前に立つ。
「これから数日間みっちりと与人様には学習をしてもらいます。買って来た本で足りない知識は図書館で補って来ました。必ず与人様に魔法を学んでもらいます」
モノクルをキラリと輝かせながら断言する戦略書を見て与人以外の全員がこれからの大変さに同情するのであった。
今回はここまでです。
新たなる仲間が増えましたが、少し不穏な空気。
この参入によって、旅はどのようになるのか。
次回をお楽しみに!
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