2話目
ベッドから降りた俺はまた慎重に、そろそろと足を運ぶ。煩いぐらいに脈打つ心臓。得体の知れない状況が恐ろしい。自然と呼吸が速まる。
時間をかけて着いた扉にそっと耳を宛て、こちらに近付く足音が無いことを確認し、音がならないようにゆっくりとドアノブを捻り少しだけ開く。
キィ・・・と音がなってしまいどっと汗が出たが、またしばらく気配が無いのを確認し、そっと扉の隙間を除いた。
・・・
そこには人の気配はなく、これまた木で出来た廊下が少し続き、先に階段があった。また慎重に扉を開き、首だけを出して左右を確認する。階段の反対側には道は無く、窓のある壁際に小さな机があり、花瓶に花が活けてあった。
そこで俺はその花瓶にデジャヴュを感じ、眉をひそめた。
見たことが無いのに、無いはずなのにどこかでこの模様を見た気がする。
俺の家には花瓶なんて無いし、貰ったことも無い。家族も特に花を活けるような人はいなかった。はず。
友人の家で?見たかもしれないが、違う気がする。第一こんな家に住む友人なんていない。そして友人なんてお互い忙しくて1年くらい会ってない。
そこでふと、別な可能性に思い当たり今度はざぁっと血の気が引いた。
疲れて、どうやって帰ったかも明白に思い出せない。つまり、全くのあかの他人の家(別荘かもしれない)に侵入し、そのまま眠りのついてしまった可能性だ。
その場合、死ぬことはないが、社会的に死ぬ可能性がある。
ただ疲れて帰ったはずが、豚箱行きという可能性だ。
一応スーツは着ているとはえ、連日の徹夜のせいで顔色は悪い上髭も伸びっぱなし。更にかなり臭いとなれば、ぶっちゃけ家があるのか怪しい人の完成である。これはマズすぎる。
慌てて俺は部屋を抜けだし、ハッとしてまた慎重に隣に部屋があるのを見て、その部屋の扉に耳を宛てた。
しんと静まり返った部屋は、人の気配はないが、もしかしたら眠っているだけなのかもしれない。もし人がいたら・・・
俺は再度ゆっくりと、自分が盗人になったような気分に苛まれながらもこっそりと階段を降りた。
いつになったらここがゲームの世界と気づくのか・・・
心理描写好きでつい・・・




