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第24話 素敵な桂ノ国

【第一部】心の扉―始―

今さっきの出来事が、私の心をふんわりと包んでいる。


そのあたたかさに背中を押されるように、町を歩きながら、自然と笑みがこぼれた。


「トワ、行きたい所は決まったであろうか?好きな所を遠慮なく言うとよい」


「うん!私、綺麗な自然や景色が見られる所に行きたいな」


「そうだな。この国は沿岸国で、海と山を一望できる場所がある。トワもきっと喜ぶであろう。そこへ向かうとしよう」


「うん!ありがとう!」



町を歩いていると、あちらこちらから「栄善(えいぜん)様〜!」という声が聞こえてくる。


「栄善様、今朝は井戸掃除をしたから、手が荒れてしまってね〜」


「うちの畑で取れたじゃがいも立派なんだよ。どうだいこの大きさ。すごいだろ〜」


「えいじぇんさま〜、諭作(ゆさく)しゃん、このあいだ山茶花団子(さざんかだんご)をぼくにくれたんだよ!すごくおいしかったんだ〜」


ふふっ。

町の人たちが、こんなふうに気さくに声を届けてくれる姿を見ていると、栄善って、本当に人望が厚いんだなって思う。


諭作さんから山茶花団子をもらった男の子の嬉しそうな笑顔を見て、私もつい微笑んでしまった。


みんなの喜ぶ顔が嬉しいって言ってたけど、すごく分かるな。こんな可愛い笑顔を見たら、もっと喜んでほしいって思っちゃう。


本当にあたたかい国だな。


そういえば、前に栄善が『この国の治安や情勢は把握しているから護衛はつけていない 』って言ってたな……


── 人々に信頼され、見守られているからこそなんだ。


「栄善って、町の人たちにすごく愛されてるね!ふふっ……あんなに小さな子にまで。栄善がこの国を大切にしているからこそ、その想いが町の人たちにも伝わってるんだね。素敵な国だよね、桂ノ国(かつらのくに)って」


「素敵な国と言ってもらえて嬉しく思う。だが、これは私一人の力ではない。町の人々の協力があってこそ、この国は成り立っている。そして、城で仕えてくれている皆のおかげだ。……トワ、もちろん其方もな」


栄善って、なんて素敵な考えをするんだろう……


みんなのことを大切に思いながら、こうして考えている栄善……本当に尊敬しちゃう。


みんなが栄善のお城に仕えている理由……分かる気がする。


こんな嬉しい言葉をかけてもらえたら、私だって何だって頑張りたくなっちゃう。


「……トワ。其方も私のことを……あ……」


「ん?どうしたの、栄善」


「……いや、なんでもない。トワが見たい景色はもうすぐだ。楽しみにしていてほしい」


「うん!すごくわくわくしちゃう!」


栄善と一緒に見る景色……きっと、すごくきれいなんだろうな……!


それにしても……さっき栄善、何を言いかけてたんだろう?


少し気になりつつも、期待に胸を膨らませながら、目的地へと足を進めた。

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