0055.ティーセット × 仏教 × ニューヨーク(実験的)
時は今から二千五百年前。
ここは古代インド、コーサラ国のルンビニ。
一人の男が、長い長い旅の末に、ようやく悟りを開いた。
仏教の始祖、その名を、釈迦という。
王家に生まれながら城を飛び出し、苦行僧たちと山にこもり、断食をし、片足で立ち続け……それでも悟れず。仲間に見切りをつけられ、一人になって、ふらふらとガンジス川沿いをさまよい歩いた。
村娘スジャータから乳粥を恵んでもらい、菩提樹の下にぼんやり座ったら、ふと悟れた。
そのニュースは瞬く間に広まり
コーサラ国随一の権力者、マハラジャのもとにも届き
「これは一大事、ぜひお祝いせねば」
さっそく釈迦のもとに使いを立て、豪華な宮殿へとご招待した。
まず案内されたのが、宮殿自慢の大浴場。
大理石造り、薔薇の花びらが浮かんだ湯船。
釈迦は、入浴すると
「……いやぁ、極楽、極楽」と。
マハラジャは、複雑な顔で、
「釈迦がおっしゃると、妙にリアル、、、」
湯上がりに、今度は茶会へ。
豪奢なティーセット、特別で高級な茶葉をつかったお茶を薦めながら
悟りについて教えを乞おうとマハラジャ
「悟りを開かれるまで、ずいぶんと……いろいろな経験をなさったようで」
釈迦は、ティーカップをそっとソーサーに戻して、遠くのガンジス川でも眺めるような目になって
「王宮を飛び出し、山にこもり、苦行をして、それも捨てて、川沿いをふらふらと……我ながら、えらく遠回りをしたものです、、、」
白目で、
「悟りには、迷走(瞑想)が必要なんです」
と。
ニューヨーク → 入浴




