第十四話
「何もかも、僕たちの当たり前の外側にある状況だ。概要から知らねば詳細など分かるはずもない。五十メートルの高さからの画像を見てみよう。どうだろう? みんなはどうとらえるかな?」
「とにかく……人工物よね。だって、直角で構成されているもの。精度を考えれば、とても曖昧な直角だけれど、千カプセル解像度では正確にはつかめない。それでもやはり、人工物であることは間違いないでしょ」
「それにしてはだよ、一貫性がなさすぎやしないか? 色といい、形といい、比率といい、サイズといい――」
「みんな何を言っているんだよ。そんなことよりサイズだろ? なんだよこのサイズ。なんなんだよ、このサイズ」
「もう少し高度を下げると、巨大な棒状の人工物。この人工物をつないでいる線には電力が流れていることが確認されている」
「だから、その棒状のものも、線も全部サイズがおかしいんだって」
「さらに下がると、このカラフルな……なんと形容したらよいのだろうか」
「だからこれだってサイズが……」
「そしてこの巨大な、移動している生命体のように見える物体……」
「とにかくね、この巨大な移動している物体に関しては……二本の脚で移動というのは、物理的におかしいの。サイズがどうあれおかしいの。ヌルフィールドと同じような、重力エネルギーコントロール技術を使っていないと仮定すれば、ジャイロスタビライザーなのか……だったとしても、二本脚の意味は何? 目的は何?」
「この星の大気密度を考えたときに、高速での移動をする際に、横向きの棒状になって大気抵抗を減らす……とか?」
「じゃあ一本脚でいいじゃない。なんで二本なのよ。ジャイロスタビライザーなり、ヌルフィールドに近い技術を使っていなければ、そもそも立っていられない。ということは一本脚でも立っていられる。二本の意味を教えてよ」
「でもさぁ、インスト。1FPSの画像だからところどころの画像からの想像でしかないけれど、倒れそうになっていないかい? ジャイロを使っているようには見えない。倒れそうになって、それを支えるために一本脚が出る。そしてまた倒れそうになって、もう一本の脚が出る。そんなギリギリの移動方法に見えるんだ」
「何のために? ギリギリのバランス感覚を褒める場面なの? あんなサイズのものを、そんなギリギリな行動をさせている事実を貶す場面なの?」
「シュリアン、インスト。生命技術員の私から見ればね、あの巨大な移動二本脚は二酸化炭素を吹き出しながら移動している様子なの。浮遊酸素を吸い込みながら。そしてね、あのカラフルなものや、緑の大きなものはね、どうやら二酸化炭素を吸い込んで、浮遊酸素をまき散らしているようなの。つまりね、あの巨大な二本脚ロボットがね、浮遊酸素除去をするために、動いて、大気を攪拌している。あのカラフルなものや、緑の巨大な物体が噴き出す浮遊酸素への対抗する存在なんじゃないかしら?」
「支え合っているってこと?」
「もしくは調整している」
「でもさぁ、あのカラフルなものや、巨大な緑の浮遊酸素をまき散らす奴らは、動かないよね。これらの成れの果てが、謎の地面を形成している死骸だとしたらどうだろう?」
「根拠は?」
「動かないから、その場所で寿命を全うする。結果謎の地面の素材となる。あの緑の大きな物体や、その下のカラフルな物体を詳細スキャンしてみようよ。内部構造の比較で、僕の意見が証明される」
「それは無理よ、シュリアン。あんな大きなもの、簡易スキャンがせいぜいよ。どうやって詳細スキャンするの?」
シュリアンは言葉をひっこめた。しばらく後で、それぞれの専門員が確認したい事柄を持ち寄った。シュリアンは実行計画をまとめて、プロキシフォレジャーの操縦士たちに伝えて調査を続けた。
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「僕たちの目的は、知的生命体の調査だ。今のところ、意思伝達ができる生命体は見つかっていないといえる。生命が存在することは間違いない事実。けれど、意思が伝えられないのであれば意味がない」
「不運な銀河の別の星系で見つかったメッセージに書かれていた、短命となり、知性を失って文化も失った種族。この辺境のオヤイアット系のさらに最悪の浮遊酸素で満たされた第三惑星でも同じことが起こったとするならば、意思の疎通は難しいのかもしれない」
「初めの予定通り調査完了まで頑張ろう。できるだけ情報を集めよう」
シュリアンたちは、集まってくる様々な情報を、分析して想像して評価を続けた。




