第2節「始まりの泉」
「毎回、覚醒具を探すのに苦労するけど、さらに毎回転移具も探さなくちゃならない。」
つまり、覚醒具は自然に見つかるものじゃない。どこかに手がかりがある。それを探すしかない。
「フローシャンテリア。王家に伝わっていないの?」
エリカがフローシャンテリアに目を向ける。
「\...\...申し訳ありません。杖でさえ覚醒具であること知らなかったですから\...\...」
フローシャンテリアが申し訳なさそうに首を振った。
エリカはピンクのめがねを取り出した。あの子供用のピンク色。見た目は可愛いが、中身はとんでもない魔道具だ。
「杖から直接読み取れるかもしれない」
呪文を唱え、めがね越しに杖を見つめる。数秒の沈黙。エリカの眉が寄った。
「\...\...歴史は読める。代々王家に受け継がれてきた経緯。フローシャンテリアの曾祖母が使っていた記録。でも——転移具は見つからない」
「秘匿された情報は読み取れないってことか」
「そうね。めがねが読めるのは、蓄積された知識だけ。意図的に隠された情報は別みたい」
行き詰まった。図書館も調べたが、王家にもそれらしき記述は封印されているのか、失われていた。
沈黙が落ちる。
その時、フローシャンテリアがぽつりと言った。
「\...\...祖母から聞いた話があります」
三人の視線が集まる。
「『始まりの泉』という聖地に、王家の秘密が眠っていると\...\...」
「始まりの泉?」
「精霊界の奥地にある神聖な場所です。古代の碑文が残されていると聞きました。ただ、私も行ったことはありません」
ゼファーが静かに頷いた。
「また旅か。だが、必要なことだ」
俺も頷く。選択肢はこれしかない。
「往復には数日かかるかもしれません。道も険しいと聞いています」
「狡猾の疲れもあるし、今日は休んで明日出発しよう」
エリカが提案する。珍しく現実的だ。——いや、こいつはいつも現実的か。
『始まりの泉か。また冒険が始まる』
窓の外、世界樹の枝が風に揺れていた。光の結晶がきらきらと反射する。
覚醒の言葉を探す旅。その答えは、この世界のどこかに眠っている。




