プロローグ編006/【的藤 璃桜(てきとう りお)】について
次は、【的藤 璃桜】について少し語ろう。
彼女は良く言えばサバサバしている。
悪く言えばちょっとテキトーなところがある少女だ。
彼女は天才・・・とは言わないまでも何でも器用にこなす努力型の秀才だった。
だが、彼女は美人だが、【卯月】の様なとびっきりの美人という訳ではない。
いわゆるちょっと可愛いタイプの美人だった。
そのため、彼女がいくら頑張っても、保守的な人間達によって全く評価されなかったという幼少期を過ごしている。
努力を積み重ねて結果を出しても、周囲が評価してくれない。
そんな現実を目の当たりにして、すっかりやる気を無くしてしまった。
友達になった【卯月】の店を出したいと言う夢を聞き、何となく彼女の夢の手伝いをすると言う形で行動しているが、自分の夢が持てないで悩んでいた。
【卯月】だけでなく、【友加里】と【殊深】と【空琉】もそれぞれ夢を持っていて、その夢に向かってまっすぐに行動している。
自分だけが、夢を持てずに足踏みしたままだと思っていた。
それは、【卯月】だけでなく、【友加里】と【殊深】と【空琉】もとびっきりの美人だから。
とびっきりの美人は夢も応援して貰える。
だけど、ちょっと美人なだけの何処にでも居そうな【璃桜】は誰にも応援して貰えない。
そんな劣等感を持っていた。
そこに声を掛けたのが、【卯月】の叔母(卯月の母の妹)である【咲穂】だった。
【咲穂】は、
「いいかい、【璃桜】。
あんたは可愛い姪の友達だから声を掛けたんじゃない。
あんたの中に大きな可能性を見たから、声を掛けたんだ。
まず、あんたを認めなかった連中の事は忘れな。
その連中の事は知らないがね、わかっている事がある。
そいつらは、革命が怖いんだよ。
それまで浸かってきたぬるま湯に熱湯を掛けられるのが怖いんだ。
だからそいつらは出る杭となったあんたを貶めて、あんたが飛び出るのを防いだんだ。
そんな連中に惑わされてんじゃないよ。
そんな中身のないカスみたいな連中の枠に収まるんじゃないよ。
あんたの才能は私が保証してやる。
あんたはダイヤの原石だ。
磨けばとんでもなく光る。
あんたは他の4人に美貌で劣ると思ってんだろ?
それがどうした?
そんなもん、化粧でどうにでもなるんだよ。
女にはね、化粧って武器があるんだ。
見た目に自信がなきゃ、自分の変身を極めな。
女は愛嬌?
馬鹿言ってんじゃないよ。
女も中身だ。
中身が美人なら、外面も美人に見えてくるもんなんだよ。
どんな美人も悪党なら、そいつの価値は下がる。
少なくとも品格はどん底まで落ちる。
だから美で不足していると思ってんなら中身を磨け。
ホントにいい男ってのは女の中身を見てくれるもんだ。
女の上っ面しか見ていない男との恋愛、結婚は最悪なんだ。
必ずもめる。
そんな恋愛したくないんだろ?
だったら、【パフォリス】の頂点を目指しな。
否定派がどんなに否定しようと【パフォリス】の頂点になれば、そいつらは黙るから。
いじけてる暇があったら女を磨きな。
あんたは美人だ。
少なくともあんたを認めなかった連中よりは、確実に上を行っている人間なんだよ。
まずは、その自信を持ちな。
すぐに認めてもらおうとは思わず、地道にコツコツ力を付けるんだよ。
いつしか誰も敵わない領域にまで行けば、みんな納得せざるを得ないからさ。
いいかい?
女は気合いだよ、気合い。
テキトーにお茶を濁そうとすんな。
あんたは出来る子だ。
それだけは忘れるな」
と発破を掛けた。
【璃桜】は、
「ははっ・・・
おばちゃんには敵わないな・・・
ボクもそこまで言われちゃ、やるしかないかな?
だけど、他の4人の様に何をするかが決まってない。
まずはそれを見つける事からかな?
やることが決まらないと【パフォリス】・・・出来ないからね」
と言った。
【咲穂】は、
「私はね、頑張った子が報われないなんてのが一番許せないんだよ。
だから、姪っ子だからと言って、【卯月】を贔屓するつもりはない。
【卯月】よりあんたの方が頑張ったならあんたが頂点だ。
私はそれが正しいと思っている」
と言って、【璃桜】の背中をバシバシ叩いた。
【璃桜】は、
「おばちゃんのねーちゃんに怒られるかもよ」
と言うが、【咲穂】は、
「知るかってんだ。
私はね、頑張った奴の味方なんだよ。
頑張らない奴は身内だろうが敵なんだ」
と言いながらウインクした。




