第二十話 流石です、スマート王子!
第二十話です。毎日投稿のはずが、一日飛ばしてしまって申し訳ありません。
「さて、それでは策を考えましょう」
「どうすれば良いのでしょうか……」
ベルフルール様たちのことを思うと、焦る気持ちばかりが募る。
何かしなければ。
そう思うのに、良い案は何一つ浮かばなかった。
「大丈夫ですよ」
ミュゲ王子は穏やかに微笑む。
「策を考えるのは、僕の役目です」
「ミュゲ王子……」
その言葉だけで、不思議と安心できる。
知識も知恵も豊富な王子なら、きっと何か方法を見つけてくれる。
「よろしくお願いいたします」
「ええ。お任せください」
そう言うと、ミュゲ王子は静かに腕を組み、目を閉じた。
部屋には誰一人として声を発しない。
私も楓も、ただ王子の邪魔をしないよう見守っていた。
やがて──。
「……思いつきました」
王子がゆっくりと目を開く。
「一つ、策があります」
「何でござるか?」
楓が身を乗り出した。
「少々、我が国を利用する形になりますが……おそらく、これが最善でしょう」
「どのような策なのです?」
ミュゲ王子はゆっくりと説明を始める。
「楓さん。城主は椿さんを逃がしたくなかった。それは、椿さんが優秀な家臣だったからですよね?」
「その通りでござる」
「つまり、その城主は優秀な人材や武力に強く執着しているということです」
楓は腕を組みながら頷く。
「確かに、あの城主は戦を繰り返して少しずつ領地を広げているでござる」
「でしたら、今もっとも欲しいものは強力な戦力でしょう」
王子は机の上に指を置いた。
「そこで──」
少し間を置き、静かに言う。
「『フィザリス王国が新兵器を開発した』という噂を流します」
「新兵器……!」
私は思わず息を呑んだ。
「まさか、本当に開発しているのですか?」
「いいえ」
王子はくすりと笑う。
「もちろん嘘です」
「え?」
「ですが、その城主が噂を信じれば、どうするでしょう」
私は少し考える。
「……その武器を手に入れようとする、でしょうか」
「その通りです」
王子は嬉しそうに頷いた。
「極秘の取引を持ちかけるため、僕たちを城へ招く可能性が高いでしょう」
「なるほど!」
楓が勢いよく手を叩く。
「つまり、忍び込む必要がなくなるのでござるな!」
「はい」
王子は静かに微笑んだ。
「向こうから迎え入れてもらえれば、城内を自由に動ける可能性も高くなります」
「なるほど……!」
今度は私も思わず手を叩く。
「さすがです、ミュゲ王子!」
王子は少し照れたように笑う。
「まだ成功したわけではありませんよ」
「それでも、私には思いつきませんでした!」
「ふふ……ありがとうございます」
そう言いながらも、褒められたことが嬉しいのだろう。
王子の頬は少しだけ赤くなっていた。
「では、その城主の領地まで案内するでござる」
楓は立ち上がる。
「今、籠を用意してくるでござる」
そう言い残し、部屋を出て行った。
「……籠?」
私は首をかしげる。
「何でしょうね」
ミュゲ王子も不思議そうな顔をしている。
「日本では鳥を贈る風習でもあるのでしょうか」
「それなら、お土産でしょうか?」
「ですが、どうして今……?」
二人で首をかしげる。
「もしかして、本当に鳥かごなのでは……?」
「旅のお供に小鳥を連れて行く文化なのかもしれませんね」
「なるほど!」
私たちは二人そろって納得した。
――数分後。
「お待たせしたでござるー!」
楓が連れてきたのは、鳥かごどころではなかった。
大人が一人か二人乗れるほどの、大きな乗り物である。
「「……大きい!」」
思わず二人で声をそろえる。
「これが日本の『籠』でござるよ」
私とミュゲ王子は顔を見合わせた。
どうやら、また日本の文化を一つ勘違いしていたらしい。
お読みいただきありがとうございました。楽しみにして下さった読者の皆様、昨日は投稿できずに申し訳ありませんでした。以後気を付けます。




