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男が巨体の女性に蹴り上げられるのはなかなか見応えがあるのだろう。バチンバチンと頬が床に打ち付けられるたびに歓声が上がる。
ミーティアはロンの体を助けるために、近くの兵士に入ろうとするがやはり彼らもコスモと同じでなんの反応も得られない。
「みなさい!これが魔女に与する者への罰です!」
セーラはロンがピクリとも動かぬ姿をじっくり眺め、口が耳元まで裂けそうなほどに笑った。
「魔女に与えた鉄槌!」
決め台詞のように叫び、両手を天へと伸ばした。
鳴り止まぬ拍手。慇懃に礼をするセーラ。
「それがお前の答えなんだな」
だが足元から声がした。まさかと思い、セーラが振り返ると。
男が鼻から、額から血を流し睨みつけていた。慌てて再度足を反らせる。
「お前は、ミーティア様に使えながら、調子のいいことを言いながら贈り物をねだり、ミーティア様のお気持ちを踏みにじるようなことばかり考えていたんだな」
まるでホコリかのように上に覆いかぶさる兵士たちを振り払い、立ち上がった。先程よりも大きく見える。そんなはずはないのに見おろされているかのようにセーラは感じた。
「わ、私がもらったんだから、どうしようと勝手でしょ!?」
「…どうしてほしいかも考えなかったんだな」
セーラは怒る。
「知らないわ!いちいち気持ちが〜恩が〜とか考えるわけ無いでしょ、所有権は移ったんだからどうだっていいじゃない!」
そういって鼻で笑った。
「第一、魔女は処刑されたんだし?」
彼女の死に対して何も感じていない。思いも何も知ったことではない。何一つ間違っていない。
「…よくわかった」
「思いだ何だいうならここにいる商人とかコレクターに言ってやりなさいな、誰も聞いちゃくれないわ」
会場がまた拍手をする。
「法で裁けない、誰も手が出せない…それなら俺とミーティア様が裁いてやる」
滴る血を袖で拭った
「わぁかっこいい。ならこの場で息の根を止めなくちゃァね…!」
兵が飛びかかろうとして――
「マム!マム!」
奥から慌てて小間使いが走ってくる。
「っ……なに!?」
「かっ火事!火事です!」
会場が騒然となる。
「さっさとお消し!」
「や、そ、それが…!」
慌てる小間使いだが、なんだか口を動かすだけで歯切れが悪い。目の前の男と合わせて余計イライラしてしまう。
「…なんだい!」
「燃えてるのは、そ、その!」
「なんだい!」
「魔女の服ですゥー!」
ロンのことも無視して誰よりも早く奥の荷物お気へと向かっていった。




