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名を交わす精霊の森  作者: 葉月
第四章 静かな冬、芽吹く兆し

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幕間――季節の境にて

 晴れ間が続く日が多くなり、雪が徐々に溶け始めた。数日前まで白く覆われていた地面は、ところどころ土を覗かせ、踏みしめると水を含んだ柔らかな感触が返ってくる。

 朝晩はまだ冷え込み、吐く息は白い。それでも昼頃になると、温かな日差しを感じられるようになった。


 森の奥からは、水の流れる音が聞こえる。雪解け水が集まり、細い流れとなって地面を走っているのだろう。冬の間、静かだった森が、少しずつ目を覚まし始めているようだった。


「いつもより雪は多かったのに、溶けるのはいつもより早いね」


 リアが外を見ながら首を傾げる。例年であれば、もう少し雪解けは先のはずだ。晴れの日が続いているため、再び積もる様子もない。


「僕は雪も楽しかったけど、早く暖かくなってほしいな」

「それは私も同じ」


 ユノとリアはそう言って笑い合う。冬の間は色々な話をした。

精霊のこと、ここでの生活のこと。雪で閉ざされた森の中で、随分信頼関係も築けた気がする。

 いつもミラと二人で静かに過ごすだけだった冬も、一人増えただけで久しぶりに賑やかに過ごせた。 そう思うと、大変だった雪かきも不思議と、嫌な記憶ではなかった。


 ミラはそんな二人の様子を微笑ましく思いながら、ふと森へと目を向ける。前に感じた、大雪の違和感。そして雪解けの早さ。


「偶然、ですよね……」


 その呟きは、薪の爆ぜる音に掻き消されて誰の耳にも届かない。風に運ばれて、水の流れる音が聞こえた。雪は、静かに形を変えながら消えていく。

もうすぐ春です。

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