5話 復元
5話 復元
…また見知らぬ場所だ。
視界に映る天井がそう伝えた。
ここはどこだ?
俺はどうなった?
起き上がり辺りを見渡した。
…ここは…、ゴミ捨て場?
いくつか見覚えのある物がある。
俺が捨てた物だ。
「用済みって事か。」
そうつぶやいて、また天井を見た。
廃棄口が見える。
…。
…、…。
…、用済みってどういう事だ?
俺は少しだけいつもと違う行動をしただけだぞ。
怒りが湧いてくる。
「だいたい俺はどこにでもいる冴えないおっさんだ、
なんで俺がこんな目に遭うんだっ」
「一体なんなんだよ!」
「何がしたい?俺に何をさせたいんだ!」
「クソがっ。」
…。
…。
…ふぅ。落ち着け、俺。
まあ、しかしなんだ、これからどうすりゃいい?
ここから逃げ出す?元の世界に帰れる?
気持ちとは反対に体が出られないと反応している様だった。
俺は肩を落とした。
目の前にはゴミがある。
その時、それがわずかに動いていることに気付いた。
古いもの、壊れて使えないものに見えたそれらは、
少しずつ変化している。
観察し始めてから、少し時間が経った頃、
そのひとつが直った様だった。
…。
直った?…何故かしっくりこない。
…、復元、そう復元と呼ぶべきだ。
目の前で不思議な現象が起きたにも関わらず
呼び方だけがやけに気になった。
その現象は続いた。
復元するもの、新しい何かになるもの。
ゴミではなかったのか?
それらはそのうち床の中に溶け込む様に消えた。
その現象は俺にも起きた様だ。
知らない記憶が混ざり始める。
それは俺の全てを否定し、新たに人格を作り変えられる様な
気分だった。
俺は慌てて床に転がるゴミを重ね、廃棄口へ手を伸ばす。
天井があまり高くないのが幸いした。
俺はなんとかその場所から抜け出すことができた。




