プロローグ編010/究極の玉の輿レース/【パフォリス】のライバル達
5人の少女達、それぞれに【咲穂】は話かけた。
そして、【吟侍】と話をして、その様子を姿が見えない状態で【宗経/ムネツネ】が覗いて見ていた。
【吟侍】は、テレパシーで、
《で、どうなんだ?
この子達は、お前さんの後釜として認めて良いか?》
と言った。
【宗経/ムネツネ】も、テレパシーで、
《さぁね・・・
でも、良いんじゃないかな?って思っているよ》
と答えた。
《おいおい・・・
自分の嫁さんになるかも知れない相手だぞ》
《そんな事言われたってわかんないものはわからないですよ》
と言うやりとりがあり、【吟侍】は、
「とりあえず、見習いという形で【主人公】のバトンを渡すよ。
君達がこの世界の主人公だ。
おめでとう」
と伝えて去っていった。
【咲穂】は、
「良し。
これで、【芦柄 吟侍】のお墨付きは貰った。
後はこの名を汚さない様に踏ん張るんだよ、お前達」
と5人の少女達に伝えたのだった。
だが、【芦柄 吟侍の後継者】/究極の玉の輿レース/【パフォリスの頂点】を目指すのは彼女達だけではない。
【パフォリス】の大会では彼女達のライバルとなる者達がたくさん登場する。
【咲穂】が取り仕切る一番小さな大会でもやっぱり、ライバルは居る。
彼女達がまだ、13才になっていないので、大会にはまだ出れないが、同じように、13才になるのを待っている【パフォリス】の有力候補達という存在も居るのだ。
「♪ラララ ララララ ラララララ
ラララ ララララ ラララララ
ララルリラルラ ララルリラ
ラララ ララララ ラララララ
ラララ ララララ ラララララ
ララルリラルラ ララルリラ♪」
スキャットを歌うは、【パフォリス】に参戦を希望している【涼川 春音】14才だ。
彼女はエンジェル・ヴォイス、天使の声を持っていると言われている。
【パフォリス】は、13才から24才までの乙女が表現出来る物であれば何でも表現して、観客の心を掴むと言うのが基本となっている。
対戦するは、【森山 静奈】15才。
彼女もまた、
「♪ラララ ララララ ラララララ
ラララ ララララ ラララララ
ララルリラルラ ララルリラ
ラララ ララララ ラララララ
ラララ ララララ ラララララ
ララルリラルラ ララルリラ♪」
と全く同じスキャットでパフォーマンスをした。
同じエンジェル・ヴォイスを自慢、得意とする【パフォリス】だ。
その2人が勝負するのは、声の質。
歌唱力や表現力などではない。
なので全く同じスキャットで、その声の質だけで優劣を競っていた。
観客は、同じ表現を聞いてどちらが良いか一票を入れていく。
勝利したのは【春音】だ。
【静奈】は悔し涙を流した。
これはいわゆる【野試合】・・・選手間で行われる非公式試合、練習試合のことを指す。
正式のバトルでは無いので勝ったからと言って、何かある訳では無いし、負けたからと言ってどうなる訳ではない。
だが、この【野試合】の結果は本戦にも影響する。
本番で、この2名がまた戦った場合、【野試合】の勝敗のイメージが彼女達のパフォーマンスの審査結果にも反映される事もある。
なので、【野試合】で負けたことは本戦でも負ける可能性があると言う事である。
もちろん、切磋琢磨して、腕を上げれば、本戦で逆転する事も可能だが、現時点では、【春音】より【静奈】は格下と判断された事になる。
【静奈】はこのままではまた負けてしまう可能性が高いので新たなる武器を作る必要がある。
本戦では、1つのパフォーマンスにこだわる必要は無い。
複数の特技があれば、それを披露してもかまわないのだ。
本戦では一定のルールがある。
そのルールの範囲内であれば何をしても良いのだ。
それに本人のコンディションや時の運、審査の方法(主観)などによっても結果は変わるだろう。
だから、これで諦めてしまうかどうかは【静奈】が決めること。
1回負けて諦める様では、この先の過酷な勝負には勝ち残れない。
【パフォリス】とはそう言う世界。
頂点を狙う者はただ者であってはならない。
全てを超越したパフォーマンスが出来て初めて、【パフォリス】の頂点に立てるのだ。
【パフォリス】の頂点は11席しかない。
その少ない席を巡って、様々な乙女達が熾烈な戦いを繰り広げる。
それにここは、一番小さな大会のお膝元。
ここに勝ったからと言って上の大会で勝ち上がれるとは限らない。
上の大会にはパフォーマンスの化け物達がうじゃうじゃいるのだから。
【卯月】達5人の乙女達はそう言った世界に足を踏み入れようとしていた。




