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リザードマンチャンネルと、祭りの襲撃

hello!! リザードマンだぜ!


今日はみんながかなりぶったまげるであろうサプライズ企画だぜ!


今日のゲストは正真正銘世界初登場!

このチャンネルが初のお目見えの世間を騒がす超スーパーホットな人物!!


地球皇帝だ!!!

よし!入ってこい!


……


おいしゃべろって!マイク入ってないぞ!


よしよし

おいコメント欄!こいつは犬じゃないぞ!タヌキだ!

日本の神秘の動物、タヌキだ!

いや、タヌキはどうでもよくて、

かわいい?まぁかわいいけど、

いやだから、タヌキじゃなくて地球皇帝、、

は?ニンジャじゃないって、

テリヤキ?タヌキって食うのか?あ?食わない?

とにかく、地球皇帝とリザードマンダンス踊ってみるぞ!______



『(うふふふふ!!最高に面白かったわよ!リザードマンの動画の中で1番面白かったわ)』


『(まぁ、再生回数はすごい伸びてるけど、何かコメント欄"タヌキ"ばっかりなんだけど。)』


『地球皇帝、ダンス下手くそなんだね。』


『地球環境解決するのにダンス関係ないし…。何か問題あります?!』


『…ww』



第二回PECはリザードマンのYouTubeへの出演報告から始まった


だんまりのカワウソすら草生やしてるし。


『(でも、一応人気は出たんじゃないかしら?タヌキの。)』


『(またゲストに呼んでくれって声もすごいぞ。タヌキを。)』


『よかったねタヌキ。』


『何にも良くない気がする。コム、どうなの?』


『知名度は、無いよりあった方がいいんじゃないかな?立場上。とりあえず君がした初めての仕事として、悪くはなかったよ。有名になったのなタヌキアバターだけど。』



『(注目も集まってホットなうちに次の動画を出そうぜ!)』


『今更だけど、リザードマンはいいの?君のチャンネル見たけど、もっとゲームとかおもちゃとかダンスとかエンタメのチャンネルなんじゃないの?』


柴犬が不安気に尻尾をゆらゆら揺らしている。


『(…実はこのチャンネル、俺が3歳くらいの時に母親が勝手に開設してさ、今は俺の意思でやってるけど、俺はコレがやりたい!ってはっきりしたテーマもなくやってたんだよ。だからこないだタヌキの話聞いて、俺はむしろ自分のチャンネルでやって欲しいと思ったんだ。)』


『(地球皇帝も露出の場を得て、リザードマンのチャンネルも注目されてwin_winってわけね。)』


『(というか、タヌキ、俺らってどういう基準で選ばれたんだ?タヌキが選んだのか?)』


『選んだのはコムだよ?』


『応募された中で、プロフィール、ネット上の経歴、動機、を解析して、タヌキと相性の良さそうな近い世代の人間を選出したんだ。その中でたぶんタヌキは同時に話すのは3、4人くらいが限界だろうなと。』


