↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダブルスタンダード  作者: 平瀬川神木
第一章 銀河合流準備会議

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/32

第三話

 プロキシフォレジャー積み込みの日、事務局の探索機操縦フロアには、二百四十名の操縦士が集まっていた。

 シュリアンは操縦士たちとのブリーフィングで概要を説明している。

「手順書はお配りしてありますが、今回は八班での行動となります。それぞれの班には担当のセクターがあり三交代制。一人十機を同時操縦。一班百機体制なので、十名が探索機操縦フロアに入る。十二時間勤務後に二十四時間の休息となります。なにぶん未開宙域といえる隣の銀河での調査活動です。臨機応変な対応をお願いすることになります」

「シュリアン。今回の目的は、隣の銀河の知的生命体の存在星確認と、場合によってはメッセージの提示まででよろしいですか?」

「はい。隣の銀河の知的生命体のことは、まだ何もつかめていません。ですので、接触した際には、ホログラムでのイメージ伝達ということになります。言語や意思伝達方法などが把握できていなくても、映像でのメッセージであれば、多くの種族で共有できるので」

「基本はオートパイロットで、一秒毎に一枚の画像を百カプセル解像度(12.5KB)で送信。生命反応があった場合には、マニュアルパイロットに切り替え対応。カプセル搭載量は、通常消費量ベースのデコヒーレンスリミット二か月分として八億カプセルフル搭載。従いましてロングマガジンを全八ソケットに搭載。全マガジンの装着スロットル番号の確認と全カプセルの対結合の再確認。了解であります」

「それでは皆さん。まずはMパックへの入箱からよろしくお願いします。なお、隣の銀河までの予定移動時間は最短で十二時間ということです。出発から六時間でアンドロメダ側のヌル境界を越え、隣の銀河という未開宙域となります。即時手動介入できる状態で待機してほしいので、入箱後一度解散として、未開宙域への進入予定である六時間後に、各班の第一班は再集合でよろしくお願いします」

 操縦士たちはそれぞれのパイロットシートに座り、マガジン装着順やカプセルのリンク状態の確認という、始動前基本点検から入箱の準備を始めた。


 まもなくするとマットブラックで、1:4:9の整数比で構成された直方体のMパックが到着する。継ぎ目も、何もない。光をまったく返さない表面は、そこだけ宇宙から切り抜かれたように見える。

 プロキシフォレジャーは次々に跳びあがり、Mパックに触れた瞬間消えた。上面に設けられた収納面から十一次元展開された内部ストレージスペースに収納されていく。

 

 入箱の様子をカメラ映像で眺めていたシュリアンの端末が反応すると、一箱目のMパックドライバーであるエポンラインポーターのボアがホログラムで映し出された。

「やあシュリアン。少し早めに着いてしまったけれど、さっそくの入箱感謝するよ。各箱予定期間一か月の標準カプセル量の三倍、十二億の双対波束収縮型量子通信殻カプセルを積んでいるから、予定調査期間はトラブルがあっても十分待機できる。だが、わかっていると思うが、一か月半を超えた段階からデコヒーレンスリミットで、どんどんカプセルの波束収縮が起こり始める。量子もつれは完ぺきな存在だが、鮮度の問題は付きまとう。二か月後には二十パーセントが無反応状態となる。待てて二か月。それ以上になった時には、回収はあきらめてくれ」

「了解しております。どのみちプロキシフォレジャーには、八億カプセルしか積んでいません。調査途中であっても、一か月でいったん引き上げることをお約束しておきます」

「それから、俺たちは待機中、別のMパックをドライブしているから、引き返しのタイミングが明確になったら早めに教えてほしい」

「それも了解しました。最低二十四時間前でよろしいですか?」

「おう、それで結構」

 ホログラムのボアはニコッと笑って通信を終えた。


しばらくの時間が経過し、準備が整ったMパックから順に、音もなく浮上した。シュリアンのデスクの端末が反応すると、再度ボアのホログラムが浮かぶ。

「シュリアン。それではポーターを開始する。プロキシフォレジャーが積まれた十一次元ストレージ内は、ヌルフィールド被膜で全方位グラビティをかけてロック状態。俺はエポンラインのドライバールームか家にいるから、何かあればいつでも連絡をくれ」

「了解しました。ご安全に」

「ありがとう」

 ホログラムが消えるのと同時に、浮上していた一箱目のMパックは、一瞬で光速域に達した。次々にMパックが浮上して、シュリアンの視界から消えていく。

「インストさん。僕も一度、家に戻るよ。六時間後に戻ってくるからね」

 インストは少し驚く。

「わざわざ戻ってくるの? 家で対応していればいいじゃないの」

「何が起こるかわからないからさ。ここにいたほうが安心だ」

 呆れた後で軽く笑うインスト。

「あなたらしいわね」

 シュリアンは事務局を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。