第二話
アンドロメダ銀河オムニノード(全集合体)事務局
「インストさん。隣の銀河に八つのMパックを送る件についてなんだけれど、未開の大空間って言えるから、高い技術力を持つドライバーさんにお願いしたいんだ。おすすめのポーターってどこかあるかい?」
工部技術員のインストが答える。
「そうね。規模が大きくて、経験が豊かなポーターグループが良いって考えると、私だったらエポンラインにお願いするかな」
「そうか。確かにそうかもしれないね」
シュリアンは端末に情報を流す。卓上ホログラムには、エポンラインポーターの受付が浮かび上がる。
「いつもありがとうございます。ポーターのお申し込みでございますか?」
「隣の銀河にMパックを八つ送りたいのだけれど」
「隣の銀河でございますね? 恐れ入りますが少々お待ちください」
受付担当者が消えて、グレーの三角錐がクルクル回るホログラムに変わった。重なるようにテキストが表示される。
『隣の銀河は未開宙域となります。未開宙域へのポーターは、特級ドライバーの承認が必要です。回線を現場特級ドライバーにお繋ぎいたします』
しばらくして現れたのは、現場のベテランドライバー。
「ボアといいます。隣の銀河にMパックを送りたいって聞いたけれど、本当かい?」
「ええ、私はオムニノード事務局の事務員、シュリアンです。隣の銀河ミルコメダ準備会議で、隣の銀河の八つのセクターに、それぞれ百機のプロキシフォレジャーを送ることが決まったのです」
「ああ、シュリアンだったのか。プロキシフォレジャーって探査ロボットだったよな? 輸送に特別な注意点はあるか?」
「いえ、特にはないです。ただし、回収まで現地で待機していただきたいのです」
「探査活動期間は?」
「おそらく一か月程度です」
「長いな。往復便じゃダメなのか?」
「何が起こるかわからないので。安全のために現地待機が条件です」
「わかった、了解です。出発予定はいつだ?」
シュリアンはデスクの向こうにいるインストに視線を移す。
「インストさん、八百機のプロキシフォレジャー。準備はどのくらいでできるかな?」
「そうね、明日、いえ、明後日の朝には確実に」
視線をホログラムに戻すシュリアン。
「明後日の昼頃発で」
「了解した。荷積みはオムニノード事務局でOK?」
「はい。ちなみに現地到着まで、どのくらいの時間がかかりますか? プロキシフォレジャーの操縦士の予定も組みたいので」
「そうだなぁ……重力、つまりアルト線がハニカムドーナツをつなぎ止めて宙域を成している。その外側は何もない虚空域だ。まずはアンドロメダ内の宙域空間を、アルト線の力を借りて光速移動する。俗にいう重力サーフィンってやつで、これに六時間。宙域の端っこ、いわゆるヌル境界まで来たら、そこからはゼロスキップで一気に隣の銀河のヌル境界内へ入る。そこから先はまた重力サーフィンでの移動になる。ただ、隣の銀河なんて大枠のマップしかないからな。重力分布が読めないんだ。おそらく六時間から十時間は見ておいてほしい。多少のズレは勘弁してくれよ」
「最短十二時間くらいで了解です。こちらも準備を進めます。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。俺も一号箱のドライブをするから、何かあれば直接呼び出してくれ。受付では隣の銀河のことは答えられないからな」
シュリアンは通信を終了させた。




