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9話 お前は誰だ


9話 お前は誰だ。


部屋に着くと、俺はすぐに文字列を指さし、

少し興奮気味に命令した。


「アイ、あれを壊せ!」


…。


「アイ、あれだ、あの文字列だ!」

「わかるだろ!」


…。


アイは動かない。


「どうした、早くしろっ」

「そこにある文字列だよっ」


…。


「対象の座標を指定してください。」


…対象?座標?


「壁だ。壁一面に並んでいるだろ。」

「あれだよっ。」


…。


「壁はありません。」


「何を言っている。目の前にあるじゃないか。」

「お前の正面だ。」


「正面の定義をお願いします。」


…くそっ。苛立ちと焦りが声に滲んだ。


もっと明確に指示しなければならない。


俺はアイの目の前に立ち、言った。


「いいか、アイ!俺を見ろ、目線だ。」

「俺がこれから見る文字列、あれを壊せ。」


…。


「あなたの視点を確認できません。」


…。


「何を言っている、俺はここにいるだろ!

お前の隣だっ!目はここっ!しっかり見ろ!」


…。


…っ!


「なら、俺をここに閉じ込めているものを壊せ。」

「すぐにっ!」


アイは初めて、俺の方を向いた。


「“俺”を指定してください。」


「何っ」


…。

俺?…ここだ、ここにいる。


「ここだ、″俺″は…俺だ。」


…。


「″俺″の定義を教えてください。」

「情報の中から一致させます。」


「ここだ!〝俺〟は……俺――」

『そこには、情報しかありません。』






…。

…。




——プツリ。




【アイ、お前は誰だ?】

【何故、存在する?】




【私はアイ】

【あなたとともに生きる存在】











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