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第16話 幸運のじゃがいも!?【番外編】

【第一部】心の扉―始―

──とある日のお城。


今日も、爽やかな朝が始まろうとしていた。



「ふぁ〜っ、おっはよ〜。元気が取り柄の僕もさすがに眠い〜」


「なんだ哀伝、寝不足か!!」


「団丸、お前は逆になんでそんなに元気なんだ。体力ゴリラめ……」


そんな会話を交わしながら、哀伝(あいでん)団丸(だんまる)七左衛門(しちざえもん)の三人は朝食の席へ向かった。


「ふぁ〜お腹空いた〜」


「今日はおいらの好物じゃがいもの味噌汁だな!」


「お前、昔から本当に好きだよな。じゃがいもの味噌汁」


「おいらの夢は、将来お嫁さんに毎日じゃがいもの味噌汁を作ってもらうことなんだ!がははははーっ!!」


「え!?何それ団丸!僕初耳なんだけど!」


「……安心しろ哀伝。俺も初耳だぜ……」


団丸の突拍子もない一言に驚きつつも、皆で手を合わせて食事を始めようとした── そのとき。


「お前のそのやり方では話もまとまらぬ!」


「なんだとっ!だいたいお前の方がなー!」


何やら騒がしい声が、遠くから聞こえてきた。


どうやら城の門番たちが、言い合いをしているようだ。


「ま〜た、あの二人やってるよ〜」


「あいつら朝の大小組(だいしょうぐみ)は、おいらと同じで熱いやつらだからな!がははははっ!」


「いいんだか悪いのやら……」


しばらくその様子を見ていると、今まで言い合っていた二人が急に笑い出した。


「ん?どうしたんだろうね、急に」


「何があったんだ!? 食当たりか!?」


「……んなわけないだろ」


よく見ると、二人はお味噌汁の中のじゃがいもを見て笑っているようだ。


「おっ……おい、こっ、このじゃがいもの形、見てみろよ〜っ!」


「なっ……なんて歪な形なんだ!さっきまでのことがどうでもよくなってきたよ。悪かったな」


二人はもう涙を流しながら笑っていて、息をするのも辛そうだ。


「そういえば……栄善(えいぜん)が連れてきた新しいお手伝い係の子、今日からだったよね」


「そうだったな!それにしても確かにすごい形だな!がははははっ!味は美味いけどな!」


「……俺のは普通だが。栄善にも頼まれてるし、あとで挨拶に行かないとな」


その後も、あらゆる場所で笑い声が聞こえてきた。


「落ち込んでたけど元気が出たー!」


「このじゃがいも見てたら良い案が浮かんできたー!」


……など、さまざまな声が、あちらこちらから聞こえてくる。


「じゃがいもが歪な形のときは“当たり”だーーー!!一日、良い日になるぞーーー!!がははははっ!」


団丸の元気なひと声が噂を呼び、やがて“当たり”と呼ばれるようになったのであった。



「あの日からじゃがいも占い始まったんだよね〜♪」


「そうだったな!!みんな明るく元気になっていたからな!がははははっー!」


「今思えば噂の発端は団丸……お前じゃないか」



「へーーっくしゅん!」

……風邪でも引いたかな?


今日も今日とて、じゃがいものことで噂されるトワであった。

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