色んな世界の創作?
隣の部屋にて。
「FOOOOO!!!!」
更にノリに乗って白熱している男形がいた。髪を振り乱しながらベースを弾き、意味不明な錯乱したステップで踊り狂っている。
男形は突然動きを緩めながら、扉の方に向いていった。息を上下しながら開いた扉を見ると、すたすたと廊下を人が通っていく。
手元を触り、音楽を止めていく。楽器を提げたまま足を前に出し、やたらとコトゴトと機材の置いてある部屋の中を、扉に向かっていった。
部屋から身を出して、頭をちらっと振った。廊下を誰かが向こうからすたすたと歩いてくる。ちょっと格好いい服を着た、薄い緑茶の髪の女形だ。
「カナデさんこんにちは!」
髪を揺らしてきたハジメは、歩きながら挨拶を投げる。
「…何かやってたの?」
派手カナデは廊下の奥の会議室の方を覗きながら出ていくと、ハジメは歩みを緩めていく。
「ちょっとした会議です」
さわさわと浮くように言葉を並べるハジメに、カナデの頬がゆらいだ。
「何?…なんか楽しそうじゃんw」
「はいw」
ハジメは体を揺れ動かし、笑顔を宙に散らす。
会議室にて。扉が開いている。
広いやや縦長の室内に、オトと八重の2人だけが残っていた。
入り口近くに八重は背をつけていた。机の向こうでは、オトは座って手を動かしている。
「他にはどんなのある?」
八重が宙を眺めて言う。
オトは自分の物をソラに入れていきながら、椅子から立ち上がっていく。
「うーん……あっ普通自分の世界を舞台にした作品が多いよね、その世界の中で」
ふんふんと斜めを見たまま八重は聞く。オトは椅子を入れていきながら続ける。
「なら魔法がある世界だったら、それが前提の創作が沢山あることになる……ってこと?」
机の前を歩いていくと、その視線の先で八重は身を揺らした。
「あぁ!…そういうのもあるね」
オトは入口に近づきながら頷くと、歩みを緩めてふと部屋を見渡した。
「……この机とか椅子とかは仕舞わなくていいよね?」
そう言いオトは、部屋の隅に置いてあるソラ箱を軽く指す。入口を出かかっていた八重は振り返ると、部屋の中を覗いてちらっと見回した。
「……うん、いいんじゃない?」
適当に言いながら外に出ていくと、オトは頷きながら扉へ向かう。
2人が部屋を出ていくと、廊下を近づいてくる派手な男形に気づいた。
「さっきはありがとうございました!」
オトが顔を上げて言うと、カナデは颯爽と、ニヤニヤ笑いながら近づいてくる。
「……何か面白いことやってんな?」
「あー聞こえてたんですか?」
オトは笑みを揺らす。2人の様子を八重は見ていき、一行は廊下を歩き始めた。
「いいなー面白そう……」
カナデが遠くへ言葉を投げると、八重が入っていく。
「参加は自由に出来ますよ」
カナデは横を向き、目をやった。
「いや、俺自分の作品とか持ってないんで……」
八重は頷き、軽く納得する。
「……あっタマ祭り行こう」
一瞬残った足音を裂いてオトが言うと、そうだった!と八重が声を上げる。
「何それ」
カナデはきょとんとした顔で2人を見た。
同じ建物らしきどこかの部屋から、扉を開けてぽっちゃりしたおじさんが出てきた。狩人のような格好の袖がふぁさっと舞う。
すたすたと早足で廊下を歩き、階段へ向かう。
一階にて。
受付け的な明かりが広がる中、樹脂の椅子や、植物が照らされている。
3人が入口へ向かい話していた。オトが歩調に身を落としながら横を向く。
「…技術がすごく発達した未来だけど、文化は発達してない世界とかってありえるの?」
「そういうのも面白いね!」
八重が明るい声を出していると、後ろからすたすたと音が聞こえた。オトが振り返ると、狩人のおじさんが目に入る。
声をかけると、狩人はふわりと挨拶を投げ落としていきながらすれ違っていった。さっさと歩いていき、入り口の扉を開けて出ていく。
「あっ!タマ祭り行こうよ」
オトが思い出したように言うと、
「ほんとだw早く行こう」
と八重とカナデも浮き、3人は足早に動き始めた。
「逆に古い時代とか?」
入口へ駆けていきながらオトが声を上げ、八重が振り向く。
「あぁ古代文明にオタクがいたら……的な?」
ぐいっと扉を開けて外へ身を出し、暖色系の明かりがさわった。涼しげな空気にさらされ、ひらけた廊下に出ていく。
走っていきながら、そうそうとオトは笑顔で頷く。
時間も深くなり、城の廊下は閑散としていた。速度を上げながら、八重はさらに声を出す。
「なんならもっと古く?……文化だけが異様に発達した超古代文明とかw……アトランティス的な?w」
「それ面白いっすねw」
風に乗っていくカナデが、嬉しそうに声を上げた。狩人のおじさんがちらりと見えた気がした。
「でもその視点から考えるのってめっちゃむずくない?」
オトは宙を見て、楽しそうに顔を歪ませる。おじさんがびゅんびゅんと横に追いついてきた。
「いやでも楽しいじゃん!それもやってみようっ」
八重は声を舞わせ、一行は走っていく。
風になれっ!!




