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第11話 きなこと漆のぬくもり
【第一部】心の扉―始―
栄善は、漆のお箸の注文をするために、少し離れたところで店主と話をしている。
「納期が〜」とか「納品が〜」とか聞こえてきたけれど……うーん、なんだか難しそう。
お殿様って、やっぱりいろいろ大変なんだなぁ……
たしか来客用って言ってたけど、そんなにたくさん必要なのかなぁ?
あ、そういえば──お団子屋さんのときもこんな感じだったなぁ。
でも、あそこのお団子はほんっっとうに美味しかった!
あまりの美味しさに夢中で頬張っていたら、「小動物みたいだな」なんて栄善に言われたっけ。
ふと、笑いが込み上げてくる。
しかもそのとき、口元についたきなこを払ってくれた手が、そのまま私の頬に触れて……
……それで……
〜〜〜〜〜〜〜!!
あのときのことがふいに蘇って、急に恥ずかしくなってきた。
でも、漆塗りのお箸は職人さんの真心が込められているし、きっと、きっと喜んでもらえるに違いないよね!
それにしても──甘味選びも手土産選びも、すごく楽しかったなぁ。
そんなことをぽわ〜っと考えているうちにやりとりが終わったみたいで、私たちはお店を後にした。




