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第十七話 謎のイケメン

第十七話です!ここから一気にラブコメ感を出していきます!


「ま、まさか…………先生が!」


「確かに、王太后様なら名家のご令嬢の婚姻に口を出すことが出来ますけど…………」


そうは言っても、とても信じられるものではなかった。

それに、私たちはこの国の王太后様に向かって、数々の無礼を…………


「王太后様に向かって『是非お茶会に呼んでください』なんて言ってしまいましたわ」


「ベルフルール様はまだマシです!私なんて、『どうせ私の気持ちなんて分からない』て言ってしまったんですよ!」


私たちは冷や汗をかいた。

だが、そんなことよりも…………


「ですが、お約束通り、また先生にお会いできましたわ!」


「そうですよ!過去の失態は置いておいて、とにかく先生に会いに行きますわよ!」



そう嬉しそうに、彼女は人混みの中へと消えて行く。



「マーガレット様!待ってください!」


彼女を追いかけて人混みを抜けると、ようやく先生……いいえ、王太后様の元へたどり着いた。



「せ…………いえ、王太后様!」



マーガレットが声を掛けると、すぐに私たちの方へ体を向けた。


「まあ、二人とも。奇遇ですね。またお会いできるなんて」


「冗談を言っている場合ですか?私たちはこんなにも戸惑っているのに…………」


先生の正体を知ってもなお、マーガレットは普段通りに接している。これこそ、彼女の強みだ。この私にもかなり失礼な態度をとっていたくらいですもの。



「ごめんなさいね。あなたたちを騙すような真似をして」


聞いたこともないような優しい声。これが本来の王太后様のお姿…………


「私は何度も社交教育を任されてきました。しかし、今回は特別。王子の妃候補を選出しなければならなかったのです。そうなると、相応しい人物を厳しく見極めなければいけません。驚いたでしょう」


「そうだったのですね。全然大丈夫です。王太后様の教えは、私を成長させて下さいました」


「ええ、私もですわ。マーガレット様とお友達になれたのも、王太后様のおかげですもの」


「まあ、いつから私たち()()()になったのかしら?」


いつもと変わらない彼女のツンとした態度に、私は思わず笑みがこぼれる。


「別に、そう思ってくれなくても構いませんわよ。私には他にも友がおりますので」


「…………仕方ありませんから、お友達になって差し上げます」



「あらあら。ほほほほ」



私たちの様子を見ていた先生が口に手を当て微笑んだ。私たちもつられて笑い出す。


「すっかり仲良くなられたようで、よかったですわ。二人ともずいぶんと成長なさって」


「王太后様のおかげです!」


「もう、王太后様と呼ぶのはおやめになって。前のように『先生』と」


「いいのですか?」


「もちろんですよ。さあ」



「「先生!」」



「ふふふっ、何ですか?またレッスンを受けたいのですか?」



「いえ、それはご勘弁を!」



話も弾み始めた頃、先生が何か思いだしたようで、辺りを見渡した。



「そろそろダンスが始まるお時間ですよ。二人とも、ダンスのお相手を探さなければ」


「私はお父様と踊りますわ。ですが、ベルフルール様はあのお方とでしょう?」


あのお方…………そう、それはミュゲ王子の事だろう。もちろん、私もミュゲ王子をお誘いしようと…………いえ、ミュゲ王子からお誘いされたら、受けようとは思っていますわ。


「あのお方の元へ早く行って来たらどうです?ベルフルール様?」


「もう、分かっていますわ。今から行きますわよ」


そうして私はミュゲ王子を探しにホール中を歩き回った。


「…………いませんわね。どうしたのかしら」


王子の姿が見当たらない。

しかし、よく考えてみれば、ミュゲ王子は社交界にもあまり出ることがないと噂されるほどであった。

今回も出ていないのは不思議ではない。


「ダンスのお約束をしたわけでもありませんし…………」



諦めてお父様とでも踊ろうかと思っていた、その時だった───




「そこの美しいご令嬢。どうか私と一曲踊って頂けませんか?」



「え?」



不意に後ろから声を掛けられた。


振り向くと、そこには少し年上と思われる男性が微笑んで立っていた。

艶のある黒髪、清楚感ある白い服、品のある白い顔立ちに、濡れた唇。

微笑み方までどこか色気を帯びている。



わっ!私のドストライクですわあああああ!



その顔立ちと振る舞いに、私の心がこれまで以上に高鳴った。



───だがその瞬間、私はまだ知らなかった。

この出会いが、今夜の波乱の始まりになることを。


次回もお楽しみに!

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