第6話 町へのお誘い
【第一部】心の扉―始―
「栄善っ!」
思いがけない人物の声に、驚きと嬉しさで、私は思わず声を上げた。
「よっ!おはよう栄善〜。栄善がこの時間にここに来るなんて珍しいね」
爽やかな笑顔で、哀伝が栄善に声をかけた。
「茶々蔵たちとの朝座はもう終わったのか?」
団丸も、少し気になっている様子で問いかけた。
「あぁ。本日は町へ赴かなければならないから、早めに切り上げたんだ。何やら楽しげだったな。何の話をしていたんだ?」
「トワが剥くじゃがいもの形で、その日の運勢を決めている話をしていたんだ。すごく歪な形のときは、“当たり”だからな」
くぅ〜、七左衛門余計なことを〜〜……!
恥ずかしいから言ってほしくないのに〜〜!
「はははっ!確かにトワが剥いたじゃがいもは一目でトワだと分かる。私も何気に、本日の運勢をじゃがいもで占うのが楽しみになっているな」
そう言って目を細め、無邪気に笑う栄善の姿に、私の胸の奥がふわりと小さく高鳴った。
「ところで栄善様。どうしてこちらへ?」
「あぁ、そうであった。お菊、本日朝食後にしばし、トワを借りたいのだが……この後の段取りはどうなっているか?」
「ふふふ。今日は昨日のうちに夕食の下準備も済ませましたし、大まかなことは大体終わっているから大丈夫ですよ」
「すまぬな、お菊。恩に着る。トワすまないが──朝食後、町へ赴き助力を頼みたい。……聞き届けてくれるか?」
……私と、町へ???
お菊さんはああ言ってくれたけど、お城の掃除とかもこれからだし……
そんなことを考えていると、
「トワちゃん、今日は夕食の準備もほとんど終わっているし、あとは私一人で大丈夫だから行ってきなさい。ふふふ。トワちゃんも息抜きが必要よ」
そうお菊さんが言ってくれたので、私はありがたく、そのお言葉に甘えさせてもらうことにした。




