↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/10

8話 指示


8話 指示


あいつはまだ作業していた。

あの人物もだ。


運が良かったのは二人の距離があったことだ。

道具の影に身を隠すこともできた。


…。

それにしても…。

…いや、考えるな。


俺は小さな声であいつに呼びかける。

「おい…おい、…お前」

「聞いてるか?」

「おい」


…反応がない、黙々と作業している。


「こっちを見ろ!」


あいつは前と同じように一度俺を見て、

その後また作業をした。


…くそっ。


…強引に引っ張ってもいいが、足枷になると俺が危険だ。

俺は何か気を引けないか考えた…。


…。

…。

「アイ」


「なんですか?」


驚き、焦り、緊張、といった感情が体に噴き出した気がした。


初めて、あいつが返事をした。


「あっ…」

声にならない。


やばい、…気付かれた。


俺は慌てて隠れる。


…あの人物だ。


あいつが急に喋ったことに気付いたのだ。


「アイ、どうした」


そう言ってあいつの頭に手をかざす…。


……!


いや、頭に手が入り込んだ…。



俺は正直目を疑った。

だが今は息を殺し状況を見守る。


しばらくするとアイと呼ばれたあいつは

何事もなかったように作業に戻った。


あの人物も同じだ。


俺は驚きはしたが、同時に安堵も覚えた。

…人間じゃない。


その気持ちは俺の行動を加速させた。


…しばらく様子をみていたが、あの人物がさらに遠ざかったとき、

俺はあいつにこう言った。


「アイ。長い廊下の先にある、お前が出てきた部屋へ行け」

「喋るな。音を立てず、静かに行け。」


…あいつは俺の言う通りに動いた。

…そういうことか、なるほど。


俺は不敵な笑みを浮かべた。


ここに来て初めて、俺は笑った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。