第六話『セルトヴィア=アリヴァス=シータ』
——場所は戻り、あいなはシラユリのところへ向かっているが、逆方向へ進んでいるところ。
「んー、誰も居ないなあ。こっちじゃなかったけな?それにしても……どこだろうここ。端っこまで来ちゃった?」
周囲を見渡しながら歩いていると、ふいになにかにぶつかり尻餅をつく。
「痛ったぁ……。なに?」
顔を見上げると、そこには大きな半透明な板のようなものが空高く続いており、まるでバリアのように張り巡らされていた。
「これは……バリア?」
――あの変なやつが言ってたのはこれか。壊せるのか……?
バリアの前で考え立ちすくんでいると、背後から声をかけられる。
「キミ……そんなところでなにしてるの?」
「!!」
驚いて振り返ると、そこにはこの世界にそぐわない……まるで現代のギャルのような格好をした女が立っていた。
――敵?それとも……?
「キミもしかして、アイナ・アリスト第三王女?」
「あの……あなたは?」
「失礼しました。あーし……あ、わたくしセルトヴィア=アリヴァス=シータと申します。この学園の三年で、学園長セルトヴィア=アリヴァス=セリファの孫娘になります。どうぞお見知りおきを」
あいなが王族と分かると、先ほどのフランクな感じとは違って丁重に挨拶をする。
「それで王女で在らせられる貴方が、この緊急事態に何故お一人でここに?」
「実は妹のところに行こうと思ったんだけど、迷ってしまって……そしたらこのバリア?のところにまで辿り着いちゃったから壊せるのかなって」
「なるほど。そうで在らせられましたか。このバリアですが、かなり強力なものになっておりますので、恐らく単騎での破壊は不可かと」
「そっか……」
あいなが少し残念そうに言うと、気を使ったのか、他の方法を提案をする。
「ただ……わたくしの魔法を使用すれば、もしかしたら破壊できるかもしれません。そのために学園長のところへ行く予定でしたが、王女が興味あられるようであれば一緒に試してみますか?」
「いいんですか?協力があっても、わたしの力で破壊できるか分からないですけど」
「大丈夫だと思います。わたくしの魔法は自分と他人の強化なので。それじゃあ行きますよ。強化魔法 神々の聖域」
魔法を発動すると、足元が光り、魔法陣が浮き上がる。あいなの身体も光に包まれる。
――すごい。何この魔法。身体の底から力が漲ってくる。身体も羽根のように軽くて、魔力も溢れてくる感じ。いまならなんでも出来そう!
「さっ、息を合わせて行きますよ。全力で一撃畳み込みます」
二人で息を合わせて拳をバリアへ叩き込む。
「はぁっ!!」
バリアに細い亀裂がはいる。さらに押し込むように前に力を入れる。
「はああぁぁぁぁっっっ!!」
細い亀裂が、一瞬で蜘蛛の巣のように広がっていく。
――あと一押し……?
片手だけでなく、もう一方の拳も添え、全身の力を込めてバリアに叩き込む。
「はあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
「いけぇぇぇぇ!!」
遂にバリアが粉々に砕け、硝子のような破片が光に反射してキラキラと綺麗に光る。
「やった……?」
「やりましたね!」
二人は拳を突き出すと軽くコツンと合わせる。
バリアの崩れる音は、学園中で戦う者たちの耳にも届いていた。
その様子を伺うように、学園の屋上に不穏な影があった。
「君さあ、何やってるの?あの程度の王女に負けちゃってさ……。まあ水人形だけどさ」
「申し訳ありません」
「まあいいや。程度は知れたからさ」
改めまして、春夏秋冬です。
第六話ご覧いただきありがとうございます。
pcが壊れまして、最新話投稿が遅れて申し訳ないです。
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