プロローグ編011/【宗経/ムネツネ】の日常1
【宗経/ムネツネ】は、
『はぁ・・・
【嫁】ねぇ・・・
あんまり実感ないなぁ・・・』
とつぶやいた。
彼は【芦柄 吟侍】の跡継ぎから一転、【ラスボス】の一角となった存在だ。
そして、【クアンスティータ】の後継である【クアンシリーズ】の一角、【クアンフィオナ】の父親となるのを宿命づけられた存在でもある。
【クアンフィオナ】の父親となると言う事は当然、【クアンフィオナ】の母親となる【女性】とツガイになると言う事も意味していた。
【結婚】・・・
両立させていた師匠と異なり、どちらかというと【愛】より【夢】を取るタイプの少年だった彼にとって、誰かと子供を作れと言われてもいまいちピンと来ないのである。
彼が【ラスボス】だと公にすれば、引く手数多となり、求婚してくる女性が殺到するだろう。
だが、そんな女性との結婚は想像が付かない。
出来れば愛し合って結婚したい。
彼はそう、思っていた。
とは言っても何をどうすれば良いのか?
彼には皆目見当が付かない。
とりあえず、自分磨きかな?と思って、自分の趣味を頑張ろうと思っていた。
まずは、【ラスボス】としての責務を果たそう。
彼はそう思った。
【24妃制】・・・妻を24名娶ると言う事を意味している。
そのため、その【24妃】を擁立する24の【組織】が彼の配下となる。
24の【組織】は一枚岩ではない。
それぞれが、自分達の【組織】こそが、【宗経/ムネツネ】の第1の組織だとしのぎを削っている。
出し抜き、出し抜かれ。
追い落とし、追い落とされ。
それを繰り返し勢力を拡大し続けている。
つまり24の組織同士は仲良くない。
お互いギスギスし過ぎている。
【宗経/ムネツネ】はそれが苦手だった。
仲間なんだから仲良くすれば良いのに・・・
彼はそう思っている。
だが、今は同じ場所にその24の組織を集める事は出来ない。
そこで半年に24日間連続で、個別にその組織の【長/支配者】からの謁見を受ける事になっていた。
今日はその第1日目。
くじで一番を引いた【組織】の【長】から、順番に会うことになっている。
【宗経/ムネツネ】は、
『はぁ・・・
憂鬱だ。
【ラスボス】なんざ、やるもんじゃないな・・・
面倒臭いったらありゃしない・・・』
とつぶやいた。
とそこへ、
『そう申されるな。
我らの忠誠は絶対でございますゆえ』
と言う声が。
【宗経/ムネツネ】は、慌てる風でもなく、
『・・・【禁稀禍】か?』
とつぶやいた。
声の主は、
『左様でございまする。
【禁稀禍】の【当主】/【禁稀禍 源群】にございます。
半年に一度の謁見。
恐悦至極に存じます』
と言った。
【禁稀禍】とは・・・
1から13種類の【異能】を極めし、【異能の戦闘狂怪物】達の事を指す。
強さこそ正義。
強さこそ正しい。
だから、【長】である【禁稀禍 源群】よりも強い【宗経/ムネツネ】に従っている。
だが、隙あらば、いつでも【宗経/ムネツネ】の寝首をかく。
そう言う集団である。
24の組織が【宗経/ムネツネ】に従っているのはあくまでも【宗経/ムネツネ】が上位にいる存在だからである。
そのため、彼の妻を擁立し、彼に媚びを売るが、いつでも寝首をかく。
そう言う油断のならない関係となっている。
だからこそ、鬱陶しい。
【宗経/ムネツネ】はそう思っていた。
上辺だけの服従などいらない。
そんなの無いのと一緒。
いや、それよりも尚、悪い。
こいつらの魂胆は見え見えだ。
だが、表向き逆らわないのを糾弾する訳にも行かない。
でも、出来るだけ会いたくはない。
真の信頼関係などそこには無い。
存在しない。
如何に出し抜くか?
24の組織はそればかり考えている。
そこで半年に24日間だけ謁見を許すと言う関係になっていた。
恐らく、謁見しない日にはこそこそ悪だくみでもしているのだろう。
こいつらの事を考えると辟易する。
【宗経/ムネツネ】は心底うんざりしていた。
こんな奴らでも【宗経/ムネツネ】がトップになることで他の弱者への抑止力となる。
理不尽な殺害を好まない彼の怒りを買うまいとこの24の組織は悪事を控えている。
だから、弱者の盾として【宗経/ムネツネ】はこの理不尽な存在達のトップに立たなければならない。
だから、【芦柄 吟侍】の後継者を捨て、彼は【ラスボス】になる事を選んでいた。
彼が、24の組織の上に君臨している限り、度を超した悪事は働かせない。
それが、彼の【ラスボス】としての矜持だった。
だから、今日からの腹の探り合いをする。
それが【宗経/ムネツネ】と言う【ラスボス】だった。




