第12話 夕暮れの帰り道
【第一部】心の扉―始―
来客用の買い物を終えた私たちは、夕焼けに染まる道を歩きながらお城へと帰っていた。
青く澄んでいた空は、いつのまにかやわらかなオレンジ色に姿を変えていた。
「トワ、本日は誠に助かった。おかげで素晴らしい品を選ぶことができた。私ひとりではきっと決めかねていたであろう」
「こちらこそ!美味しいお団子も食べさせてもらって、手土産を選んだ雑貨屋さんもすっごく楽しかった!町に出るのも初めてで、本当に嬉しかったなぁ〜」
私が嬉しさを身体いっぱいに表していると、
「ははっ!そうか。トワは素直な性格なのだな。私もとても充実した一日であった」
そのあと、ふっと表情がゆるんで──
栄善はまた、私の大好きな笑顔を浮かべながら、肩を揺らしてくすくすと笑った。
夕焼けに照らされて、より一層かっこよく見える。
あぁ……私、──
目を細めて、口元にやわらかな微笑みを浮かべながら、くすくすと笑う。
この栄善の表情が、大好きだ。
お団子屋さんのときにも思ったけれど、栄善って、こんなふうに「くすくす」って笑うのがクセなんだ。
なんだろう、この気持ち。
見るたびに胸のあたりがふわっと熱くなって……
誰か他の人にもこんなふうに笑うのかな……って考えたら、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
この笑顔、私だけのものであってほしい……
芽生えつつある、この感情……
人が怖くて、否定されるのが怖い私は、この心地よさを失うことが何よりも怖かった。
今にもあふれだしそうな気持ちに──
私はそっと蓋をした。




