表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/33

第26話 塩職人・だん吉さん

【第一部】心の扉―始―

「お〜い、栄善えいぜん様〜!!」


私たちが職人さんたちの作業を眺めていると、栄善を呼ぶ元気な声が、海風に乗って聞こえてきた。


声の主が、私たちの方へ大きく手を振りながら駆け寄ってくる。


「だん(きち)、相変わらず元気であるな。其方のお陰で、この現場もいっそう活気づくであろう」


「へい!元気だけが取り柄なもんで!……なんて、哀伝あいでん様たちみたいなこと言ってますね、あっし!あはははは〜っ!」


「ふっ、そうだな。だん吉、紹介しよう。私の城でお手伝い係をしているトワだ。トワ、だん吉は、我が国を支える塩を作る塩職人の親方だ」


「あなたが新しく入られた、お手伝い係のトワさんでしたか!哀伝様たちからはよくお話しは伺っておりますぜ。じゃがいも占いがすごく人気のようで!あっしもぜひ、食べてみたいもんです!あはははは〜っ!」


じゃがいものことを話されてるの恥ずかしい〜〜!


しかも、こんなところでも哀伝たちは話をしてるの〜〜!!


でも、哀伝も団丸だんまる七左衛門しちざえもんも、それぞれの役目をしっかり果たしているんだよね。やっぱり色んな人たちと関わりがあるんだな。


だん吉さんと挨拶を交わし、「よかったら今度、じゃがいも料理を食べにいらしてください」と伝えると──


太陽のように輝く笑顔で「もちろんでっせ!!」と手を力いっぱい上げ、元気に応えた。


その明るさに、こちらも自然と顔がほころぶ。


「だん吉、一昨日の会議で朽葉ノ国(くちばのくに)への塩の増量が決まった。そのことの方針を伝えに、後で哀伝が来るだろう。この時期は何かと忙しいところだがよろしく頼む」


「この季節はお互い様ですぜ!こうして人々を支えられていると思うと、塩職人として誇らしく思いますわ」


そう誇らしげに応えるだん吉さんは、とても輝いて見えた。


「だん吉、いつも細かく丁寧な作業、ありがたく思う。これから寒さも増していく季節ゆえ、体調にはくれぐれも気をつけるのだぞ。引き続き、よろしく頼む」


「栄善様、いつもお気遣い感謝しまっせ!もうすぐ塩の炊き納めですわ。それが済んだら、栄善様や哀伝様、お嬢たちと一杯交わす毎年恒例の行事が楽しみなんでぇ!まぁ、あんまり呑みすぎると、柚寧(ゆね)さんに叱られちゃいますけどね!」


「柚寧は勘定奉行だけあって、きっちりしておるからな」


「へへへっ、だけどお嬢があの三人やみんなと言い合いしている光景を見るのが、あっしら塩職人にとって年の締めの風物詩でっせ!あはははは〜!」


そのだん吉さんの笑い声に、栄善も小さく微笑む。


「ふっ、そうだな。あいつは何事にも男勝りであるからな。私も年の締めを楽しみにしている。だん吉、またな」


「栄善様とトワさん、ありがとうございやした!塩の炊き納めが済んだら、またお目にかかりやしょうぜ〜!」


潮風に乗って、だん吉さんの声が明るく広がった。


元気な塩職人の親方、だん吉さんと別れ、私たちはさらに奥へ歩みを進めた。


潮の香りと落ち葉の香りが混ざり、どこか胸が弾むような感じがした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