『(なるほど、その通りね。)』

『(確かに。)』

『…リザードマンはYouTuberで、僕はUNEPのこと書いてたし日本人だからかもだけど、子鹿は何で?確かにすごく頭良さそうだけど。』


『子鹿はMENSAで、学校合わなくて暇してるって書いてたから。その割にコミュニケーション能力はありそうだったから。』


『(まじかよ)』

『す、すごい人だった』

『…!』

私以外の三人は驚いているけれど、何のことだかさっぱり分からない。


『MENSAってなに?』

『全人口の上位2%のIQの持ち主。』

『(やたら記憶力がいいだけよ。刺激に弱くていちいち疲れるから学校は嫌いなの)』


子鹿ちゃんはとても面倒くさそうにため息混じりに答えた。


『(で、このだんまりカワウソは?)』

『彼の理由は言えないな。個人が特定されてしまうから。』

『…"sorry".』


カワウソはチャットボックスで一言だけ謝って、やはりだんまりだった。


『(まぁいいじゃん。別に俺らの邪魔するわけでもないし。次の企画決めようぜ!どうする?タヌキ)』


『うーん。もし、出来たらだけど、他の子供の地球皇帝にして欲しいことの意見も聞いてみたいかも?』


『(確かに私たちだけだと、地球子供計画という割に、ものすごく偏ってるものね。)』


『柴犬みたいな、反対したい子もいるだろうし。』


『反対意見も聞くの?』


『聞いてみたい気もして。私も勝手に決められて嫌だったから、私たちが勝手に決めたら、何か永遠に勝手が続くだけじゃん。』


『(…タヌキ、おまえって何か不思議なやつだな。俺がおまえだったら、そうは考えなかった気がするよ。)』

『…タヌキ。俺は…いや、なんでもない。』

『…』



とりあえず私たちは次の動画に向けて、リザードマンのアカウントで地球皇帝に対する意見を募集することにした。

もともとリザードマンの視聴者は子供だらけなのでちょうどいい。


『(よし!じゃあまた来週な!俺はこれからゲームの配信見るからさ!)』


『(私はペットを愛でるわ。)』


『僕は塾だ〜。遊びたいなぁ。タヌキは?』


『私は宿題ちょっとやるけど。あとはなんかあったかな?…あ!お祭り!』


『(お祭り?日本のって何やんの?パレードとかライブとか?アニメキャラクターとかが踊る?)』

『いや、えーっとたこ焼きとかわたあめの屋台とか、射的とか、ヨーヨーとか、太鼓とか。』


『(射撃?結構日本もそういうのあるんだな。ま、楽しんでこいよ)』

『違うんだけどな〜。いいなぁお祭り。じゃあねー』

『(またね、タヌキ)』



お母さんに浴衣を着せてもらって、ひのきくんとお母さんとマンションを出ると、


なぜか浴衣姿の鞠江先生と、ジンベエを着てタブレットを抱えた藤尾さんが居た。なぜかぐったりしている。


『奇遇ね!私もお祭りに行こうと思って藤尾くんを誘いに来たの!よかったら一緒にいきましょう!』


『は、はぁ。』


お母さんが戸惑いつつも了承の返事をして、私たち一行はお祭りの行われる近所の神社に向かった。


鞠江先生と藤尾さんは少し離れた後ろを歩いている。

私たちが屋台に寄っても、2人は何か話しているだけだった。


(良かった、ずっと一緒に巡ることになったらどうしようかと。)


『あ、白田!』

『野口くん。あれ?1人?』

『ちょっと、1人で来たかったから。』


野口くんは私服で1人だった。絶対クラスの男子と居ると思ったのに。


『しのちゃん!やきしょばあるよー?!』


ひのきくんがお母さんの腕の中で焼きそばの屋台を見つけて興奮している。


『じゃあ、またね』


私が、お母さんとひのきくんと歩き出すと、野口くんが手を伸ばした。


『あの、おまえさ、』


『お嬢さん!射的いかがですかー?!浴衣の子は無料だよ?!』


唐突に、近くの射的の屋台のおじさんが声をかけてきた。


『え?無料?ただですか?』

『そうだよー!浴衣の子だけね!』

『え?怪しくないか?やめとけよ。』


お母さんとひのきくんは歩き出している。

私が、お母さんを呼び止めようか、射的を断ろうか逡巡した一瞬の出来事だった。


『さらば、地球皇帝。』


射的のおじさんは、まさかの私を的にして射撃銃を向けてきた。


バァン!!!


破裂音に息が止まる。

撃たれたと思ったけど、何かがものすごい速さで視界の前を通っただけで、痛みはこない。


パラリという、音と、隣に人の気配。


マンションの杖をついたお爺さんが、立っていた。

頭にねじり鉢巻を巻いて、半被《はっぴ》を着ている。


『危ないのぅ。』


杖の一部が剥がれ落ち、中から金属が見えている。


《発砲音を検知…距離を計算中…危険範囲内と推定…》


手首のオムニアから、機械めいたコムの音声が流れる。


《危険対象を削除します。》


『コム!!』


『白田さん!来て!』


大きな手に腕を掴まれ引っ張られると、ひのきくんを抱っこしたお母さんと鞠江先生。


鞠江先生の大きな身体が屋台と私たち三人の間に入る。

先生の浴衣の胸元の合わせの隙間から黒いベストのようなものが見えた。


『SP!!マリちゃんを死んでも守れ!!!』


藤尾さんの怒鳴り声が響き、半被を着た男女数人が音もなく四方から現れる。

私たちと鞠江先生を円状に取り囲み、薄い板のような物を出して盾にしている。


《ダヴィンチ・削除プログラム起動。》

《ナイチンゲール・強制介入。プログラム、エラー》

《プログラム強制停止 更新されました志乃パーソナルデータを元に、プログラムは心身にネガティブな影響を与える可能性を推定。 完全停止》


《ダヴィンチ・保護プログラムに変更。光学迷彩起動》


機械の高速音声で、単語の一部しか聞き取れなかったが、ブォンという音とともに、SPたちの盾に電流回路のような光が見える。


『周囲の敵は殲滅した。わしはもう少し広範囲の気配を探るゆえ、あとを頼む。』


おじいさんの声がして。

あたりにざわめきが戻ってくる。


『なにー?』

『何かあったの?』

『いや、ちょっとわかんないな?喧嘩かなー?』


お母さんが、ひのきくんを抱っこしてない方の手で、私をギュッと抱きしめた。


そしたら自分の足がガクガクしていることに気がついた。


立っていることが難しくなってしゃがみ込むと、お母さんも一緒にしゃがんだ。


『びっくりしたねぇ〜』


ひのきくんの場違いに呑気な声が頭上から降ってきて、一瞬カッと怒りが湧いて、すぐに冷めた。


『…コム、もう絶対にしないで。』


私はオムニアを睨みつける。


『絶対やめて。』

 

オムニアの画面が一瞬水色に明滅したけれど、コムが何と答えたのかはわからなかった。


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